She isの特集「よそおうわたし」のインタビューにも出ていただいた和田彩花さんをゲストにお迎えしたトーク企画が、10月に行われたカルチャーフェスティバル『NEWTOWN』で開催されました。テーマは「自分で選ぶこと、決めること」。15年間在籍したアンジュルム及びハロー!プロジェクトを卒業し、これまでと環境が一変した和田さん。「私の未来は私が決める」と表明し、周りと自分と対話をしながら強くしなやかに歩みを進められている中で、無数の選択と決断を和田さんはどのように積み重ねているのでしょうか?
She is編集長の野村由芽がモデレーターを務め、前半はトーク、後半は参加者ひとりひとりに持参いただいた「今の私を形作る一冊」の紹介と交換会を行いました。30人限定という小さな空間で生まれた親密なやり取り、すこしでもその温度と喜びを共有できたらと思います。
自分で進んでいきたい道を選んで、それを口に出せたこと。それは私にとって一つの大きな選択だった。
野村:今回のテーマは「自分で選ぶこと、決めること」というものですが、和田さんはこれまで大小様々な選択、決断を重ねられてきた中で、自分で選ぶことの大切さについてどう思われていますか?
和田:「自分で選ぶ」というのは、自分の感覚を大切にするってことですよね。なかなか難しいことですけれど。
野村:最近、和田さんにとっての大きな選択というのはどのようなことでしたか?
和田:グループではなくてひとりでアイドルをやる、という選択をしたんですけど、「ひとりになる」ということはメンバーやファンの方に言えても、「ひとりになってもアイドルをやりたい」という気持ちはずっと言えませんでした。次の一歩を踏み出して、新しい夢や希望を作ってみんなに届けたいという思いがありながらも、辞めてもアイドルでいるというのはどういうことなんだろう? と思われてしまうんじゃないかって。
私が思う「アイドル」は今までの形と違うだろうし、これまでのアイドル像をすこし否定するように受け取られてしまうこともあるかもしれない。そういうことを考えると、メンバーやファンの方が抱くアイドルへの夢や希望みたいなものを、自分が壊してしまうんじゃないかという迷いもありました。
でも、インタビューなどでひとりになってからのことをはっきり言えない自分が情けなくて、ある時から「私はアイドルをやります」と口にしました。自分で進んでいきたい道を選んで、それを口に出せたこと。それは私にとって一つの大きな選択だったと思います。これからは自分の意思で活動するだろうから、こんなところで恥ずかしがっていたらこの先なにもできないと思ったんです。だから毎日、心の中で自分に「がんばれ、がんばれ」って唱えていました。
ずっと、心細かったんですよ。人と違う選択をしているから、誰にも頼れないような気がして。
野村:人と違う道を選択するときは、反発があるかもしれない、誰かを傷つけるかもしれない、という不安が残りますよね。でも前回のインタビューでもお話しして、和田さんはこれまでのアイドルのあり方を「変えたい」のではなく、「選択肢を増やしたい」ということなのかなと感じていました。
和田:そうなんです。活動の第一に変革をしたいわけではなくて、選択肢を広げたいという気持ちですね。だから、そういう気持ちを自分の中で強く持っていれば、たとえ自分の考えと違う受け取られ方をしたとしても、いつか気づいてもらえるのではないかって思いました。
ずっと、心細かったんですよ。人と違う選択をしているから、誰にも頼れないような気がして。でも口に出してみたら、今日もこんなにも皆さんが来てくださって、私の話を聞きたいんだと知って、「えー!」って驚きました(笑)。しかも、私なんかに勇気をもらえる、支えになる、と言ってくれるのが嬉しくて。そういう存在になれているかわからないけれど、私が思いを口にすることで周りの人がちょっとした勇気を持ってもらえたら嬉しいです。
野村:子どもの頃は、自分の意思を口にすることが得意ではなかったとおっしゃっていましたよね。
和田:そうなんです。小学校に入るときなんですけど、ピンク色のランドセルが欲しかったんですね。でも周りはみんな赤色を選んでいたんですよ。仲良しの幼馴染も赤色で、どうしてか聞いたら「みんなが赤だから赤だよ」って。幼馴染と同じ色にしたいけどピンクがいいからどうしようか迷っていて、結果赤を選んだんです。今になってすごく後悔しているけれど、そういう後悔の記憶があるから、だんだんと自分の意思を大切にできるようになっているのかもしれません。
- 1
- 4