『HEAPS』×『HIGH(er)magazine』×『Sister Magazine』座談会

『HEAPS』×『HIGH(er)magazine』×『Sister Magazine』座談会

ミレニアル世代が作るメディアって?女性編集長座談会

2017年9・10月 特集:未来からきた女性
インタビュー・編集:野村由芽 テキスト(本文):羽佐田瑶子 撮影:馬込将充
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SNSの恩恵を受けて青春時代を過ごして大人になった、初めての世代だと思います。(さこ)

─同世代や、感覚が近い人たちを集めてコミュニティをつくるにあたり、媒体と受け手の距離感も大事にしているように感じます。雑誌やウェブ、という伝え方のかたちにこだわりはありますか?

haru.:私たちの場合は、個人的で身近な話をする雑誌なので、ひらけているものではなくて、読みたい人だけが手に取れる雑誌というかたちがいいなと思ったんです。

マガジンとファッションアイテムのセット販売をおこなったことも

さこ:『HEAPS』も記事の内容にはパーソナルなものも多いから、本当は紙のほうが相性はいいと思う。だけど私はもともと、コンビニまで自転車で1時間かかるような超ド田舎の出身なんです。

大学生で東京に出てきて、初めて昔の『iD』や世界の古い雑誌を読んだときに、衝撃と興奮を覚えて。中高生のときにこのメディアに出会っていたら、私の人生どんな風に変わったのかな、と思ったんです。だから『HEAPS』は、Wi-Fiさえあれば日本中どこに住んでいても世界中のインスピレーションを受けられるように、ウェブでやりたかったんですよね。

ほのか:私たちはウェブと紙、どちらの媒体にも魅力を感じていて使い分けています。あと、どんな形でも続けていくことが大事だと思って、仕事量に限界を感じて『Sister Magazine』を一時休止した時に、『Scarlet & June』をつくって小さくても発信できる場所をウェブ上に残したんです(編集部注:取材後、クラウドファンディングが成功し『Sister Magazine』の再開が決定!)。それでインディペンデントでやる難しさを実感したので、お二人とも続けられていてすごいなと思っているのですが、媒体の運営体制はどんな感じなんですか?

haru.:いまは5人くらい。マガジンだけではなくグッズも大事な収益になっています。続ける難しさや大変さは私たちも感じていて、いまはできることをコツコツやっているけど、ずっと続けるなら会社にしようか悩んでいますね。

『HIGH(er)magazine』では、クリアケースなどのオリジナルプロダクトも販売している

さこ:『HEAPS』は月に約50本の記事を、4人でつくっています。ほんと、大変(笑)。

『HEAPS Magazine』Instagram

─みなさんはいま20代前半〜半ばで、いわゆる「ミレニアル世代」とも呼ばれる当事者です。世界でも同時多発的に新しいものをつくり上げている人が多い背景には、何があると思われますか?

haru.:ツールがそろっているので、始めたいと思ったら行動に移しやすいですよね。私も雑誌をつくることを決めて、初めてイラストレーターにさわり、クラウドファンディングで資金を集め、わからないことはウェブで調べて。やったことがなくても、やれるんだなと思いました。

つかさ(Scarlet & June):何かを始めようと思ったときに、協力や応援をしてくれる人たちとつながりやすいことも大きいと思います。『Sister Magazine』は、一番多いときで60人くらいの人たちが参加してくれていました。

さこ:へえ! それはすごいね。あと、やりたいことは何か、考えている世代でもあると思う。私たちの編集部は平均25歳、全員ミレニアル世代ですけど、取材相手も同世代が多いです。

やっぱりネットの存在は大きくて、私たちの世代は小さな頃から親しんでいるから、世界中のアイデアを当たり前に知れるんですよね。そうすると、社会常識にとらわれることも少ないし、他の人もやっているなら私もやろうって思いやすいですよね。SNSの恩恵を受けて青春時代を過ごして大人になった、初めての世代だからだと思います。

haru.:ほのかちゃんが言ったように、大人の価値観を押し付けるような媒体はおもしろくない。親世代がつくったものを参考にすることもあるけれど、ネットでワールドワイドにいろいろなメディアを参考にしているから、これっていう正解に縛られていないというか。大人がつくったものだけがお手本じゃないとわかっているのも、大きいよね。

ほのか:大きいと思う。大人がつくった女の子向けメディアっていうとどこも似たような特集ばかり取り上げていることが多いよね。だから女の子たちがやっているD.I.Y.なメディアを読むのにハマり始めた頃、こんなに面白いものがあるのかと衝撃を受けて、英語でも必死に辞書をひきながら読んでたのを覚えてる!

