大人が「ちゃんとしていく」のは、自分で節目をつけないと気持ち悪くなっていくから。(能町)
スー:前にコラムでも書いたのですが、お正月って日本に暮らしている人にとってはものすごく大きなものじゃないですか。だけど、東京に住んでいるとスルーしようと思えばどこまでもスルーできるものでもある。でも、他の行事とは違って、やり過ごすと私は新しい年が来たことが感じられなくて、どこかもやもやするんですよ。お正月って、こっちが迎えにいかないとどうにもならないんです。
能町:迎えにいく(笑)?
スー:例えばクリスマスは、お店の様子やイルミネーションによって行事を感じられるというか、勝手に街が垂れ流してくれるんです。一方、お正月に垂れ流されているのはテレビの特番などで、私はあまり街を出歩かないし、テレビもあんまり見ないから、家の中に正月セットがないとほとんど正月をエンジョイできない。
能町:自主性がないといけないわけですね。
スー:そうなんです。だから1回実験的にやってみようと思って、数日前からお飾りをして、大晦日は年越しそばを作って食べて、『ゆく年くる年』を見て、初詣に行って。翌日は買っておいたおせちを食べ、『埼玉政財界人チャリティ歌謡祭』を見たり、小さいお年賀を買ってラジオのスタッフに渡したりもしました。そうしたら、すごく「お正月を迎えた感」が出ました。
能町:それも形なんですねえ。大人が「ちゃんとしていく」のは、自分で節目をつけないと気持ち悪くなっていくからなんでしょうね。
人間は年を取っただけじゃ、全然大人になれない。(ジェーン・スー)
スー:そのことを、さきほど話した結婚式でも思いました。人間は年を取っただけじゃ、全然大人になれない。ちゃんとしないと、どこまでもちゃんとしないままいけちゃうというか。それでも全然いいんですけど、ある程度型にはまったほうが健康に過ごせるという側面もあるのだと思います。不健康に過ごすも健康に過ごすも、その人の勝手なんだけど、できるだけ自分を健康な状態においておいたほうがいいのかなとは思う。
能町:多分結婚というのも歴史の知恵なんですよね。いろいろ間違ってるところもあるけれど、人類が育んできた結果なんでしょうね。
スー:システムとしての結婚はそこそこ有効なのかなと思いますね。ただ、今後は相手を異性に限るなんていうことはバカバカしくなってきますよね。別に恋愛ベースじゃなくて、65歳超えたら女友達と結婚するという方法でもいいし。
能町:そうですね。私自身もシステムがあることに対してはわりと従順な気持ちになってきた感じがありますね。
スー:子供のころから寂しいって気持が比較的乏しいタイプではあるんですが、ひとりでいるよりはふたり以上でいたほうが気持ちとかはうまく回るんだろうなって思うようになってきました。
能町:中にはほんとにひとりで大丈夫な人もいるんでしょうけどね。もともと私はそういう人に憧れてたんですよ。でもそれは向き不向きなんですよねえ。
スー:『結婚の奴』は、今後どこにいくんでしょうねえ。連載中から、能町さんはどこまで書くんだろう? ってドキドキしてたんです(笑)。
能町:そうですねえ。ほんとはもうちょっといろいろあったんですけど(笑)。今回の定期報告会としてはこんな感じですかね。
スー:公式でも非公式でも、また報告会しましょう。
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