SDGsに沿いながら「gender equality」など様々なトピックを扱うブランド「OPEN/END」
前回の記事からだいぶ時間が空いてしまいました。その頃はまだロンドンに住んでいたのですが、今は東京を拠点にしています! 以前から興味のあった多様性やジェンダーについて、最近プロジェクトとして形にできたので、今回はその話をしたいなと思っています。
プロジェクト、というのは、私が所属しているアーティストエージェンシーThe Bee’s Kneesという会社と各種グッズやノベルティの生産・販売会社であるユニファースト株式会社さんでアパレルブランドを作りました。その名も「OPEN/END(オープンエンド)」。
SDGsに沿いながら毎回違うトピックを扱っていこうというブランドで、今回は「gender equality(ジェンダー平等)」をテーマにしています。さらにそのメッセージを伝えていくために毎回若手アーティストとコラボレーションして新しいアパレルやグッズを制作していきます。
ブランドコンセプト文
Open/Endという言葉には“無制限の”または“自由な"という意味があります。個人の個性や趣向は自由であり、人種やセクシャリティなどの枠に囚われることなく、全てはありのままで完璧であるという思いを込め名付けました。ジェンダーや考え方の多様性が尊重され、そのボーダーが薄れている今、誰もがポジティブに楽しめるものを新しい世代に向け発信していきます。
https://open-end.tokyo/
算数・数学において、今まで一般的に授業で取り上げられる問題には一つの共通の回答があるとされていて、正答か誤答の2種類しかありませんでした。しかし正答が何通りにもなるように条件付けられた問題もあり、それは開かれた問題、「open-ended question」と言われているそうです。
このアプローチは教育で近年用いられている方法で、その答えを一つとしない考え方は生徒の個の考える力を伸ばし、学校教育を社会に応用するときに重要な考え方とされているそうです。このブランドも、様々なアーティストとのコラボレーションで新たなものを作っていく際限のないプロジェクトとして捉え、答えやアウトプットが何通りにもなる数学のopen-ended questionに重ね、数学記号をモチーフにしたブランドアイデンティティを作りました。
私は企画・アートディレクション・デザイン等を担当していて、今回のコラボアーティストにはSundae Kids(サンデーキッズ)という、恋愛をテーマにしたかわいいコミックが人気なタイの20代の2人組イラストレーターとグラフィックを開発しました。
環境に配慮した生産をしながら、自分たちの世代の声をアジアから世界に届ける
コロナの影響もあるのとアーティストが海外にいることもあり、ブランド立ち上げは100%リモートで行われました。実店舗はなし、7/1にオープンしたオンラインショップもまずは2週間オープンさせて受注生産を受けて、梱包なども出来るだけプラスチックでなく再生紙を使うなど、過剰生産や資源の過剰消費をしない仕組みで作っています。
立ち上げ・生産をしてくれているユニファースト株式会社さんがすでに持っている様々なグッズにアーティストが描いたグラフィックを載せて、デザインの力で今あるものをアップデートするという形も、「なるべく地球に優しい製品を作りたい」というコンセプトを体現する方法の一つでもあります。
正直、この時代に新しいものを作り出すことについては責任や意義が大きく問われるとチーム内で何度も話しました。でも、何かを作るのであればそれを利用してメッセージを伝え、私たちが作ったものを着ることで何かを主張できたり、個性を活かすことができれば社会に貢献できるのではないかと考えました。アーティストエージェンシーとしては、若手アーティストとコラボしていくプラットフォームを作っていくこともとても重要視していて、私たちの世代の声をアジアから世界に届けたいと考えています。
最近はジェンダーフリーなブランドを見かけることは多いと思うのですが、ジェンダーというトピックをあまりシリアスになりすぎず、楽しく伝えたいと思っていて、カジュアルになるべく誰にでも着やすいようなデザインを心がけています。
イギリス発のストリートブランドAriesや韓国の人気ブランドADER ERRORではもはやMen/Womenの表記はしていなくて、サイズのバリエーションもとても多いです。多様性というのはジェンダーや肌の色だけでなく体のサイズもそうですよね。OPEN/ENDでは、多様性は当たり前のことであって、その先にある、多様なみんなを巻き込んでいくInclusiveness(包括性)を目指しています。
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