She is 読者のみなさま、こんにちは。自炊料理家として活動している山口祐加です。まずは白湯でも飲んで、読みはじめてみてください。お茶がなくとも、白湯で十分ほっとできます。
料理研究家でなく「自炊料理家」ってなんぞやという話ですが、わたしの仕事は「料理する人を増やす」をモットーに、料理初心者や苦手な人向けに買い物のしかたから残り物の使い方までお伝えすること。外食や中食など食の選択肢が増える中でも、自分で作ってみたいと思っている人をサポートするのが役目です。
さて、今回の記事では「セルフケアとしての自炊」をテーマに3つほどレシピをご紹介していきます(1つめのレシピ「菜っ葉のオイル蒸し」の記事はこちら)。
切らずに茹でただけ、焼いただけのごちそう
やる気がでない、切るのもめんどくさい……というときに、決まって作るのは野菜を丸ごと茹でただけ、焼いただけの料理。食材と料理の合い間にあるような「食材をおいしく食べるために手を添えた」くらいの食べ方も、料理と呼んでいいと思うのです。
今回紹介するのは、「菜の花の茹で上げ」と「丸ごと焼きピーマン」。どちらも切らずに、茹でただけ・焼いただけですが、素材の味をまっすぐに感じられて、満足感のある一皿です。
切らずに、茹でただけ「菜の花の茹で上げ」
材料:
菜の花 1束、オリーブオイル 大さじ1、塩 適量
作り方:
①1リットルのお湯を沸かし、塩を小さじ2入れる。菜の花1束を茎から入れ、30秒経ったら葉も入れ、追加で30秒ほど茹でる(茹で時間合計1分)。
②熱々の菜の花を皿に上げ、上からオリーブオイルと塩をぱらっと飾り程度ふりかける。ナイフで切りながら食べる。
アスパラガス、インゲン、オクラなどでも切らずに同様の調理法で食べられます。
切らずに、焼いただけ「丸ごと焼きピーマン」
材料:
ピーマン 2つ、ごま油 小さじ1(サラダ油でもよい)、醤油・鰹節 適量
作り方:
①ピーマンは破裂しないように、ようじか箸の先で数カ所穴を開ける。
②フライパンにピーマン2つとごま油を入れ、蓋をして中火にかける。ジューと音がしてきたら大さじ1の水を入れ、片面2分ずつ焼く。
③全体に火が通ったら皿に移し、醤油を垂らしかつお節を乗せて完成。
ピーマンの内側で蒸されてヘタもタネも柔らかくなっているので、丸ごとガブッと食べてみてください。ピーマンのジューシーさに驚くはずです。
おいしい気持ちは生きる希望
ふつうの毎日を過ごすことが難しくなって、1か月ほど経つでしょうか。暮らしや仕事の変化は、多かれ少なかれみなさんにあると思います。正直、くたびれちゃいましたよね。
いつもなら、友達とおいしいものを食べに行ったり、好きな喫茶店で本を読んだり、たまに旅に出かけたりして「毎日、おつかれさま」と自分にささやかなご褒美をあげていたと思います。
でも、いまはそれができない。けれど日々は続きます。さわがしいニュースを見聞きして、そわそわする気持ちをどうやって落ち着けたらよいだろうか。そんなセルフケアの一つとして、自炊を提案してみたいのです。
私は「自炊=自分の身体と心を世話して、生きていく自信をちょっとずつ積み上げる営み」だと思っています。料理というと、どうしても出来上がった食べ物に目が行きがちですが、「作るプロセス」にこそ魅力があります。
食材を触った指先の感覚、吸い込みたくなるような香り、ジュージューと焼ける音。野生動物にでもなった気分で、五感をひらいて料理すると「生きている実感」がじわじわと感じられます。食材と触れ合っているだけで、なんだかひとりじゃない気もしてきます。面倒見て作った料理は、かわいくておいしいもの。もやもやした頭は一旦オフにして料理すれば、終わる頃には頭がすっきりして、心もしゃんとしているはずです。
週3回、りきまずに料理をしてみませんか?
「家にいる時間が増えたから、そろそろ自炊でもしてみようかな。でも何から手をつけていいかわからないし、食材をうまく使えこなせなさそう……」と思っていたら、週3回の自炊で食材を使い切れる「週3レシピ」を使ってみてほしいなと思います。
料理ができない友人が「苦手だけどやってみたい」と話してくれたところから始まった週3レシピは、旬の食材と定番食材を少しずつ買って、週3日の自炊で食材を使い切る=残り物がでないレシピです。毎月noteで発表してきたものがこの春、一冊の本になりました。りきまず、心地よい自炊の続け方を一からお伝えしています。ぜひ手に取ってみてください。
『週3レシピ 家ごはんはこれくらいがちょうどいい。』
※新型コロナウイルス感染症については、必ず厚生労働省や首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている一次情報をご確認ください。