初めてコーヒーを飲んだのは、中学1年の夏だった。私は、当時親がよくいう「思春期だね」という言葉が嫌いだった。きっと思春期だったからだと思う。それと一緒に、「そろそろコーヒーとか飲む時期だね」とか言って笑ってる母を見て苛立ったりしてた。悔しかったから「別にコーヒー飲みたいとか思わない」って言ってたけど、正直飲んでみたかった。何だかカッコ良かったから。中学1年のテスト週間、夜遅くまで勉強するのに、甘ったるいカフェオレばかりを飲んでる自分に嫌気がさして、スーパーで買ってもらったペットボトルに入ったブラックコーヒーをコップに入れて飲んだ。苦くて全然美味しくなかった。気分悪くなっちゃって、勉強どころじゃなくなったのを覚えてる。その時は全然コーヒーなんて好きじゃなかったのに。
私がコーヒーを好きになったのはいつだったんだろう、カフェで働くお姉さんを見て憧れを持っていた時にはもう既に好きだったと思う。アイドルになる前、アルバイトをしていた時に少しだけコーヒーについて学んだことがある。自分の全く知らない世界がそこには広がっていて、なんだかゾクゾクしたのを今でもハッキリ覚えてる。何かの芸術作品や映像、音楽やたくさんのカルチャーには何でも、背景のような物語があると思っている。私とコーヒーの繋がりに物語があるように、コーヒーにも世界規模の物語がある。きっとまだまだ知らない世界が死ぬほど広がっていて、一口飲むたびにそれを少しだけ知れたような感覚に陥るから、知らない相手のことを知って嬉しくなっちゃって、なんだかコーヒーも人間みたい。
私がコーヒーを飲むタイミングはいつだろう。ちょっと早起きして気分のいい朝、授業で目を覚ましたいお昼時、長い夜を共にしてくれることもある。私にとってコーヒーは日常生活に欠かせないものになってしまっている。一体私はどのくらいあなたのことを理解できているだろうか。コーヒーを飲む人は世の中に沢山いるかもしれないけど、その背景を理解し、嗜んでいる人はどのくらいいるだろう。また、考えても結論の出ないしょーもないことを考える。そんな時間を共にしてくれるあなたが、私に寄り添ってくれるように。これを読んだ貴方が何かを考えたり思い出すきっかけになりますように。今日もまたコーヒーを淹れる。雨が上がった空は青くて綺麗、眺めているだけでしあわせな時間。