人と違うことは、当たり前だよね。(ほのか)

─たとえば学生の頃、趣味趣向がマイノリティだった人は、クラスのなかでは居場所のなさを感じることも多かったように思うんですよね。でもインターネットによって、ズレてるけどおもしろい人が世界中にいることに気づけることで、価値観や人格の形成にも大きな影響がありそうだなと。

さこ:マスに受け入れてもらえない人って世の中にたくさんいるけど、自分と似たような人間がいるコミュニティがあることで自己肯定感が生まれて、助けられますよね。

ほのか:人と違うことは、当たり前だよね。

つかさ:私もそう思います。でも、日本の大手の女性向けメディアってほとんど男子にモテることがマスト! みたいに一辺倒なところがあると思うし、地方の本屋さんにも流通しているような女子向けの雑誌は「女の子は痩せてて可愛くなきゃダメで、落とした消しゴムひとつ拾う仕草もモテを意識しなきゃいけない!」みたいな感じだったから、それを純粋に信じてしまってとても息苦しかった。

haru.:あったねー(笑)! 男性を意識しないと女としてダメ、みたいな考えを植え付けられちゃうんですよ。10代の頃に受ける影響は大きいから、あれはよくないと思う。

さこ:私はアレルギー反応には、正直になっていいと思うんですよね。大学在学中、就活にすごいアレルギーを感じたんです。編集職に就きたいけど募集が少ないし、大手出版社に入ったところで部署異動があるから、編集業務ができるかはわからない。やりたいことがわからないのに、100社くらいエントリーシートを書いている子たちを見て、すごいなあと思いつつ、自分にはできないって。それで、興味があった海外へ渡米したんです。

いまわかるのは、私のなかでは大手企業に入って人生設計や流れが想像しやすい未来が保証される安定よりも、やりたい仕事に就きたいという安定を求めていたんだと思う。やりたいことができないほうが、大きな会社に入れないことよりもよっぽど不安的だったはずだから。

PROFILE

SAKO.h

ニューヨーク在住、HEAPS Magazineの編集長。世界各地の若者が起こすアクションとムーブメントを独自取材しながらカウンターカルチャーシーンを日々、日本のみなさんにむけて配信中。

失恋して(あるいはその予兆を察して)真夜中におにぎりを買いに走るのは19歳くらいから変わらず、ただニューヨークではそれがピザになりました。

『HEAPS Magazine』instagram

haru.

同世代のメンバー5人を中心に制作されるインディペンデントマガジン『HIGH(er)magazine』の編集長を務める。『HIGH(er)magazine』は「私たち若者の日常の延長線上にある個人レベルの問題」に焦点を当て、「同世代の人と一緒に考える場を作ること」をコンセプトに毎回のテーマを設定している。そのテーマに個人個人がファッション、アート、写真、映画、音楽などの様々な角度から切り込む。また、雑誌に付随するトートバッグや缶バッジなどの制作も行っている。

Scarlet&June

女の子たちによるインディペンデントウェブマガジン「Sister Magazine」創立者のつかさとほのかです。「Scarlet & June」では私たちのより個人的な活動場所として文章やイラストなどを掲載しています。フェミニズムやシスターフッドなどをテーマに朗読イベントの実施やzineの制作も行っています。

INFORMATION

メディア情報
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『HEAPS MAGAZINE』

「時代と社会の、決まり文句にとらわれない」
ニューヨークに拠点を置く、カウンターカルチャー専門のデジタルマガジン。世界各都市の個人・コミュニティが起こすユニークな取り組みやムーブメントをいち早く嗅ぎつけ、深堀したストーリーを配信中。世界の若きマイノリティたちの生き様を届けます。

HEAPS MAGAZINE
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『HIGH(er)magazine』

学生や若いクリエイターによるインディペンデントマガジン。ファッションや写真、カルチャーなどを自分たちの目線から発信。

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『Sister Magazine』

2016年3月にオープンしたウェブマガジン。「女の子たちが姉妹のように語り合える場所を」をコンセプトに、インターネットを使って多種多様な女性たちが集い、様々な意見を交換できる場所を作ろうと活動を続ける。一時的な休止を経て、2017年クラウドファンディングが成功し、再開が決定。

Sister Magazine

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