フランス、フィンランド、オーストリア。海外から学ぶ生活のヒント

フランス、フィンランド、オーストリア。海外から学ぶ生活のヒント

mito、mino、遠藤麻衣がヨーロッパでつくる自分の生活

2018年5月 特集:生活をつくる
編集:松本雛、竹中万季
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日本で暮らしていると当たり前に感じているさまざまなことが、どこか別の国へと訪れたときに「こんなにも違うんだ」と驚かされることがあります。例えば、ファッションや食事はもちろん、仕事や休暇の過ごし方など、少し旅行しただけでも気づくことは多いのだから、そこで生活をしてみたとしたら、どんな違いを感じるのでしょうか?

今回は、日本から海外に移り住んだ三人の女性に、それぞれの国での「衣食住」の考え方や、日本での暮らしとの違いを教えてもらう5つの質問を投げかけました。

① いつから、どういった場所で、誰と暮らしていますか? また、そこで生活しているのは何がきっかけだったのでしょうか?

② その国での衣服についての考え方について。ご自身やそこで暮らす人は、どこで買った服をどのように着ていますか?

③ その国での食の考え方について。ご自身やそこで暮らす人は、どこで買った食材をどのように食べていますか?

④ その国での住まいの考え方について。ご自身やそこで暮らす人は、どういう場所に住み、どういうライフスタイルを送っていますか?

⑤ 仕事や女性の生き方など、「日本での生活との違い」はありますか? また、それはそのような点ですか?

答えてくれたのは、山で囲まれたフランスの小さな街で暮らすmitoさん、フィンランドのヘルシンキで夫婦ともにシェフとして働くminoさん、大学の交換留学でオーストリアのウィーンで半年間暮らしている遠藤麻衣さん。彼女たちの言葉は、思いもよらない方法で生活は工夫できるということや、狭い視点では気づけなかった日々の中のちょっとした喜びやくつろぎを発見するヒントになるはず。

食事や休暇を楽しみ、くつろぐことが当たり前とされているフランスの暮らし

テキスト・写真:mito

① 住んでいる場所ときっかけについて

2014年にフランス人パートナーの都合でフランスのジュラ地方にあるDole(ドール)という小さな街にやってきて、現在猫2匹も加わり日々を暮らしています。ここは山に囲まれた自然豊かな土地で、住んでいる街から自転車で15分も走れば何にもない大きな風景に出会える。年中霧もよく出て、そのときの光景がなんとも幽玄で美しく、この土地で暮らしているなかで気に入っているところ。

美しい川沿い

② 衣服について

ノスタルジックで楽しく、また安価なので古着を購入することが多かったです。ここで見つけた古着を身に着けることでこの土地に馴染めるような気もしていたのかもしれない。ただ、丈夫で着心地のいい自分に似合ったものがあれば、そんなに多くはいらないな、とふと思ってから衣服を頻繁に購入することはなくなりました。

こちらの人々はどんな体型でもどんな年齢でも自分を隠さず自信を持ってファッションを楽しんでいる人が多いです。特にご高齢のご婦人方のファッションは日本と違っていて、みんな明るい色を積極的に身に着けている。真っ赤なワンピースを着ている人もいるし、短いスカートを履く人もいるし、高いヒールを履きこなし、背筋を伸ばして颯爽と歩いている人もいる。水辺ではビキニで元気に泳いでいる姿もよく見かける。そんな姿はかっこいいし、何より楽しそう。歳を重ねることをネガティブに捉えていないし、自分に似合うものをよく知っているのだなと感じます。

緑の中を自転車で走り抜ける赤いワンピースの女性

③ 食について

フランスのどのお宅の食卓にも常備されているのは、パン、チーズ、(とワイン)。みんな毎日できたてのバゲットを買いにBoulangerie(パン屋)へ行く。私もパンが好き。バゲットもサンドイッチもクロワッサンもパン・オ・ショコラもとてもおいしくて、お手頃に買えるのがうれしい。

