拝啓 She is さま
はじめまして。
私、昨年の12月におみゆさんとたなかみさきさんの「お悩み相談室インスタlive」にてこんな質問をした者です。

その節は心強いアドバイスありがとうございました。
9月の特集が「お金と幸せの話」ということで、思わず筆を取りました。この機会に私の後日談をお伝えしてもよいでしょうか。
例の彼とは、今も一緒にいます。結婚はしていません。質問をしたときも、二人の間で「2年以内に結婚したいね」という話が出ていただけで、私が勝手に将来を想像して不安になっていました。
実は多額の借金というのは彼の奨学金で、金銭的に余裕のない状況で育ってきた彼は、高校も大学も、それが後に借金となることを認識しないままに、多額の奨学金を借りてしまったそうです。
それに関しては、学びや出会いの機会が金銭的な理由で絶たれることがなくて本当に良かったなと思います。
ただ不安だったのは、奨学金の返済が恐らく40歳半ばまで続くというのに、彼が奨学金の返済プランを全く立てていないことでした。
収入を増やして少しでも早く返済しようとか、奨学金返済によって生じる様々なライフイベントへの影響とか、そういうことを考えていないのに「2年以内には結婚」と言う彼に漠然とした不安が生まれ、例の質問をしたという次第でした。
でも、お二人に「自分が一緒に返す覚悟じゃないとね」といったことを言われ、はっとしたんです。
恥ずかしい話、私も私で、お金に向き合っていませんでした。
私は幼い頃からずっと、習い事でも留学でも「やりたい」と言ったことには機会が与えられる環境で育ちました。でもそれは両親が稼いだお金です。24歳でまだ実家で暮らしていた私には、自立したときに生活水準が下がってしまうということが、頭で分かっていてもお腹にはすとんと落ちていない状態だったのです。
だからこそ私は、彼の金銭感覚だけを見て不安に思っていたのだと思います。
結局、私も彼も「いつか誰かがなんとかしてくれる」という心の甘えが少なからずあったのです。だから自分の選択に対して真摯に向き合えていませんでした。
それが顕著に表れているのが仕事で、私たちは当時ボーナスもほとんど出なかったようなIT会社で、同僚として出会いました。
終電まで仕事をして朝早く会社に行き、免疫が弱ってインフルエンザにかかっても、それが有給消化として扱われるような会社を選んだのは、私たちが自分の人生にしっかりと向き合えていなかったからです。
私は9月で会社を辞めて転職活動を始めますが、それは心身の健康のためでもあると同時に、二人の将来のためでもあります。
会社を辞めると決めたとき、「話がある」と彼を呼び出し、別れ話かと怯える彼に対してこう伝えました。
「私いつかは犬を飼いたいし、マーベルの新作はIMAXで一緒に観たい。知らない国に一緒に行きたいし、冬はちゃんと湯船につかりたい。食べて眠って起きて、ずっとあなたと楽しく暮らしていきたいから、そのために私たち、お金を味方にしなきゃいけない。あなたが大変なのは知ってるから、私は転職してもっと稼ぐつもりだけど、あなたも色々と見直してほしい」
今こうして書き起こすと、ほとんどプロポーズですね。
彼は少し考えたあと「不安にさせてごめん。少し時間が欲しい」と言いました。
2週間後、今度は私が彼に呼び出されました。カフェのテーブルの上には『お金の超基本』という分厚い本とノートパソコン。
彼はエクセル3シートにもわたる自分の奨学金返済計画と、返済中に起こるであろう様々なライフイベントでの出費や貯蓄の計画を説明してくれました。

私に呼び出されたその日に本を買い、そこからお金の超基本の勉強と返済計画作成を夜な夜な進めたそうです。
ふと目に入った彼のiPhoneの待ち受けは『お金の超基本』の表紙になっていました。

おみゆさん、みさきさん、これって何だと思いますか。私は、愛だと思いました。
ちなみに彼の作った奨学金返済プランのライフイベント「結婚」欄によると、来年の秋くらいには良い報告が出来るかもしれないです。他人から見たらどうかは分かりませんが、私とってこのエクセルは最高にロマンチックな贈り物です。

また何かあったときは相談させて下さい。今後、惚気は控えます。