フランス、フィンランド、オーストリア。海外から学ぶ生活のヒント

フランス、フィンランド、オーストリア。海外から学ぶ生活のヒント

mito、mino、遠藤麻衣がヨーロッパでつくる自分の生活

2018年5月 特集:生活をつくる
編集:松本雛、竹中万季
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自分で野菜を育て、ワンピースも作る。「自分の人生は自分でデザインする」というフィンランドの考え方

テキスト・写真:mino

① 住んでいる場所ときっかけについて

2014年3月から、フィンランドの首都ヘルシンキ在住です。現在はフィンランド人の夫と二人暮らしをしています。こちらに住むことになったきっかけは、日本にいたときにフィンランド系の組織で仕事をした経験を通して、フィンランドでの仕事のしやすさ、人々の優しさや教養の高さに魅了されたことです。この土地に実際に住み、働いてみたいと思い、移住しました。以前はフランスに数年住んでいたこともあり、ヨーロッパの他の国や言語を知りたいという思いもありました。ご縁があって、現在は夫と初のデートで待ち合わせした海から徒歩2分のアパートメントに住んでいます。

夏のヘルシンキは夏至の時期のため、真夜中でも真っ暗にならずほんのり明るい

② 衣服について

フィンランドでは都市・田舎に関わらず、kirppis(キルッピス)と呼ばれるフリーマーケットやセカンドハンドのお店が多く、人々はまさに「捨てる神あれば拾う神あり」の精神で古着を見つけては好んで着ています。キルッピスでお宝を見つけることは目利きが良いことの証でもあるので、パーティーなどの人々が集まる場でも多くの人が誇らしげに自慢の一品を身に着けています。

また、Marimekko、R/H、KARHU、Minna Parikkaなど自国のブランドを愛する人も多く、古着やファストファッションに上手に合わせて着こなしています。フィンランドの男性は一人に一着、Marimekkoの「JOKAPOIKA(ヨカポイカ)」シャツを所持している、と言われているほどです。

DIYや編み物が盛んなので、自分でワンピースを作ったり、手袋を編んだりする人もとても多いです。

キルッピスでは家庭で不要となった雑貨や衣類のほか、掘り出し物のレアなお皿やグラスなども売られている

③ 食について

夫婦ともに職業がシェフなので、食には大きな重点を置いています。週に1、2度は人気のレストランや面白い料理を提供するレストランで外食をしていて、例えば、森や湖のほとりで摘んだ野草を使った料理を提供するお店や、自家製の発酵食材を提供するお店、地元で採れた野菜やジビエなどを使って型にとらわれない自由な発想の調理や組み合わせを生み出して提供するお店などがあります。また、自宅でも普段から料理を研究する機会が多くあるので、自炊する際は、kauppahalli(カウッパハッリ。マーケットホールのこと)の専門店で肉やオーガニック野菜を購入して、様々な料理を作っています。

夫の両親の家の庭で採れたイラクサとマンネングサ属を使って作った、野草とポーチド・エッグ

ヘルシンキでは近年、自分で野菜やハーブを育てることが流行りでもあり、siirtolapuutarha(シールトラプータルハ。貸し農園のこと)が盛んです。ここでは都会に住む人たちが小さな農園を借りて、自家用野菜を育てたりして自然に親しんでいます。

わたしたちも夫のご両親の実家の庭でルバーブやポテト、花やハーブなどを育てたり、春は森で野草を摘み、夏はブルーベリー、ラズベリー、リンゴンベリー(コケモモ)などを摘んだり、秋はきのこ狩りをしたりして自然から受け取った恵みを食卓に並べています。

夫の両親の家の庭でとれたルバーブやソレル、イワミツバなどの野草。バスケットは義母が1970年代から使っているもの

④ 住まい・暮らしについて

フィンランドの人々は自然とのつながりをとても大事にしています。首都のヘルシンキも、周りは海に囲まれ、街中には公園がたくさんあり、森も点在しています。普段からハイキングやブルーベリー摘み、魚釣りなど、自然に触れることで心を癒す暮らし方をしています。

わたしたちが住んでいる場所から徒歩2分のところに海があり、そこからボートで15分くらいでビーチや森がある小さな島に行くことができます

フィンランドの人は日本の人に比べて物をあまり買いません。コンビニや100円ショップが皆無のため、物を買う機会が圧倒的に少ないこともありますが、古い物を大切に使うことが当たり前とされているので、買うよりも自分の手で作ったり修理したりすることを好みます。それゆえに、家には長く使える良い物だけが残り、DIYなどが得意な人が多いことも特徴です。

フィンランドをはじめ、北欧諸国は美しく合理的なデザインの雑貨や家具で有名ですが、その美しいデザインの背景には、北欧という冬が長く厳しい環境ならではの習慣と哲学があると言われます。家の中で過ごす時間が多いために、心地よく過ごせるようにお気に入りの物だけを厳選して置くこと。森や花、海やベリーなど、大好きな自然をモチーフにしたデザイン。自然の素材を取り入れながら人間工学に基づいた、居心地の良いタイムレスな製品を世代を越えて引き継いでいくこと。不要な物を持たない暮らしは自由と豊かさを与えてくれます。

キャンドルホルダーやお皿、花瓶など代々にわたって受け継がれたものを使っている人はとても多い

⑤ 日本の生活との違い

2018年度の「世界幸福度ランキング」ではフィンランドが1位となりました(日本は54位)。ランキングの基準となった6項目のうち、日本と差が出てしまったのは「人生選択の自由度」「寛容さ」「社会の腐敗度」の3項目でした。フィンランドでは「自分の人生は自分で好きにデザインする」という考え方を一人一人が持っているため、進学や進路変更、就職のタイミングは人それぞれです。他人の生き方に親や兄弟、友達が干渉したりネガティブなコメントをすることは、よっぽど本人が周りに悪い影響を及ぼしている以外はありません。

また、「世界で一番母親に優しい国」とも評されるフィンランドでは、結婚や出産、子育て、仕事のスタイルも自由に選択することができますし、国家、自治体、コミュニティー、パートナーから多くの支援を受けられます。80年以上前から始まった、母親手当の一つとして支給される「育児パッケージ(約50点のベビー服やベビーケアアイテム、両親が使うグッズなどが詰められ、箱自体はベビーベッドにもなる)」は日本でも有名になってきましたが、フィンランドでは出産や育児によるストレスを軽減する物理的・精神的支援がとても充実しています。

PROFILE

mito
mito

フランスのジュラ地方で遠い景色の写真を撮っています。
おなかが弱い。
今の仕事は主にデザイン。

mino
mino

国際基督教大学にて仏語と哲学、お茶の水女子大学大学院・パリ第7大学にてジェンダー開発論・フェミニズム理論を学ぶ。フィンランド系企業での仕事を経て、2014年に移住。現在はシェフ、ライターをしながらフィンランドメディアにて出演・登壇。

遠藤麻衣
遠藤麻衣

俳優、美術家。1984年8月5日、兵庫県生まれ。「日本のフェミニスト」というイメージを用いた作品制作に近年取り組んでいる。自分の身体を用いて演じるメディアは演劇、レクチャーパフォーマンス、ミュージックビデオ、絵本など。自身の結婚をモチーフに、現実とフィクションを織り交ぜた結婚式作品「アイ・アム・ノット・フェミニスト!」(2017)では、婚姻契約という形式をとり、婚姻制度を遊びに転化することを試みた。現在、ウィーン美術アカデミーに留学中(~8.2018)。

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