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緑溢れる公園で癒やしを得よう。She is的公園ガイド8選

緑溢れる公園で癒やしを得よう。She is的公園ガイド8選

Girlfriendsが薦める台湾、大阪、名古屋、東京、神奈川の公園

編集:竹中万季
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十三公園(大阪府大阪市):こんなに人が力を抜かすのは公園しかない。衝撃のおじちゃん二人組を目撃した場所

吉野舞

「公園」と聞いて、人に話したいエピソードがあります。それは大阪の十三(じゅうそう)という街にある「十三公園」で起こった本当の話です。

その日、私は友人の実家がある大阪に遊びに来ていました。「The観光地ではなく、地元民の生活が垣間見れるような場所に行きたい!」と、友人を引き連れて、隣駅だった十三駅周辺の街に繰り出し、道で靴が片一方だけで売られているのを見たり、喫茶店「泉」でコーヒーとたこ焼きというなかなかない組み合わせを食べたりと、それなりに街を楽しみ歩き疲れた私たちは、「ちょっとひと休みしよか」と、繁華街を外れ目についた近くの公園へ向かったのでした。

着いた瞬間すぐに、おじちゃん二人組が地面に倒れているのを見つけました。私は反射的にこれは何か大変なことが起こったと判断し、「ちょっと……! 人が倒れてるで! き、救急車呼ばなっ!」と、人生で一番お腹の底から大きな声を出し、驚く友人を横目におじちゃん達の元へ走って行きました。 近くまで行き、「おじちゃん! どないしたん! え、大丈夫!」と必死に声をかけますが、おじちゃん達は両足が綺麗に重なったまま無言で倒れています。辺りに人もおらず、振り返ると友人が「やばいな! やばいで! やばいやん!」と、頭が混乱しているせいなのか「やばい」しか言っていません。何回か声をかけると、様子のおかしいことに気がつきました。一人のおじちゃんの口から「スゥーヒュー」と、一定のリズムを刻む寝息のようなものが聞こえてきたのです。そこでさっきまで「やばい」しか言えなかった友人が、「なあ、この人ら寝てない?」と急に冷静な言葉を話し、よく見てみるとおじちゃん達はガッツリ就寝中。

その瞬間に緊張の糸が切れたからなのか、もうおかしくてたまらなくなり、「あははははははははははははははは!」と、私は噴き出してしまいました。それにつられて友人も「ぶっ」と噴き出し、腹を抱えてその場に転げました。目の前で笑いすぎて瀕死状態の私たちがいるのにも関わらず、おじちゃん達は態勢を変えることなく寝息を吐きながら寝続けてるのでした。私の友人は後日、その重なり具合のことを「コンビニなどで手軽に手に入る『紗々』というチョコレートみたいに綺麗な二重構造やった」と、例えていました。2人で体温を分け合うためにあえてそう寝ていたのか、寝ている所を誰かが重ねたのか未だに謎しか残っていません。もう十三、最高! 吉本新喜劇でもこんな場面ありませんよ。今、思い出してもこのおじちゃん達の行動と間抜けな寝顔に胸がきゅんとします。

私はその時思ったのです。これは「公園」だからこそ成り立つ場面だと。こんなに人が力を抜かすのは公園しかない。そして、誰にもみせびらかそうと思わず、自分の心地良いことを貫くことができる場所だと。人は生涯のうち公園で育ち、公園に戻ってくる。それが良いことなのか悪いことなのかは分からないけど、そんな場所がそれぞれの住む街にひとつでもあるのは心強いし、なくなったら公園の代わりとなる場所ってどこにもないですよね。ヨーロッパでは公害があった時期、週末にいい空気を吸ってリフレッシュをするための場所として作られたことをきっかけに公園を「都市の肺」と呼ぶようになったんだとか。公園を「都市の肺」と呼ぶのは、すごく腑に落ちます。一日は長いけど、人生は短い。だから、映画や小説を楽しむのと同じくらい日々の些細な出来事にも感動できればいい。今住んでいる東京でも、よく公園を散策しています。だって、願わくばもう一度あんなにお腹がよじれるほど笑う経験をしたいからです。皆さんも十三公園に行ってみると、衝撃の場面に出くわす可能性があるかもしれませんよ。

こないだ、偶然道端に「紗々」が落ちていて写真を撮られずにいられませんでした

PROFILE

燈里
燈里

1992年茨城県生まれ。台北在住。千葉とフィンランドで教育学専攻・現代芸術理論副専攻を経て、現在は台北教育大学国際修士現代芸術課程に在籍。2012年から忘れる記憶の記録のためにスケジュール帳を作る。

