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緑溢れる公園で癒やしを得よう。She is的公園ガイド8選

緑溢れる公園で癒やしを得よう。She is的公園ガイド8選

Girlfriendsが薦める台湾、大阪、名古屋、東京、神奈川の公園

編集:竹中万季
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臨港パーク(神奈川県横浜市):みなとみらいの都市と海の間にゆるやかに広がる公園、そのそばにある世界でいちばん気に入っている空き地

麦島汐美

みなとみらい線の新高島駅かみなとみらい駅から、海の方へ進んだ場所にわたしのお気に入り「臨港パーク」はあります。海沿いに芝生のひらけた土地が続いていて、どこからどこが公園なのか、みなとみらいの街や人々との間にゆるやかに広がる公園です。

公園の南側にある池の水は海水で、海と池の境界をまたぐように、アーチ状の石橋が掛かっていて、その橋の下のあたりでは、おじいさんや親子づれがなにかを真剣に釣っていたりします。公園沿いの海面は高くて、近くの山下公園の辺りと比べるとかなり海との距離が近いような気持ちになります。潮が満ちているときなんかは、かがんで手を伸ばせば海水に指先が触れるくらいです。わたしの足もとから、ずっと先まで海が続いていって、水平線が遠くの工業地帯を繋いでいる、そういうことをぼんやり思うだけで気持ちが解放されていくような気がします。護岸の前は、ゆるやかで幅の広い階段が2、3段続いていて、そこに腰を下ろして、海から来る風に吹かれながら絶え間なくゆらめいている波を見ているとあっという間に時間が経ってしまいます。水がぶつかって出来る小さい三角形。その三角形と三角形がまたぶつかる。崩れて、消えて、また生まれてくる。最初うるさく思える波や海風の音も、潮の匂いがじんわり皮膚に染み込むうちにわたし自身の音みたいに思えてくるのが不思議です。海水浴場でふれる海とも、岩場で打ちつけてくる海とも、深く潜っているときとも違う距離感で海と同期する。同じように海を見ている人たちの気配を感じつつも、とくに干渉せず、それぞれの時間が海に向かって広がっていく場所です。

護岸から街へ上がっていく緩やかな勾配の芝生広場では、「ふれあいショップみなと」という売店がポツンとあって、都市の海の家でテイクアウトするアイスコーヒーは特別おいしいわけではないけれど、ここでゆっくりするのならちょうどよくておすすめです。

海と向き合って疲れたり石の階段にお尻が痛くなってきたら、みなとみらいの方へふらふら歩いていって、映画館や本屋さんに寄ったり、お金があるときは「万葉の湯」で体をお湯に浸すのもよいと思います。

もう1箇所、紹介させて欲しい場所があるのですが、よかったら聞いてください。

「臨港パーク」から海に背を向けてパシフィコ横浜を通り抜け、すずかけ通りをまっすぐ進んでいくと、世界でいちばん気に入っている空き地があります。大企業の高層ビルやタワーマンションに囲まれた再開発の中心に、ぽっかりと穴があいているような異様な場所です。夏は雑草がフェンスのなかでごうごうと繁殖し、雪が降れば枯れた植物の上に積もるふかふかの雪が長いこと光っています。ちょうどこの空き地が見渡せる歩道橋がすずかけ通りにかかっているので、どうかその上から眺めてみてください。

「みなとみらい」と呼ばれるエリアは、平坦に続く土地に、タイルの敷き詰められた歩道、ガラス張りの高層ビルが立ちならび、電線はもちろんなく、あらゆるノイズは隠され、あるいは排され、清潔、整然としていて、わたしはそういうみなとみらいが好きです。でも、規則正しく並ぶ歩道のタイルを数えながら心を整理して歩きながらも、思い出してたまらなく会いに行きたくなるのは、その隣で常にごうごうと広がりうなっている海や、隙間で密かに繁殖し続ける植物たちです。足元でいまは確かにこの体を支えている地面をバリバリと剥がしていけば、そこにはわたしの知らない人々がここに住んでいた記憶や歴史、この土地を覆ってきた植物や、海や、岩の呼吸が眠っている確実な気配が張り詰めていることに気付く。

公園の好きな場所に腰掛けて、地図アプリで自分が座っている現在地の1970年代くらいまでの地図や航空写真を見てみると、ここが海だったこともよく分かります。大きな力でぐいぐいと動いているこの土地の歴史の過程の上で、たまたま得た安全さに腰掛けて考え事をする贅沢になんの意味があるのか、不安な気持ちを片隅に置きながら、それでも考えることを止めてはいけないと、波のそれぞれの形と潮の流れの副産物に五感を満たされながら、いつも静かに思います。臨港パークによかったら足を運んでみてください。

