She is 読者のみなさま、こんにちは。自炊料理家として活動している山口祐加です。まずは白湯でも飲んで、読みはじめてみてください。お茶がなくとも、白湯で十分ほっとできます。
料理研究家でなく「自炊料理家」ってなんぞやという話ですが、わたしの仕事は「料理する人を増やす」をモットーに、料理初心者や苦手な人向けに買い物のしかたから残り物の使い方までお伝えすること。外食や中食など食の選択肢が増える中でも、自分で作ってみたいと思っている人をサポートするのが役目です。
さて、今回の記事では「セルフケアとしての自炊」をテーマに3つほどレシピをご紹介していきます
・「菜っ葉のオイル蒸し」の記事はこちら
・「菜の花の茹で上げ」「丸ごと焼きピーマン」の記事はこちら
200円の贅沢「鶏ガラ汁麺」
家で過ごす時間が増えた今、「時間はかかるけど手間がかからない料理」を作ってみるのは」いかがでしょう。例えば、味付け卵、野菜のマリネなど簡単な下処理をしてあとは時間が料理してくれるのを待つだけ、という食べ物です。そんなふうにお家にいるし時間はあるけど、むずかしいことはしたくないときに決まって作るのが「鶏ガラからゆっくりだしをとった汁麺」です。
鶏ガラも麺も100円程度なのでたいしてお金はかからないのですが、この一杯を食べるために時間をかけて作っていることが贅沢で楽しい。ことこと煮える鶏ガラをたまに見ながら、お家で過ごす時間はとても豊かです。
鶏ガラスープは汁麺以外にも、スープや雑炊などに使え、冷凍もできるので時間のあるときにまとめて作っておくのもおすすめです。
鶏ガラスープの作り方
材料:
鶏ガラ1羽分、長ねぎ(緑の部分)1本分、生姜3スライス (ニンニクでも代用可能)、水 1.5リットル
作り方:
①鶏ガラ全体に熱湯をかけ、血の塊などは取り除く。熱湯にかけることで臭みを抑える効果もある。
②鍋に鶏ガラ、長ネギ、生姜、鶏ガラが隠れるほどの水を入れ中火で加熱する。沸騰したら弱火にし、アクを取り除く。
③そのまま1時間~2時間ほど弱火で熱し、水が減ってきたら都度少しずつ足して加熱する。
④キッチンペーパーを敷いたザルでスープを濾す。
ほぼほうっておいただけなのに、濃厚なおいしいスープが完成します。スープはお好みで塩や醤油で調味し、茹でた麺や具材を乗せて汁麺を楽しみましょう。
おいしい気持ちは生きる希望
ふつうの毎日を過ごすことが難しくなって、1か月ほど経つでしょうか。暮らしや仕事の変化は、多かれ少なかれみなさんにあると思います。正直、くたびれちゃいましたよね。
いつもなら、友達とおいしいものを食べに行ったり、好きな喫茶店で本を読んだり、たまに旅に出かけたりして「毎日、おつかれさま」と自分にささやかなご褒美をあげていたと思います。
でも、いまはそれができない。けれど日々は続きます。さわがしいニュースを見聞きして、そわそわする気持ちをどうやって落ち着けたらよいだろうか。そんなセルフケアの一つとして、自炊を提案してみたいのです。
私は「自炊=自分の身体と心を世話して、生きていく自信をちょっとずつ積み上げる営み」だと思っています。料理というと、どうしても出来上がった食べ物に目が行きがちですが、「作るプロセス」にこそ魅力があります。
食材を触った指先の感覚、吸い込みたくなるような香り、ジュージューと焼ける音。野生動物にでもなった気分で、五感をひらいて料理すると「生きている実感」がじわじわと感じられます。食材と触れ合っているだけで、なんだかひとりじゃない気もしてきます。面倒見て作った料理は、かわいくておいしいもの。もやもやした頭は一旦オフにして料理すれば、終わる頃には頭がすっきりして、心もしゃんとしているはずです。
週3回、りきまずに料理をしてみませんか?
「家にいる時間が増えたから、そろそろ自炊でもしてみようかな。でも何から手をつけていいかわからないし、食材をうまく使えこなせなさそう……」と思っていたら、週3回の自炊で食材を使い切れる「週3レシピ」を使ってみてほしいなと思います。
料理ができない友人が「苦手だけどやってみたい」と話してくれたところから始まった週3レシピは、旬の食材と定番食材を少しずつ買って、週3日の自炊で食材を使い切る=残り物がでないレシピです。毎月noteで発表してきたものがこの春、一冊の本になりました。りきまず、心地よい自炊の続け方を一からお伝えしています。ぜひ手に取ってみてください。
『週3レシピ 家ごはんはこれくらいがちょうどいい。』
※新型コロナウイルス感染症については、必ず厚生労働省や首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている一次情報をご確認ください。