一日のご褒美に食べるおやつ、気持ちが高まる自分のための香り。日々小さな選択を繰り返す私たちの生活に、じぶんの身体や心を労ってくれる「御守り」のようなものがひとつあるだけで、ずっと強くなれるはずです。
haru.さんが2019年に設立したHUGでは、「ご自愛」をテーマにしたオリジナルプロダクトをつくっています。そのひとつ、西アフリカ・ブルキナファソにある「ビソンゴ」という女性組合と共につくったのが「EASY CARE BUTTER」というシアバター。女性の働き場所が少ないアフリカで、売り上げがしっかりと女性に還元される仕組みになっています。ビソンゴとHUGをつないでくれたのが、現地で4年間シアバターの製造に携わっていた江田慶子さんです。
She isでは、ギフトの取り組みの一貫として「EASY CARE BUTTER」についてharu.さんと江田さんにお話しいただくオンラインイベントを2020年10月に開催。江田さんがブルキナファソで撮影した写真を見ながら、プロダクトが誕生した経緯、ブルキナファソの様子などお話を伺いました。この記事ではその模様をお届けします。
身体が心地よくなることで、自分と向き合う余裕が生まれる。そうして、他者にも目を向けられるようになる。国境を越えて手を取り合い、相互に愛することが両立する世界への第一歩が、ここにありました。
普段の生活に寄り添ってくれるご自愛グッズ。
ご自愛グッズ───それは、じぶんの心や身体を甘やかして守ってくれるような、毎日に欠かせない存在です。信頼できるアイテムを毎日使いたい、そんな思いでプロダクトのプロデュースを始めたとharu.さんは話します。
haru.:HUGでは、普段の生活の中にそっと寄り添ってくれるような「ご自愛アイテム」をつくっています。EASY CARE BUTTERのほかに、お米の定期便と虹のガウンの3商品。お米の定期便は、新潟県長岡市で明治27年創業の早川米穀店が展開する「まっしろ」という美味しいお米を定期的にお届けするもの。虹のガウンは、肌触りがよい、手染めのルームウェアです。
HUGのどのプロダクトにも共通するのは、毎日に必要なものであるということ。お米は毎日食べるものだし、部屋で過ごすときには自分がリラックスできる服装でいたいし、スキンケアは毎日必ず最低限のケアはしなきゃいけない。非常事態でも「これひとつあれば大丈夫」と頼りになるようなアイテムになっていると思います。
江田:自分が気に入って使っていたシアバターを、haru.さんにも認めてもらえて嬉しかったです。
haru.さんにとって、EASY CARE BUTTERは「ご自愛グッズ」の代表格。もともと、シアバターを愛用していたことからコラボレーションが実現しました。シアバターはシアの木の種子から採取したの天然の植物油脂です。おもにナイジェリア、マリ、ブルキナファソ、ガーナなどアフリカ諸国で生産され、厳しい乾燥からお肌を守るために1000年以上昔から現地の女性たちに愛用されてきました。EASY CARE BUTTERはそのシアバターを100%使用した未精製のオーガニックシアバターです。
haru.:シアバターは、同僚の勧めで使い始めて以来、すっかり虜になっています。私自身、乾燥肌がひどいんですけど、これは保湿力がとっても高いのでめちゃくちゃ良い。その同僚のお姉さんが慶子さんなのですが、何度も何度も、慶子さんのところで購入させていただきました。私の使用頻度が高すぎて、びっくりされていましたよね(笑)。
江田:普通の人が1年かけて使う量を、一か月くらいで使い切っていたから。どんな使い方をしているんだろうと(笑)。
haru.:身体と髪の毛、全身に使っているんですよ。むしろ、これしか使っていないくらいで。あまりにもリピートしているアイテムだったので、たくさんの人に知ってもらいたいと思って、一緒にオリジナルプロダクトを作らせてもらった経緯があります。
やっぱり、日々使うものだからこそ、自分が信じられるもので、繰り返し使いたくなるアイテムを作りたいと思うんですよね。
江田:haru.さんのご自愛アイテムにしてもらえたんですね。
EASY CARE BUTTERの製造開発をしているのは、もともと江田さんが一緒に活動していたブルキナファソの「ビソンゴ」という女性組合。伝統的な手法で、シアバターを生産・加工・販売しています。女性の経済的自立と社会進出を後押しすることを目的に設立され、売り上げのすべてが女性に還元されます。想像以上に貧しい生活に、必要な現金収入を保証してくれる場所の存在は、彼女たちの笑顔を陰ながら支えてきたのでしょう。
江田:ブルキナファソでは、女性たちが現金収入を得るための仕事に就くことが難しいとされています。だからこそ、女性にしか作れないシアバターは、非常に大切な働き場所。「ビソンゴ」は、現地の方々が立ち上げた団体です。働き手はほぼ女性。彼女たちと何度も議論を重ねながら、試行錯誤を繰り返し、経営改善を進めてきました。現在では200人を超える女性たちが所属しています。
haru.:江田さんがビソンゴに惹かれたのは、どういった理由だったんですか?
江田:もともとのシアバターの品質がよかったからです。私も向こうで使っていて、惚れ込んで、これだったら国内外に販路を広げていけそうだなと。でも、当時は全然売れていなくて。支援を理由にフランスのお金持ちのおじちゃんが買ってくれるとか、その程度。パッケージや営業に課題があったので、私が入ることでパッケージの方法を考えたり、シアバターの原料を使った石鹸など他の商品に展開することを提案したりして、一緒に作っていました。
haru.:現地の人たちも、シアバターを愛用しているんですか? どんな風に使っていたのか気になります。
江田:基本的には、赤ちゃんが生まれたときの保湿のために使うものなんですよ。あとは、女性たちが乾燥の気になる肌や髪の毛に使っています。今は、近隣国から輸入される化学物質の入った匂いの強い化粧品が流行ってしまっていて、若い女性には古いイメージがあるようですけど。
haru.:日本の方が化粧品は豊富なのに、シアバターを使っているのは現地の人にとっては新鮮にうつるかもしれないですね。
江田:そうだと思います。でも、それってすごく勿体無いですよね。いいものだから、ブランドが確立できれば現地でももっと売れるんじゃないかって思います。
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