<どのくらい働く?>
「働き方改革」という言葉を聞くようになってしばらく経ちましたが、労働環境の改善は単に「働く時間を短くする」だけではないようです。「せっかく好きなことを仕事にできたのだから、もっとたくさん働きたい!」という人もいるでしょうし、「プライベートや副業との兼ね合いで、とにかく限られた仕事の時間の中でしっかり働きたい!」という人もいるでしょう。ここでは、仕事の「時間」にまつわる用語を解説していきます。あなたにぴったりな働き方は、どのタイプ?
■定時制
会社員として働くときに一番オーソドックスなのが「定時制」と言っても過言ではないでしょう。法定労働時間で定められている8時間という時間に対して、何時から何時まで働くかを会社が定めている制度のことで、たとえば「朝9時出社、昼に1時間休憩、18時に帰宅」というような、勤務時間が明確に決められている働き方を指します。定時をすぎた分に関しては、基本的に働いた時間の分だけ残業代が支払われます。会社によっては「みなし残業代」として、1か月に一定数の残業が発生すると見込んで、残業代が常に固定給に上乗せされている場合も。その場合は、何時間分が「みなし残業」としてカウントされているのか把握しておくと良いかも。毎日決まったリズムで生活を送りたい人にぴったりな働き方!
■フレックスタイム制
定時に縛られず、自分で比較的自由に勤務時間を決めることができる制度。自分で出社時間や退勤時間を自由に決められたり、会社によって定められた「コアタイム」と呼ばれる時間だけは出社することが義務付けられたりと、会社によって自由度は様々です。たとえば、コアタイムが12時から16時だとしたら、朝8時に出社して16時に帰っても、お昼の12時に出社して20時に帰ってもOKというのがこの制度。次の項目でお伝えする裁量労働制と異なるのは、基本的に1日8時間は働く、という点です。自分が一番効率よく働ける時間帯に合わせて調整できるのが特徴です!
■裁量労働制
与えられた成果さえ出してくれたら、法律で定められた労働条件の中であれば1日のうち何時間働いても良いという、まさに文字通り、「裁量」に任せた働き方ができるのがこの制度。基本的に「みなし労働時間」として、実際に働いた時間にかかわらず、何時間分の労働とみなすかがあらかじめ決まっています。たとえば、1日にとても効率よく働いて2時間で全ての仕事が終わっても、少し手こずって10時間働いてやっと仕事が終わっても、どちらもあらかじめ定められた「8時間」とみなされるという仕組みです。
しっかり結果を出せれば自由な働き方が実現できそうですが、適用されるのはデザイナーや編集者、研究者など「労働時間と業績が必ずしも連動しない」と指定された職種だけ、という点で注意が必要です!
■時短
読んで字のごとく「働く時間を短くする」のが「時短」。帰宅時間を早めるなど、子育て中の方で取り入れている方も多いですね。ただし、労働時間自体が短くなるので、その分お給料も少なくなります。出社時間を調整できるフレックスタイム制や、時間に縛られない裁量労働制はいずれも課される成果はフルタイムで働く場合と同等なので、無理なく自分がどれくらい働けるかを考えつつ、有効に活用するのがオススメ。いろいろな制度を組み合わせれば、時短勤務で管理職というのも夢じゃない!
<どんな風に仕事を休む?>
どれだけ働くのかと同じくらい、どう仕事を休むのかも大切なこと。プライベートの時間に好きなことやものに触れてインプットを増やすことが、より良い仕事につながることも大いにあります。会社によっては、休暇中に手当て(お金)がもらえる制度も。せっかく休む権利が様々な制度で守られているのだから、遠慮することなく自分の自由な時間を謳歌していきたいですね!
■有給休暇
仕事をしていなくても給与が発生する休日を指すのが「有給休暇」。社員だけでなく、労働時間・日数の条件を満たしていれば、アルバイトにも適用されるということをご存知でしたか? 付与されるのは入社してから6か月以上経過したタイミング。入社直後に風邪で休んでしまった……という場合は有給が適用できず、欠勤扱いとなって1日分お給料が減ってしまうので要注意! 使い切れなかった休暇日数は翌年に持ち越せますが、長く働けば働くほど日数は増えていくので、使い切れなくなってしまうことも。休みたいときにしっかり使い切っていくのがオススメです。
■振替休日・代休
「振替休日」も「代休」も、どちらも休日労働の分、他の労働日に休みを取ること。事前に休日労働の予定日と代わりに休む日が決まっている場合を「振替休日」と呼びます。一方、休日労働が行われた後で、代償として他の日に休むのは「代休」。こちらは、一日分の給与に加え、休日労働分の割増賃金も支払ってもらえます。また、「代休」のみ、消化し切れなかった場合は会社に買い取ってもらうことも可能です。休日として活用するか、お金に換算してもらうかを選べるケースもあるので、条件をしっかり確認しましょう!
■産前産後休暇・育児休暇
「産前休暇」は出産6週間前から取得できます。ただし、本人がギリギリまで働きたい! と申告した場合は出産直前まで働くことも可能です。出産予定日が遅れた場合も、その分、産前休暇が延長されるのでご安心を。出産後は、国が法律で期間を定めているので、「産後休暇」としてしっかり8週間休まなければなりません。「育児休暇」は基本的に子どもが1歳になるまでの間取得できますが、条件によっては2歳になるまで延長できることも。保育所が決まるかどうかも休暇の条件に含まれるので、出産後の大変な時期ですが、しっかり考えて計画的に休暇をとりたいですね。
気になるのは休んでいる間のお金。産休は基本的に会社が加入している健康保険から、育休は雇用保険から、それぞれ給与の約66%ほどの手当て金が支払われます(あくまで目安のため、正式な金額はご自身の会社に確認してくださいね)。子育てのスタートは安心して迎えたいもの。活用できるものは前もってきちんと申請しておきましょう!
