2020年4月7日(今橋愛)/違う場所の同じ日の日記

子が私のかいらいのわけはなく

テキスト:今橋愛
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2020年4月7日(火)

7時には起きて下でつくなんでたらめずらしく起きてきた子ども熱が下がって。
というかきのう病院ではかったら もう熱は平熱で。だけどこんな時期だし。と、もう一日学童休む。
きな粉もち食べて後、あそび道具をかばんに入れマスクして帽子かぶって。子はマスクにパーカーのフードかぶって散歩に。
子はあっちに行きたいと言うも、私は ひとっこひとりいないので こっちに行こうと言い。
けど子が私のかいらいのわけはなく、やはり怒りだし。
そして私がひそかに思っていた そっちにしばらく進む、を一切無視して 
子は そっちとは ちがうほうにぐきりと方向転かんする。
坂道で この缶ぽっくりみたいなやつ やるか。と かばんから赤いのを出し 私は ちょっとだけ子の機嫌をとる。
子はやる。と赤いそれに左足を乗せ、右足も乗せ 緑いろのひもを持ってくだり。
くだり坂のため、赤いのが時おり ずずずとすべっていくから まあまあスリリングなので
子の二の腕あたり持って ついておりる。
生きものが今、生きている動きをパーカー越しに甘受するのは ちょっとめんどう。
坂くだって後、ああ いい運動になったわあ。と子は とってつけたようなこと言ってはちはち家にもどる。

そして昼にならないうちに昼ごはんを食べ。
おもてで子どもらの声がすると 子はいそいそマスクをつけ窓をあけ話しかけ 
そーとーでーあーそーびーたーいー! となるのため 
昨日にひきつづき おやすみ、ロジャーのパクリ? なのか ロジャーがパクリなのか どっちがどっちか もはや解らない トラ猫のロンルーの朗読をかけるも、たちまち ねむりそうなのは私のみ。
ろれつがまわらず もうろうとしている私の横で 子は私のメガネのつるに鍵をかけている。

夕方 おふろに入ってるときに 突如 子がこまどり姉妹。というので なんで。と聞いたら
(こまどり姉妹て言ったら)ママがわらうからって。泣くわ。

夜ごはんも夜にならないうちに食べる。
ごまをするのと、きゅうりを半分に切ったまんなかをスプーンでこそげとるのをやってくれる。
こそげとった ほかすところを 食べてみるか。と聞いたら 子はいらん。と そっぽをむいた。

『短歌研究』2020年4月号「四月の歌」(島田修三)で紹介されてた歌。
昭和42年。空穂、90才。亡くなる5日前の歌だそう。

四月七日午後の日広くまぶしかりゆれゆく如くゆれ来る如し 窪田空穂

「違う場所の同じ日の日記」
この日々においてひとりひとりが何を感じ、どんな行動を起こしたのかという個人史の記録。それはきっと、未来の誰かを助けることになります。
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PROFILE

今橋愛
今橋愛

1976年大阪市生まれ、大阪在住。歌人。1児の母。
大学在学中に岡井隆の授業で現代短歌に触れ、23才で短歌をつくりはじめる。
2002年、北溟短歌賞受賞。翌年、歌集『O脚の膝』(北溟社)を刊行。
歌集に『星か花を』(マイナビ)。共著に『いまドキ語訳越中万葉』(北日本新聞社)、『トリビュート百人一首』(幻戯書房)。
2018年、7月 歌集『としごのおやこ』(書肆侃侃房)を刊行。

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