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2020年4月7日(杉田ぱん)/違う場所の同じ日の日記

勉強は未来の為の行為であることをつよく感じることができる

テキスト:杉田ぱん
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4/7のこと。

「もう十分に寝た」とからだの訴えを受け、目覚ましいらずで起床するとまだ5:00、というのがここ数日のルーティンだ。
目覚ましは7:00にかけているため「まだ十分じゃないっ」とからだへ申し伝えてから二度寝をきちんとする。睡眠においての無理はきらいだ。8時間以上の睡眠を心掛ける。

2週間前から勤め先がテレワークへ切り替わった。いま、世界的に疫病が流行っていて、自宅で過ごすよう日本政府も呼びかけをはじめたからだ。呼びかけているけど、社会が十分に機能しない間、私たちの生活にさまざまな影響が及ぶことを政府は甘く見積もっている。友人のお店のいくつかはすでに閉店をした。自分が以前働いていたお店もなくなった。しかし、マスク2枚以外を国から貰える気配はない。「税金を返して! マジで!」という叫びがおうちのなかで響きわたり、パワーのあるときはそれを官邸や議員へ送りつけている。

テレワークがはじまり、毎朝の時間の使い方はこれまで送ってきたどれとも似つかないものとなっている。
始業時刻は9:00からなのだけど、まず7:00にむにゃむにゃベッドからでてきて、バスタブに湯を張る。朝はシャワーを5分で浴び、一刻も早く家を飛び出すのが今までのモーニングルーティンであったため、まずこの時点で、私史上いまだかつてない選択だ。しかも持ち込み読書までキメており、「老いたる霊長類の星への賛歌」もしくは「ペスト」を泣きながら読んだりしている。

さて、ゆっくり朝風呂を浸かったら、8:00からNHK「まいにちハングル講座」で韓国語の勉強に励む。一緒に学習をはじめた友人と今日使えるようになった韓国語に喜び、来年は韓国へ行こう! と言い合う。勉強は未来の為の行為であることをつよく感じることができる。自宅で過ごす時間が増えることで閉鎖的な気持ちになりやすいこの期間、とても救われる行為だ。ちなみに今日は「蝶々ですか?」「はい、蝶々です。」と言えるようになったので森や林、もしくはギャルショップで役に立つ日が来るだろう。

冷蔵庫に入っていたパイナップル、キャロットケーキ、焼き魚(甘いものだけで食事ができない)で朝食を済ませると9:00がやってきたので業務開始。
勤め先での時間は毎日、嵐のように過ぎ去っていく。テレワークに切り替わってもやるべきことは減っていない。自分に出来る仕事を引き続き精一杯やりたい。本来、感じなくてよいはずの不安要素は国が補うべきだ。個人がやるべきことのなかに、国がやるべき仕事が入り込んでくることは、おかしな話だ。

しかしお昼休みに国会中継をみてみたら、国がすべき、自粛要請を受けている私たちの生活の穴埋めは、見事に個人へ擦り付けられていた。思わず「国、仕事しろ~」と声がでた。おまけにこの期に及んで、改憲しようとしている。なぜそんなに邪悪に生きることができるのだろうか。あんまりだ。人間は権力を持つとときにこんなふうにも傲慢に生きる。目をそらさずに批判し続けたい。

あっという間に定時の18:00は訪れる。今日はなんだか疲れた。シンプルな仕事の疲れというよりも、お昼休みの国会中継のダメージが引き続き感じているかんじだ。友人へ電話をかけ「この国どないなんだが」と話し合う。

自分が募らせている思いを他人へ伝えることで、自分の気持ちに輪郭ができる。それはとても生きた心地のする感覚だ。他人がいてくれて嬉しいと感じた。

友人との会話で20:00から好きな物語を書く韓国の作家がインスタライブを予定していたことを思い出す。

うきうきインスタライブを聞くのだけど、韓国語を聞き取ることができないので、ときどき出てくる外来語や、画面に写っているもので内容を推理。

来年の私は韓国語をどのぐらい聞き取れるのだろうか、と考える。
ちなみに今日の私は、覚えたての韓国語「コーヒー」の発音を聞き取ることができた。先週のわたしにはできなかったことだ。
不透明な毎日のなかでも、たしかなこととしてそれは存在していた。
そういうものをできるだけ手放さず、明日もやっていきたい。
だから、今日はゆっくり寝るのだ。おやすみなさい。また明日。

「違う場所の同じ日の日記」
この日々においてひとりひとりが何を感じ、どんな行動を起こしたのかという個人史の記録。それはきっと、未来の誰かを助けることになります。
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PROFILE

杉田ぱん
杉田ぱん

1994年6月生まれのフェミニスト。高円寺の古着屋で5年間勤務をしたのち2019年春よりフェミニスト目線で世界中からセクシュアルウェルネスにまつわる商品をセレクトする「LOVE PIECE CLUB」へ転職。

2020年4月7日(杉田ぱん)/違う場所の同じ日の日記

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