櫻子
櫻子

ekot spectrum works / 檸檬はソワレ ディレクター
1992/05/07 東京都出身
幼少時から東京、深圳、香港での生活を経て、貿易関連の業務に従事しながら、2015年からワックスサシェ・キャンドルの制作をはじめ『檸檬はソワレ』として活動をスタート。2018年3月より、檸檬ソワレを包括し、より裾野を広げた制作・提案を目的とした『ekot spectrum works (エコー・スペクトラム・ワークス)』を立ち上げ展開中。
東京、札幌、大阪など複数の店舗での取り扱いの他、イベント出展も多数。
最近ではMUSIC VIDEOへの作品提供や、手塚治虫生誕90周年アニバーサリーコラボレーション等、活動の幅を広げている。

丘田ミイ子
丘田ミイ子

文筆業9年目、2児の母。滋賀県にて、四人姉妹の三女として程よく奔放に育つ。大学は、日本語日本文学科の太宰治ゼミに所属。その後上京、ライターの道へ。キャリアスタートは『Zipper』。その他雑誌・WEB・広告のライターを経て、2018年よりペンネームを一新し、演劇と生活を綴る日々へ。ライフワークとして、詩を使った展示『色彩—ichijitsu』(2012)、『たびのこどもpresents「こゝろは、家なき子」』(2015)などを不定期開催。次回は2020年3月頃予定。言葉を紡ぎ、隙あらば演劇を浴び、役者の夫と2人の子どもと生きています。目下、人生のスローガンは、“家庭と演劇の両立”。

カトートシ
カトートシ

大学職員 兼 映画エッセイスト

2018年よりカトートシとして活動を開始する。
大学時代は文学批評を専攻。
本屋や美術館のスタッフ、カナダでのライター経験を経た後、現在は大学で働く傍ら、「映画エッセイ」を執筆。映画から抽出したエッセンスを日常の枠組みで解釈し、言葉で再構築する。
カトートシという名前は、俳人である祖父に由来するもの。

チーム未完成
チーム未完成

しをりん、ゆりしー、ぴっかぱいせん、ゲッツ!の落ち着いた大人の女性4名によるクリエイターごっこ集団。各々が、写真、デザイン、似顔絵、文章、音楽制作、DJ、ガヤなどの一発芸を持ち、2014年夏に渋谷センター街に彗星の如く出現した気でいます。パンと書かれたステッカー、パンのZINE、パンのグッズ、パンの楽曲等を次々と発表し、主にアートイベントの賑やかしとして活躍しています。最近は海外のアートブックフェアに乗り込んだり、CHAIやDJみそしるとMCごはんのMV制作もやらせてもらって恐縮です。

寺尾紗穂
寺尾紗穂

音楽家。文筆家。1981年11月7日東京生まれ。2007年ピアノ弾き語りによるアルバム『御身』が各方面で話題になり、坂本龍一や大貫妙子らから賛辞が寄せられる。以降、アルバム『御身onmi』『風はびゅうびゅう』『愛の秘密』『残照』『青い夜のさよなら』『楕円の夢』『私の好きなわらべうた』『たよりないもののために』をリリース。並行して伊賀航、あだち麗三郎と結成したバンド「冬にわかれて」の始動、坂口恭平バンドにも参加。活動は、映画の主題歌提供、CM音楽制作(ドコモ、森永など多数)やナレーション、エッセイやルポなど多岐にわたる。新聞、ウェブなどで連載を持ち、朝日新聞書評委員も務める。著書に『評伝 川島芳子』『愛し、日々』『原発労働者』『南洋と私』『あのころのパラオをさがして 日本統治下の南洋を生きた人々』、編著書に『音楽のまわり』がある。

麦島汐美
麦島汐美

1995年東京生まれ。
ミスiD2018文芸賞受賞。写真、映像、文章の制作と、インターネットや雑誌などで発表を行う。ステージで歌って踊るあの子も、50年前にひとりの部屋で小説を書いていたあなたも、いま隣で餃子を頬張っているこの子も私のアイドルなら、いつか私も誰かの小さい光になれたらと目論んでいる。現在はテレビの制作会社勤務。
https://shiomimugishima.com/

吉野舞
吉野舞

1995年生まれ。淡路島生まれ、育ち。
写真を撮ったり、文章を書いたりしています。
座右の銘は「人生の大体の出来事は、自分のせいで人のおかげ」。
今、東京。

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