■休職
体調を崩してしまったときなどに、会社に病院の診断書を提出することで療養にかかる期間を休めるのが「休職」という制度。会社によっては勤続1年以上の人が対象となったり、休職期間の上限が定められていることもあるので規定を確認しておきましょう。最初に提出した診断書の期間だけでは休みが足りない……という場合には、主治医の診断書があれば延長も可能です。
休職中は基本的に無給となる場合が多いですが、その間、健康保険から「傷病手当」として、給与の2/3の金額が給付されます。この手当は休み始めた初日ではなく、初日から「待機期間」と呼ばれる3日間を経て4日目以降の休職期間が対象となって支払われるものですので、覚えておきましょう。
休職期間中は、なによりもまずは元気になることが最優先。わからないことなどは無理に自分で解決しようとせず、それらの対応を専門としている人事担当などに相談しましょう!
<どうやってお金をもらう?>
生活をするうえではどうしても必要なお金。仕事をした対価としてもらうお給料はもちろん、もらえるお金にはいろんな種類があります。実は知らないだけで活用できていない制度があったらもったいない! ここでは、お金にまつわる用語や制度を解説していきます。
■月給制
毎月支払われるお給料は、日々の生活に直結する大事な存在。「月給制」は、1か月を単位に定められたお給料が支払われるものです。入社時に決まった月給をもとに、会社ごとの評価制度に基づいて昇給していくケースが多いです。特に転職活動の場合、前職の経験などを考慮して月給が決まることが多いので、しっかり交渉するのがおすすめです。また、昇給が年に1回の会社もあれば、2回のところもあり、回数は多くても上がり幅がそこまで大きくないパターンもあるので、どのように昇給していくのか人事担当や周りのスタッフに聞いてみると良いかもしれません。
■年俸制
「年俸制」は、次の1年間にいくら会社から支払われるかの総額をあらかじめ決めて、それを12分割した金額を毎月もらう働き方。業績によらずその1年間は安定して給与をもらえます。ただし、年が変わるごとに大きく変動する可能性も。年俸が決まっていても、時間外労働をした分は残業代がもちろん支払われます。賞与に関しては年俸の中に含まれるか、別枠で支払われるかが会社によって異なるので、確認しておきましょう!
■残業代
定時以降に残業した分の給与を追加で支払われること。深夜や土日など、働く時間や曜日によって料率が変わってくるので、気になる方は一度、厚生労働省が公開している資料などで調べてみることをおすすめします。定時以降働いた分が全額残業代として追加で支払われるのか、みなし残業代として固定給に上乗せされているかによって、毎月の収入が大きく変わってくるケースも。転職活動の際に基本給の希望だけを伝えて選考を進めていくと、年収で計算したときに大きな差が出てしまうこともあります。ちょっぴり計算が面倒くさくても、きちんと自分の希望給与がどれくらいなのか振り返っておくべし!
■賞与
賞与はいわゆるボーナスと呼ばれるもの。基本的に会社の業績によってどれくらい支給されるのか、その時々によって変わります。また、何回支払われるかも会社の制度によって異なります。年収は基本的に「月給×12か月分+賞与」で計算するもの。生活にも直結するので、転職時には月給だけでなく賞与についても見ておきたいところですね。
■保険料
毎月のお給料から、保険料というのが引かれているけど、どういうものなのかイマイチわからない……という方も少なくないのでは? これは、雇用保険や労災保険、健康保険など会社に入社したときに加入した保険に払っている金額(雇用形態によって加入条件は異なります)。産前産後休暇・育児休暇や休職の項目の説明で出てきた「手当て」をもらうには、これらの保険に加入することが必要なのです。
また、健康保険として会社が加入している健康保険組合によっては、保養施設や豪華なホテル、スポーツクラブなどが格安で利用できることも。保険が適用されるタイミングを待つだけでなく、プライベートを充実させるために活用できる可能性があることもお忘れなく!
■各社の福利厚生
たとえば住宅手当として家賃補助が出たり、学習支援制度で英会話レッスンやセミナーなどの受講料を一部負担してもらえたり。まれに、映画鑑賞や美術館の展示など、仕事に直結しなさそうな趣味に関するものでも会社が費用を出してくれるパターンもあります。珍しいものだと、オフィスがせっかくおしゃれなお店が立ち並ぶ表参道にあるからということで「表参道手当」として毎月7000円自由に使えるお金をもらえるなんて企業も! 今はまだない制度でも、会社に掛け合ってみたら新設できてしまう可能性もあるかもしれませんね!
■退職金・失業保険
退職時に会社から支払われるのが「退職金」。会社によって、たとえば勤続3年以上でないと支給されないなど、対象者が限られていることもあるので、就業規則で確認してみましょう。退職金制度がない会社も多いですが、最近は退職金の代わりに会社が出してくれる掛け金をもとに従業員が運用しながら老後資金を準備する「企業型確定拠出年金」制度を導入する会社も増えてきています。
一方、「失業保険」は退職後、次の仕事が決まるまでのライフラインとなるもの。こちらは雇用保険から支払われます。受給の条件は様々で、退職理由(自己都合・会社都合など)によって加入条件が変わってきたり、失業期間中で積極的に求職活動を行っていることが前提だったり。必要書類を揃えて、ハローワークで手続きをする必要があります。次の仕事を見つけることも大切だけれど、その間の生活ももちろん大事。しっかり準備をして臨みましょう!