She isがおすすめする、いま見たいストリーミングサービスの新着オリジナル作品を紹介する「She isストリーミング鑑賞隊」。NetflixやAmazon Prime Videoをはじめ、日本で視聴可能な配信サービスから、新作のシリーズ作品やオリジナル映画をピックアップします。今回は9月末～10月半ばの配信作から、女性監督による作品や、マイノリティーの体験を当事者の視点から描いた作品など4作品を中心に選びました。

虹色の剣とBB弾の銃で「ゼリー」を退治。不思議で優しい世界が広がる韓国ドラマ／『保健教師アン・ウニョン』　9月25日～Netflixで配信

『保健教師アン・ウニョン』／Netflixで見る

『フィフティ・ピープル』などで知られる作家チョン・セランの小説『保健室のアン・ウニョン先生』を映像化した韓国発のNetflixオリジナルシリーズ。人間の持つ欲望の残留物のようなものがゼリー状のかたまりとして見える特殊な能力を持った保健教師アン・ウニョンが、虹色の剣とBB弾の銃で学校に潜む謎や生徒を襲う怪奇現象に立ち向かうファンタジードラマです。

時に悪態をつきながらもおもちゃの武器で生徒たちのために戦うウニョンのキャラクターをチョン・ユミがコミカルかつキュートに体現しているほか、戦いの相棒となる漢文教師インピョを演じるナム・ジュヒョクや、いろんな悩みを抱えた生徒たちを演じる若いキャストの魅力も存分に発揮されています。原作と同様に「子供を守るのは大人の役目」という真っ当な思いが根幹に感じられ、不思議で優しい世界観に温かい気持ちになれる作品。脚本には原作者のチョン・セランも参加していますが、ドラマは原作と違う部分も。「私はこの物語をただ快感のために書きました」と著者が語る原作小説もおすすめです。

60年代NYで初演された画期的舞台が映画に。ゲイの仲間たちが集った誕生日パーティーの一夜／『ボーイズ・イン・ザ・バンド』　9月30日～Netflixで配信

『ボーイズ・イン・ザ・バンド』Scott Everett White/NETFLIX／Netflixで見る

60年代のニューヨークを舞台に、仲間の誕生日パーティーに集ったゲイの男性たちの一夜の出来事を描くマート・クロウリーの同名戯曲をNetflix映画化。オリジナルの舞台は、ストーンウォールの反乱が起きた年の前年である1968年にオフブロードウェイで初演され、1970年にはウィリアム・フリードキン監督によって映画化もされています（邦題は『真夜中のパーティー』）。その後、2018年に50周年としてライアン・マーフィーのプロデュースによってリバイバル舞台化され、ブロードウェイで上演。今回のNetflix映画はマーフィーや監督のジョー・マンテロをはじめ、そのリバイバル舞台版のスタッフやキャストが再集結して製作されました。9人のメインキャラクターはジム・パーソンズやザッカリー・クイント、マット・ボマーら全員がオープンリーゲイの役者によって演じられています。ほとんどアパートの一室のワンシチュエーションで、ユーモアと皮肉交じりの軽快な会話劇が展開されますが、招かれざる客の出現や、とあるゲームをきっかけにして徐々に見えてくるのは、現在よりも同性愛者に対する差別や偏見が著しかった当時、彼らに向けられていた視線、そしてそんな社会で生きる彼らが抱える葛藤や苦悩です。50年前の社会を考えると、当時この作品がいかに画期的だったのかと思わずにはいられません。Netflixでは本作の舞台裏を映したドキュメントも配信中。今年3月にこの世を去った本作の生みの親、マート・クロウリーも登場しています。