週2回開かれるMarché(市場)へ行くと、新鮮な食材が(大抵の場合は)生産者から直接購入することができる。そこには酪農大国であるフランスのチーズも何十種類も並んでいる。はじめは、その味の濃さに多くは食べられなかったものの、いまや食後にデザートとして出されたときでも躊躇なくいただくようになりました。ジュラ地方でつくられるパンに挟んでも、サラダに散らしても、グラタンなど調理に使ってもおいしい濃厚なコンテというチーズが好き。

ほかにもこちらではフルーツが安く買えるので、その季節のものを堪能することができます。食べきれなければタルトやジャムにして楽しむ。秋ごろには森でのきのこ狩りがメジャーな行楽で、宝物探しするみたいに森の中できのこをみつけて、それを自分で調理して食べるのはとても楽しい。この土地でしか食べられないものを食べていると、ああ、暮らしているんだなあ、と実感する。

近所のBoulangerieで買ったおおきなクロワッサン

④ 住まい・暮らしについて

私は現在築600年のアパートの最上階に住んでいます。古い建物の住居はヨーロッパではそんなに珍しくはないけれど、どんな人々がこの場所で過ごしてきたのか想像するのはちょっと楽しい。もちろん内装は過ごしやすく整えられている。部屋の中には光と風がよく通り気持ちがいい。窓から空の色と、この街の連なる屋根を眺めるのが好き。キッチンの窓辺に座り、コーヒーを飲んだりおやつを食べたり、教会の鐘の音や、鳥のさえずり、向かいにある学校から出てくる子供たちの声が、聞こえてきたりする日々も結構好き。

フランスではくつろぐ時間というものが大切にされている。昼休みが12時から14時でその間は店が閉まったり、日曜日はほとんどの店が営業していなかったり、バカンス(有給休暇)が1か月あるのが普通だったりする。食事を楽しんだり、休暇を楽しんでくつろぐことがこの国では当たり前の権利なんだな。

私も猫も窓辺がお気に入り

⑤ 日本の生活との違い

フランス人はスキンシップやコミュニケーションが多い。知らない人でも目が合えば「Bonjour!(こんにちは)」と笑顔で挨拶をするし、お店に入れば店員さんと挨拶、そしてお客さん同士でも挨拶、店を出る時は「Bonne journée!(良い一日を!)」と挨拶をする。知人に出会えば男女問わず挨拶と共にビズ(頬にキス)をする。そして彼らはとってもおしゃべりで議論好き。道端で、カフェで、とにかくよくしゃべる。議論といっても相手を打ち負かすことが目的ではない。自分の考えを相手に伝え、相手の考えを知る、コミュニケーションの手段なのだ。日本人同士の間ではよく見かけられる同調や協調はフランスではあまり好まれない。自分の意志を持ちはっきりと伝える、ということがとても大切なんだろうな。

PROFILE

mito
mito

フランスのジュラ地方で遠い景色の写真を撮っています。
おなかが弱い。
今の仕事は主にデザイン。

mino
mino

国際基督教大学にて仏語と哲学、お茶の水女子大学大学院・パリ第7大学にてジェンダー開発論・フェミニズム理論を学ぶ。フィンランド系企業での仕事を経て、2014年に移住。現在はシェフ、ライターをしながらフィンランドメディアにて出演・登壇。

遠藤麻衣
遠藤麻衣

俳優、美術家。1984年8月5日、兵庫県生まれ。「日本のフェミニスト」というイメージを用いた作品制作に近年取り組んでいる。自分の身体を用いて演じるメディアは演劇、レクチャーパフォーマンス、ミュージックビデオ、絵本など。自身の結婚をモチーフに、現実とフィクションを織り交ぜた結婚式作品「アイ・アム・ノット・フェミニスト!」(2017)では、婚姻契約という形式をとり、婚姻制度を遊びに転化することを試みた。現在、ウィーン美術アカデミーに留学中(~8.2018)。

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