She isでは、特集テーマをもとにGirlfriendsに選曲してもらったプレイリストを毎月Spotifyで配信中。2月の特集テーマ「超好き~Ultra Love~」のプレイリストを担当したのは、アイドルグループBiSでの活動を経て、現在は「アヴァンギャルド表現者」として歌やDJ・執筆などの活動を行っているテンテンコさんです。
YMOや戸川純さんなど、小さな頃からニューウェーブの音楽に慣れ親しみ、それから自分の好きな音楽を掘っていったというテンテンコさん。2017年12月には坂本慎太郎さんが作詞作曲した“なんとなくあぶない”を含んだEP『きけんなあなた』をリリースするなど、自身の「超好き」をもとにどこまでも唯一無二の世界を突き進んでいく彼女が、大好きな「きけんな電子音の世界」を案内してくれました。
1:YELLOW MAGIC ORCHESTRA “ABSOLUTE EGO DANCE”
お父さんがYMO好きだったので、小さい頃から身近にあった音楽。自然と聴いていたから、知らないうちにきっと電子音を受け入れる体になってたんですね。YMOは、電子音の入り口なんだ! 日本でこんなにも尖ったビリビリな音楽がお茶の間で聴けた良き時代があったなんて、希望に溢れてますよね……! 憧れ。
2:Bruse Haack “Electric to Me Turn”
インターネットを自由にいじれるようになってブルース・ハークに出会い、一発でドキューンと射抜かれた曲。「これでもかー!」と加工されたロボットのような声に、全て電子音のトラック……痺れます! ブルース・ハークは大人と接するより子供と一緒にいる事を好み、子供のための電子音(しかもバレエ用!)も沢山作っていて、それも可愛くて、でもナチュラルに狂ってて素晴らしいです。ちなみにウチの猫の名前は、ブルース・ハークが元ネタです。
3:The Residents “Moisture”
憧れのThe Residents! 正体が謎なメンバー、そして目玉のおやじ的ルックス!(最近はここ日本でライブをしたときにおニューな謎の牛&鳥の衣装を披露しました!)
キャッチーかつ遊び心&悪戯心たっぷりで、何度この存在に救われてきたか……。架空の種族の言葉を使った音楽や、エスキモーの音楽など、アルバム一枚一枚にコンセプトがしっかりある、しっかりあるのに、デタラメな感じも最高なんです。ちなみにこの曲は1分程度の曲が40曲入った『The Commercial Album』(1980年)からの1曲。キャッチーかつ変態で、しかも全曲にMVがある! ギタリストのスネーク・フィンガーの出演にもキュンとします。
4:Renaldo & The Loaf “Lime Jelly Grass”
The Residentsとも共作のアルバムを作ったRenaldo & The Loaf! 不協和音のようなメロディーに完全にラリってるとしか思えないボーカル。全てが絶妙なバランスで成り立つ尊い世界観です。この曲で子供達を踊り狂わせたい! そんな光景を、私はいつか見てみたい……。
5:Sympathy Nervous “Khahi Cloud”
NYのレーベルMinimal Wave Recordsが発掘音源としてまとめてくれた一枚の中から一曲! なんとなんとこれ、日本の方なんです……。(すごすぎる~信じられない~!)1970年代から活動していた新沼好文さんという方で、今聴いてもめちゃめちゃ新鮮&超カッコイイです!! 独特な怪しさとキレキレなボーカルがたまりません!
6:Andreas Dorau “Fred vom Jupiter”
「ジャーマンニューウェーブの貴公子」と呼ばれる彼が学生時代に課題で作ったという曲。貴公子と呼ばれるだけあって、ルックスもかなりの美男子かつインテリ感、清潔感が溢れてます! 時代を感じるドラムマシンの音、アルペジオがんがんなシンセに超脱力系なふにゃふにゃなボーカル。センスの塊って感じです!
7:Boredoms “(star)”
初めて聴いた時、「これが本当に日本のグループなの!?」と本当にびっくりしました! 電子音と生の音の土着感、全てが格好良くて聴いてて超ワクワクする……!! エネルギーがみなぎる感じ、全ての感覚が冴えて第三の目が開いてきそう。ちなみに、テンテンコの“くるま”って曲、実はアレンジがBoredomsのEYEさんなんです! こちらもかなり「なんじゃこれ」って感じがあるので是非チェックしてね。
8:Throbbing Gristle “Hot On Heels of Love”
私も音楽をやりたい、できるのではないかと思わせてくれたThrobbing Gristleの『20 Jazz Funk Greats』(1979年)に入っているかなり可愛い一曲。たっぷりのシンセの電子音に女性ボーカルで、テンションは低いけれど沸々メキメキと湧き上がる曲だと思います! 自殺の名所で撮られたあまりにも有名なこのジャケットも、たまらなく好き。
9:The Space Lady “Major Tom”
1970年代のサンフランシスコで、たった一人で路上で歌い続けたThe Space Lady! バイキングの様なヘルメット(しかも光る!)を被り、カシオトーンとモワモワなエフェクターでサイケ&ポップそしてドリーミ~な世界観を作り上げた彼女は、なんと宇宙からの平和と調和のメッセージを伝える伝道師。なんて可愛くて危険な女性なんだろう……。孤高で尊い、後世に伝えたい一人です。
10:テンテンコ “なんとなくあぶない”
坂本慎太郎さんが作詞作曲したテンテンコの一曲! スカスカなドラムマシンに、シンセのぺこぺこなアルペジオの音……最高のアレンジに、浮遊感のある坂本さんのギター! テンテンコの好きなものがギュッとこの約3分に詰まってます。可愛いのに不穏な歌詞も是非注目して聴いてほしいです。