伊東笑ちゃんと行く、小さな逃避行。学校へ行く前に、渋谷の真ん中で。
笑ちゃんは今、これまでになく髪を明るくしていて(これまでは黒髪ロングでTHE清楚系少女だった)、その新しい笑ちゃんを髪や服に合った場所で撮りたい! と思い、渋谷で撮影。
あんまり逃避行感、でないのでは? という心配はご無用。
渋谷のど真ん中にインスタ映えのためのフォトスポットがあり、入場料も何もないのに遊園地に行ったかのような写真が撮れた。鏡張りの空間が面白く、より面白くしてみたくなり、多重露光機能を使ってみると夢の中のような、キラキラした写真が撮れた。
蝶々のモチーフ、たくさんの鏡、可愛い空間、盛れる照明(インスタントカメラでも盛れる!)で、限られた空間でも写真で切りとることでトリップ感覚が味わえる。あ、渋谷のど真ん中でインスタ映えなスポットを備えているのがどこかというと……SHIBUYA109でした! さすがの流行への強さ。
その後、ちょうどお昼時だったのもあってファミレスへ。ギャルは、ファミレスなのでは!? という私の勝手なイメージから。女の子とどこかへ出かけたら、食べてる姿は撮りたい。いい表情がもれなく撮れるし、このお出かけはこういうとこで食べたな~美味しかったなあ、という記録になるのも好きだ。
お昼を食べて、燦々と日が射す、渋谷の街撮り。渋谷感があるところで今日笑ちゃんが着ていたかっこいい黒いワンピースを撮りたくて、横断歩道を渡りながら、1枚。横断歩道で撮るときのポイントは、渡り始めてすぐじゃなく、信号が点滅する手前ぐらいで撮れると人がごちゃつかず、邪魔にもならずに撮れる(そして信号が青のうちにちゃんと渡りきる)。
笑ちゃんを渋谷で撮るのは3年くらい前の『シブカル祭。』で行った「写真だけでショートムービーを作る」というかなり変わった企画で撮って以来だったので、その時に通った道や今は一時休業中の渋谷PARCOのことを思い返したり、思い出話に花を咲かせながら撮影できて楽しかった。
私は撮影中、とても喋る。かなり喋る。撮るときが一番喋ってるかもしれない。撮るときに相手への興味関心がピークになるので、撮っているときは聞きたいことがたくさん浮かんでくる。撮り終わると何をそんなに喋っていたのか思い出せないくらい。でもそうしていると自然な空気感で撮れる。
街撮りも終わり、専門学校に通っている笑ちゃんはこれから学校、とのことでお別れ。学校へ行く前の小さな逃避行でした。
中尾有伽と行く、小さな逃避行。新宿、映画デートと夜散歩。
中尾は夜に撮影。今回の小さな逃避行はひとりひとり違ったものが撮りたくて、中尾とは映画デートと夜散歩に。新宿武蔵野館で上映している枝優花監督の『少女邂逅』を一緒に観に行った。
映画館は写真を撮りに行くのと同じくらい、逃避行できる。映画を観ている間はケータイの電源もOFFにして、通知を気にする必要もない。映画は結構一人で観に行くことが多いけれど、それは誰かと観に行った後に感想を言い合うのが苦手だから。ただ、中尾とはとても感性が近くて、一緒に観に行ってもその後自然と語り合えて楽しい。中尾と映画を観た後に過ごす時間が好きで、映画の余韻を感じながら写真を撮ろうと決めた。
観終わった後に枝監督と松本花奈監督のトークもあって、映画が終わった後もすぐに出ずに、劇場でクリームソーダを飲んだりしているところを撮ったりした(映画館でクリームソーダが飲める、ときめき!)。
『少女邂逅』を観るなら、と中尾には可愛いレトロな柄ワンピースを着てきてもらって、私も合わせて柄ワンピースを着てきた。枝監督に「お揃いにしたんですか?」と聞かれたりして楽しかった。女の子は服とかメイクをはりきって、可愛い格好を堂々とできる機会があるととても元気になる。可愛くして、可愛い、と言ってもらうのも女の子の喜びの一つだと思う。女の子同士でおめかししてお出かけするのももちろん楽しいし、もし恋人同士で彼女がお出かけデートを所望していたら、ぜひ写真を撮って「可愛い」を残してみてほしい。
夜の街撮りは光探しになる。ただ、都会はとても明るい。ショーウィンドウの青い明かりをたよりに撮った非現実的な写真、バルブモードで長時間露光すると不思議なブレが生まれて楽しい。ふとはしゃいだ一枚も、少し暗くても楽しさがあってとてもいいと思う。
インスタントカメラはどんな風に撮れているかわからない写真がじわじわ浮き上がってくる像を二人で待つ時間も一つの楽しみだ。
アンニュイな表情の写真が普段多い中尾も、今回は一緒に遊んでいる感じで撮ったので自然な笑顔がたくさん撮れた。美味しいものを食べたときの中尾の笑顔が私はとても好き。
ご飯を食べながら仕事の話、日々思うこと、最近考えていることとかを話して、あっという間に時間が過ぎてしまった。会うたびに話したかったことがこんなに積もっていたんだなと知る。今回もそんなひとときだった。
帰り際、初めて撮ったときの話になった。私が少しずつ撮りためている19歳最期の日を撮る作品のシリーズで中尾を撮ったのだけれど、彼女と話しながら「中尾を撮れたから、あのシリーズは完結したな」と気づいて、そのことも話した。帰りの電車で中尾がその写真をTwitterにあげてくれて、
19歳最後の日 一生忘れない.
エリカさんと出会えてよかった.
あたしはこれからもうんと
きれいに歳を重ねてゆくよ. pic.twitter.com/TAEGNXsEXl— 中尾 有伽(Nakao Yuuka) (@zenbuusomitai) 2018年7月13日
と書いてくれていた。あんなに、ハタチになるのが嫌だったのに、中尾のことを撮ってよかったと思った。写真に残したことで進めるものがきっとあるのだと思う。後ろ向きな気持ちで撮っているわけではないのだ。私たちが進むために、撮っている。撮っていきたい。
来月の逃避行は、小川あんさんと。東京じゃない場所で。
インスタントカメラでも、簡単なフィルムカメラでも。いつも使い慣れているiPhoneではない瞳で、あなたの大切な人や一瞬で過ぎ行く日々をどうか色濃く残してみてほしい。
いつもいつも同じように見える景色をちょっと違ったものに切り取って、ほんの少し見る角度を変えることで、グレーな世界が色濃く鮮やかに見えるかもしれない。
そういえば来月に入る映画の現場は地方ロケらしく、約2週間、地方で撮影することになりそうだ。これは私からするととても大きな逃避行。これまでひたすらに東京で写真を撮り続けていたけれど、これからは東京以外でもいろんな女の子を撮れるのかもしれない予感があって嬉しい。
来月一緒に逃避行する女の子は、女優の小川あんさん。どんなものが撮れるのか、どんな景色を共にできるのか、たっぷりとある2週間のなかで小川さんの喜びやいろんな感情の機微をとらえていきたい。
カラフルな日々を眼差して、写真を撮り続ける日々が続いていく。
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