PROFILE

燈里
燈里

1992年茨城県生まれ。台北在住。千葉とフィンランドで教育学専攻・現代芸術理論副専攻を経て、現在は台北教育大学国際修士現代芸術課程に在籍。2012年から忘れる記憶の記録のためにスケジュール帳を作る。

櫻子
櫻子

ekot spectrum works / 檸檬はソワレ ディレクター
1992/05/07 東京都出身
幼少時から東京、深圳、香港での生活を経て、貿易関連の業務に従事しながら、2015年からワックスサシェ・キャンドルの制作をはじめ『檸檬はソワレ』として活動をスタート。2018年3月より、檸檬ソワレを包括し、より裾野を広げた制作・提案を目的とした『ekot spectrum works (エコー・スペクトラム・ワークス)』を立ち上げ展開中。
東京、札幌、大阪など複数の店舗での取り扱いの他、イベント出展も多数。
最近ではMUSIC VIDEOへの作品提供や、手塚治虫生誕90周年アニバーサリーコラボレーション等、活動の幅を広げている。

丘田ミイ子
丘田ミイ子

文筆業9年目、2児の母。滋賀県にて、四人姉妹の三女として程よく奔放に育つ。大学は、日本語日本文学科の太宰治ゼミに所属。その後上京、ライターの道へ。キャリアスタートは『Zipper』。その他雑誌・WEB・広告のライターを経て、2018年よりペンネームを一新し、演劇と生活を綴る日々へ。ライフワークとして、詩を使った展示『色彩—ichijitsu』(2012)、『たびのこどもpresents「こゝろは、家なき子」』(2015)などを不定期開催。次回は2020年3月頃予定。言葉を紡ぎ、隙あらば演劇を浴び、役者の夫と2人の子どもと生きています。目下、人生のスローガンは、“家庭と演劇の両立”。

カトートシ
カトートシ

大学職員 兼 映画エッセイスト

2018年よりカトートシとして活動を開始する。
大学時代は文学批評を専攻。
本屋や美術館のスタッフ、カナダでのライター経験を経た後、現在は大学で働く傍ら、「映画エッセイ」を執筆。映画から抽出したエッセンスを日常の枠組みで解釈し、言葉で再構築する。
カトートシという名前は、俳人である祖父に由来するもの。

チーム未完成
チーム未完成

しをりん、ゆりしー、ぴっかぱいせん、ゲッツ!の落ち着いた大人の女性4名によるクリエイターごっこ集団。各々が、写真、デザイン、似顔絵、文章、音楽制作、DJ、ガヤなどの一発芸を持ち、2014年夏に渋谷センター街に彗星の如く出現した気でいます。パンと書かれたステッカー、パンのZINE、パンのグッズ、パンの楽曲等を次々と発表し、主にアートイベントの賑やかしとして活躍しています。最近は海外のアートブックフェアに乗り込んだり、CHAIやDJみそしるとMCごはんのMV制作もやらせてもらって恐縮です。

寺尾紗穂
寺尾紗穂

音楽家。文筆家。1981年11月7日東京生まれ。2007年ピアノ弾き語りによるアルバム『御身』が各方面で話題になり、坂本龍一や大貫妙子らから賛辞が寄せられる。以降、アルバム『御身onmi』『風はびゅうびゅう』『愛の秘密』『残照』『青い夜のさよなら』『楕円の夢』『私の好きなわらべうた』『たよりないもののために』をリリース。並行して伊賀航、あだち麗三郎と結成したバンド「冬にわかれて」の始動、坂口恭平バンドにも参加。活動は、映画の主題歌提供、CM音楽制作(ドコモ、森永など多数)やナレーション、エッセイやルポなど多岐にわたる。新聞、ウェブなどで連載を持ち、朝日新聞書評委員も務める。著書に『評伝 川島芳子』『愛し、日々』『原発労働者』『南洋と私』『あのころのパラオをさがして 日本統治下の南洋を生きた人々』、編著書に『音楽のまわり』がある。

麦島汐美
麦島汐美

1995年東京生まれ。
ミスiD2018文芸賞受賞。写真、映像、文章の制作と、インターネットや雑誌などで発表を行う。ステージで歌って踊るあの子も、50年前にひとりの部屋で小説を書いていたあなたも、いま隣で餃子を頬張っているこの子も私のアイドルなら、いつか私も誰かの小さい光になれたらと目論んでいる。現在はテレビの制作会社勤務。
https://shiomimugishima.com/

吉野舞
吉野舞

1995年生まれ。淡路島生まれ、育ち。
写真を撮ったり、文章を書いたりしています。
座右の銘は「人生の大体の出来事は、自分のせいで人のおかげ」。
今、東京。

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