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ハロー・ナイストゥミーチュー・ガールフレンド
Vol.1麦島汐美さんに会いに行く

日記本、雑誌『文鯨』、1995年生まれの「希望」のこと

連載:吉野舞のハロー・ナイストゥミーチュー・ガールフレンド
インタビュー・テキスト・撮影:吉野舞 編集:竹中万季
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帰り道、「いつか何か一緒にやろう!」と同じ夢の約束をして、振り返らずに私たちは別れた。
次の日の夜、彼女からメールが送られてきた。

マイちゃん

昨日はありがとう!

「撮っとけば良かった、待ってるとこ!」って何回もマイちゃんは言っていたけど、私の方へ走ってくるマイちゃんを撮っておけば良かったわほんまにって、私もホットケーキ切ったり、マイちゃんの赤い毛先を見ながら、3回くらいは思ったよ。

で、昨日話した本の名前とか適当に言ってしまったので一応覚えているもの確認してみました……!

・『よう知らんけど日記』(柴崎友香)
家帰って本棚から取ったら、表紙に『AKIRA』のバイクに乗った柴崎さんのイラストが描いてあって驚いたよ。マイちゃんの急な「最近、渋谷の街に行ったら、建物一面に映像流れ始めていてAKIRAの世界にいるのかと思った」の例えに惚れた新宿だった。最近のは日々のこともここから読める!
柴崎友香 よう知らんけど日記 | Lmaga.jp

・『ローマ字日記』(石川啄木)
これはその好きな年上の先輩に教えてもらったんだけど、話すの2回目くらいで薦められて見てみたら内容そんな感じだからさらにその人のこと好きになったんだった! 「好きな人いる?」ってすぐ聞いてくる人がすごい好きなんだけど、マイちゃんすぐ聞いてきたから理想のガールフレンドかよと思ったよ。

・『幸福はただ私の部屋の中だけに』(森茉莉)
森茉莉の話ちょびっとだけしたけど、最近読み直してやっぱり森茉莉はわたくし達のアイドルだよと思った。から今日も「もりまり」って発音出来て嬉しかったよ。

・『大きな鳥にさらわれないよう』(川上弘美)
最近文庫になったらしい! よく思い出したらがっつりSFなんだけども、マイちゃんと首里城のこと話していて、どうやって過去や今や未来のくらさの中に光を見つけるか(自分の手で)みたいな、曖昧だけど切実なこと考えるために必要なことを物語から拾うことも必要だなって思えたよ。

ディストピア系だと
・『侍女の物語』(マーガレット・アトウッド)
がおすすめだよ。MGMが製作しているドラマ(Huluで見られる)のエリザベス・モスの「怒りの顔」を仮面にして心に常に置いとくと強く生きられる。

・『裸一貫! つづ井さん』(つづ井)
どんなにしんどいことあった夜も、
すべて解決してしまう本。

あと家帰ってから思い出した、10月に初めて読んだり読み返してマイちゃんにも押し付けられる良かった本……

・『ぼそぼそ声のフェミニズム』(栗田隆子)
生きられる。

・『最初の悪い男』(ミランダ・ジュライ)
手が止まらない。

・『わが人生の幽霊たち うつ病、憑依論、失われた未来』(マーク・フィッシャー)
こっちが達観してくる。

・『ほとんど記憶のない女』(リディア・デイビィス)
最近で一番の短編集。ショートショートショートもある。

・『ギリシャ語の時間』(ハン・ガン)
絶対正しい表現ではないんだけれど、本当エロい。

映画とかアイドルとか、服どこで買ってんのとかもっと聞きたかったし話したかった~って帰ってからめっちゃ思ったんだけど、それってきっとマイちゃんの雰囲気がちょう心地よかったからと思う!

初めましてのはずなのに、ずっと懐かしいのがおもしろかった! モノを作るのもいつかやろう……

選んでくれてありがとう! たのしみにしてる!
長くなってしまった! 返信気にしないで!

また!

むぎしま

最後は記念撮影でシメ

Girlfrendたちの希望を秘めた連載「ハロー・ナイストゥミーチュー・ガールフレンド」は第2回へ続く……

PROFILE

麦島汐美
麦島汐美

ステージで歌って踊るあの子も、50年前にひとりの部屋で小説を書いていたあなたも、いま隣で餃子を頬張っているこの子も私のアイドルなら、いつか私も誰かの小さい光になれたらと目論んでいる。1995年生まれ。ミスiD2018文芸賞。「文鯨」編集部。インターネットで文章と写真を発表。本を出すのを夢見て24時まで働く会社員。
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吉野舞
吉野舞

1995年秋生まれ。兵庫県淡路島出身。武蔵野美術大学空間演出デザイン学科卒業。
やりたいことをやりたいと思った時に、すぐにやらないと自分を裏切ったようで落ち着かないので、興味があることは、何でもやろうと思います。座右の銘は「人生の大体の出来事は、自分のせいで人のおかげ」。今、東京。オフィスレディやりながらも書いてます。

INFORMATION

吉野舞のハロー・ナイストゥミーチュー・ガールフレンド
吉野舞のハロー・ナイストゥミーチュー・ガールフレンド
どう日々を過ごし、何を夢見て、
何に打ち破れているのかを知りに、会いに行く

Vol.1麦島汐美さんに会いに行く

書籍情報
書籍情報
麦島汐美のzine「鏡台 2017.06.12-2017.10.14」

2017年の初夏から秋にかけて、
ミスiDという講談社のアイドルコンテスト一次通過のお知らせが来た日から、最後の面接へ行くまでを「鏡台」というtumblrページで連載したテキストです。

mugibook

書籍情報
書籍情報
あたらしい言葉をつくる雑誌『文鯨(ぶんげい)』 (2016.5〜)
【第2号<特集: 叫びを翻訳すること>2017.2.20 発売 】

<装画>
-表紙:菅野静香
-「文鯨」題字:岩井悠

<目次>
・楠田ひかり「断片から衣服をたどってーsuzuki takayuki marriageー」【批評】
・嶌村吉祥丸「between」【作品】
・城李門「葉月あるいは明くる日のこと」【作品】
-特集:叫びを翻訳すること
・山本浩貴+h 「草のあいだから」【作品】
・柳澤田実「死のない生活」【批評】
・荻野洋一「被害者とは誰か?」【批評】
・渡部純「<さけび>が<語り>にかわるとき」【批評】
・吉田アミ「Voices」【作品】
・水沢なお「墨流し」【作品】
・上田由至「プロレタリアと分裂症」【作品】
・石川初/伊藤隼平「ささやかれたランドスケープ」【批評】
・三浦翔「わたしはどこから見ている−抜け落ちた足元に目を向けよ−」【批評】
-リレーエッセイ
・丹治史彦「言のはざまを泳ぐ」

『文鯨』第2号<特集:叫びを翻訳すること> 通販

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