ラッシュが信じる「一人ひとりの変化が、何かを、誰かを突き動かす」こと

気候変動やLGBTQのパレードに参加、動物実験に反対するわけ

2020年1・2月 特集:これからのルール
インタビュー・テキスト:森陽里 編集:竹中万季
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「Join the regeneration~一人ひとりの変化が、何かを、誰かを突き動かす~」というメッセージを掲げて

あなたが昨日買ったものは何? それはどこで作られて、どうやって運ばれてきたのだろう。そして、なぜそれを選んだのだろう?

速いスピードで流れていく日々の中で、目に留まるニュース。遠い国で起きている社会問題や、失われる自然や動物たちのこと。身近な問題のはずなのに、私たちとそれらを隔てるものは何だろう?

慌ただしい日常の中で、私たちの多くは食品や日用品、生活必需品と呼ばれるものたちを無意識に選択している。作られる過程を一つ一つ想像して選んでいくことは大変なように思えるけれど、実はシンプルな答えに行き着く。例えば、化粧品や入浴剤ははだかの肌に触れるもの。日々の喜びや悲しみを洗い流してそっと支えてくれるもの。それならば、何かを犠牲にすることなく楽しめたら、それが一番いい。

英国発のナチュラルコスメブランドであるラッシュはスキンケア・ヘアケア製品やバスアイテムを作りながら、そうした社会で起きているさまざま問題に対してアクションしている会社だ。「Join the regeneration~一人ひとりの変化が、何かを、誰かを突き動かす~」というメッセージを社員同士で共有しながら、「美しさに犠牲はいらない」という思いから動物実験に反対し続け、さらにはグローバル気候マーチやプライドパレードへの参加や、オーストラリアの森林火災へのチャリティーなども行っている。

ラッシュで掲げている6つのメッセージ。「100% VEGETARIAN」「ETHICAL BUYING」「FIGHTING ANIMAL TESTING」「FRESHEST COSMETICS ONLINE」[HANDMADE]「NAKED! PACKAGING」

ラッシュが取り組む社会へのアクションは特別なことではない。私たちを取り巻く環境や人や動物たちが共に生きていくために必要なことだと考えると、とても身近に感じられる。ラッシュではどんな思いを持ってアクションにつなげてるのだろう? ラッシュのBrand Studioエディター豊田圭美さんにお話を伺った。

この社会でビジネスをする限り、企業の責任として、人と動物がハッピーに暮らせる状態で、犠牲を伴わないかたちでビジネスをする必要がある

ラッシュは1995年にイギリスの最南端、ドーセット州プールで生まれて今年で25周年を迎える。ラッシュと聞くと、動物実験を行わないことや、新鮮なハーブやフルーツを素材に使っていること、紙製で「NO! 動物実験」と書かれたショップバッグの使用など、環境や生き物に優しいブランドという認識はないだろうか。

もともとは前身である化粧品ブランド「コスメティクス・トゥ・ゴー」を経営する中で、原材料の仕入れや適切な賃金など、仕事上のやりとりに疑問を持ったことから始まったのだそう。「この社会でビジネスをする限り、企業の責任として、人と動物がハッピーに暮らせる状態で、犠牲を伴わないかたちでビジネスをする必要がある」という精神性をそのときからぶれずに持ち続けながら、2020年現在、ラッシュの店舗は世界48か国にまで広がっている。

「コスメティクス・トゥ・ゴー」の歴史が本になった『デンジャー! コスメティクス・トゥ・ゴー』(ラッシュのWebサイトへ

ラッシュが東京の自由が丘に第一号店をオープンしたのは1999年、日本での出店は今年で21年目を迎える。私も、オープンした頃のことはよく覚えている。色とりどりのソープとお店からこぼれる甘い香り、母の手を引いて、好きな物をねだって買ってもらうのが楽しみだった。

それから特に記憶に残っているのは、きびきびと明るいショップスタッフだ。初めて買ったのはホログラムのようなきれいなラメの入ったピンクとラベンダー色のソープ。今でも定番人気の自然由来の原材料でつくった洗顔料「天使の優しさ」は、そのスイートな名前に感動して、「えんソープ」の香りを嗅ぐと大人になった感じがした。宝石のような商品を次々に取り出して説明してくれる。活き活きとしたあのお店は誰が作ったもの?

ピラミッド型ではなくバスタブ型。「Do It Yourself」の精神性でスタッフ一人ひとりがアイディアから変化が生まれることを本気で信じること

例えば、美容に良い化粧品を売りたい場合、モデルを起用して広告を打ち、いかに化粧品が素晴らしいかをその容姿で見せることが一般的だ。しかしラッシュはそうした広告は出さずに、「ショップが最大のメディアである」と考え、ショップスタッフがお客さんのニーズを聞き取り、ぴったりと合う商品を提案できるようにコミュニケーションを最も重要としている。

通常の場合、経営者をトップに置いた「ピラミッド型」の構造がある中で、ラッシュの場合はそれが真逆になる。ピラミッドをひっくり返した「バスタブ」の形に例え、トップダウンでなく、スタッフの一人ひとりが自分のアイデアを発信できる場が作られているそう。「Do It Yourself」の精神性が根付き、そうしたアイディアから変化が生まれていくことをみんな本気で信じていると教えてくれた。

目先の売り上げだけでなく、数字にできない思いや信念を会社で働くひとりひとりが共有している。すぐに結果が出ないこともあるなかで、信じて行動することを全ての部署の人で共有している。ショップスタッフそれぞれが、商品の背景にどういう価値があるのかを自主的に学び、吸収していく動きが強制ではなく起きているのは、自分のなかで企業が掲げるメッセージに共振するものがあるからこそだろう。

PROFILE

森陽里
森陽里

夏を愛する1月生まれ。表現の始まりは絵を描くことから、アクション・ペインティングから身体表現に興味を持つようになる。多摩美術大学で油画と映画を学び修士課程を修了。俳優やモデルとして活動する傍ら、絵を描く行為を演じたパフォーマンス作品を発表している。趣味はお酒とダンス。
Photo by Masaya Maekawa

INFORMATION

ブランド情報
ラッシュ

英国生まれのフレッシュハンドメイドコスメブランド。創立以来、新鮮さとオーガニックにこだわった、採れたてのフルーツや野菜、香り高いエッセンシャルオイルを使い、一つひとつハンドメイドしています。また、原材料は地産地消にこだわり、可能な限り国内で入手し、全ての製品をキッチン(神奈川県の製造工場)で生産し、フレッシュな状態でお客様に商品をお届けしています。

ラッシュ公式サイト Lush Fresh Handmade Cosmetics

関連情報
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We the Bathers

日本を含む世界12か所の異なるバスタイムのストーリーをモチーフに、全てに共通する“水によって解き放たれる人間の感情”を描いた短編ドキュメンタリー映画です。人種差別、メンタルヘルス、ホームレス、移民、売春といった社会問題にも触れながら、水に触れることでいかに感情を解放するのか、またその感情の解放におけるバスルームの役割を浮き彫りにしています。この短編は、 2020年1月ニューヨークで開催された 『Vimeo’s 2019 Staff Picks Best of the Year』のBest of Documentaryにノミネートされました。

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