祝茉莉が考える「いい銭湯」って? 非日常への旅の入り口・銭湯の魅力

祝茉莉が考える「いい銭湯」って? 非日常への旅の入り口・銭湯の魅力

温かいお湯に浸かって自分の気持ちを知ることができた

2018年7月 特集:旅に出る理由
インタビュー・テキスト:飯嶋藍子 撮影:小島直子 編集:竹中万季
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モデルや銭湯の番頭など、自分の好きなことに最大限の熱量を注ぎ込み、輝くように活躍する祝茉莉さん。She isの7月の特集「旅に出る理由」のギフトでお贈りするオリジナルプロダクトとして、メッシュとビニールの2つのポーチがくっついた「銭湯ポーチ」を祝さんとつくりました。

実際に旅に出なくても、日常のどこかに非日常につながる旅の入り口があるはず。銭湯もまさにそんなトリップ感を味わえる場所だと、祝さんは話します。銭湯はもちろん、旅のおともにもぴったりの工夫がたくさん詰まったポーチに込めた思いをはじめ、銭湯経営を目指して現在物件探しなどに奮闘する祝さんに、銭湯との出会いのきっかけや、決して甘くはない銭湯の実情など、今まさに歩んでいる旅路についてもじっくり伺いました。

ポーチが入っている7月のギフト「旅に出る理由」のページはこちら(お申込みは7/31まで)

銭湯は、悲しい気持ちも悲しいだけにさせない場所。

新潟県の南魚沼市で育った祝茉莉さん。ケータイの電波も入らない、山の中に30棟だけ家があるような特に田舎の村で、ものづくりに憧れを抱いていた10代の頃。高校を卒業して地元を出ることを決心したのが、銭湯に呼び寄せられる旅への第一歩でした。

祝:地元は自然が豊かで、その場所の良さももちろん感じていたんです。でも、愛読していた『FRUiTS』で、「FUTATSUKUKURI」とか「onegaigoto」とか関西のブランドを知ったり、インターネットを見ていてものづくりをしている人たちを知って、こういう人たちに会いたい、ここにはないものに出会いたいと思うようになって。それで高校卒業と同時に、就職も進学も決まっていないのに、親名義で東京に家を借りてもらいました。

取材は映画『テルマエ・ロマエ』にも登場した板橋駅にある「稲荷湯」で

進路が決まっていないまま上京することになった祝さんは、お母さんに対して「私ひとりでもできるよ」という、ちょっとつっぱねるような気持ちがあったと言います。でも、ひとりになって込み上げてきた不安や悲しさ、焦りに飲み込まれないよう、その気持ちからは目を逸らしていたそう。

祝:そんな時にTwitterを見ていたら、奈良県吉野のお茶屋さんで1か月住み込みのアルバイトをしませんかっていうツイートがあって、「これだ!」と思って上京してからすぐに吉野に行くことにしたんです。ちょうど関西のものづくりの人たちが集まるイベントが京都で開催されていたので、吉野に行く前に寄ろうと思って京都で滞在した宿が素泊まりの宿だったからお風呂がなくて。それで、宿の方に「近くに銭湯があるから行っておいで」と教えてもらったのが、日の出湯さんという銭湯でした。

初めて町の銭湯に足を踏み入れた祝さんは、その空気感に覚えた懐かしさ、銭湯に急激に惹き込まれた瞬間を、一言一言大切そうに言葉にしていきます。

祝:人との距離感や空気感が私の地元にすごく似ていているなと思ったんです。そこでお湯に浸かったら、「今、私はお母さんと離れて悲しいし、なにも決まっていない状態でひとりで東京に出ることに不安を感じているんだ」っていうのをちゃんと感じられて。そういう気持ちや気づきって、他の場所や雑踏の中だと、ただの悲しみになっていたと思うんです。

でも、銭湯という、人の間に流れる空気が温かい場所で、温かいお湯に浸かって、自分の気持ちをちゃんと知ることができて。悲しい気持ちも悲しいだけにさせないこの場所はすごいところだと実感して、ずっとこういう場所にいたい、こういう場所で歳を取りたいと思うようになりました。

自分が気持ちのいい場所にいたいから銭湯をやりたいっていう、本当にそれだけなんです。

東京に戻ってからは銭湯でのアルバイトや、自分で銭湯を開くための物件探しに奮闘してきた祝さん。「自分なりの就職活動です」と愛おしそうに銭湯の魅力をお話ししてくれます。

祝:言ってしまえば、結局自分のためにやっていて。自分が気持ちのいい場所にいたいから銭湯をやりたいっていう、本当にそれだけなんです。番台に座って、お風呂に入ったあとの人の顔を見ることができるのが大好きで。入る前はげっそりしていたり、仏頂面だった人も、出る時はほかほかつるつるになって帰るんです。

お湯に浸かると体だけでなく心もほぐれるのでしょう。銭湯に入ったあとの人たちの表情を祝さんは「すごく特別でかわいい」と目を細めます。

祝:私が将来どういう銭湯がやりたいかというと、「なにもない銭湯」をやりたくて。スーパー銭湯とか大きなお風呂にも行くんですけど、結局「次はなにに入ろう?」「まだこれに入ってない」とかいろいろ考えてしまっていて。ジェットとかサウナとか電気風呂とかいろいろなお風呂も楽しいけれど、自分でやるとしたら「無」になれるような銭湯をやりたいんです。

私にとって銭湯は、ぽっかりと湯に入るだけの場所。ある人にとっては、つまらない場所だと感じられるかもしれないですけど、今の時代、なにもない場所を求めている人は絶対いて、これからも増えていくと思います。そういう人に来てもらえる銭湯をやりたいんです。

もともと銭湯はお寺に設けられていた、身の汚れを落とすための特別な施設だったそう。銭湯でお湯に浸かるのはある種、瞑想のような体験のひとつだったのかもしれません。そう考えると、祝さんが自分の気持ちと向き合えたように、銭湯は自身の心と対話する贅沢な時間を過ごすための場所とも言えそうです。

祝:最近、映像制作をしている友達にこの話をしたらすごく共感してくれて。というのも、最近映画館の数や来場者数が増えているらしいんです。その理由のひとつに、2時間だけでもケータイやなにもかもから離れたいという人が増えてきているというのもあるみたいで。銭湯でいうと、これからオリンピックもあるので、よりサービスを向上させるところが増えていくと思うんですけど、そのあとには、なにもないものを求める人が増えるんじゃないかと考えています。

PROFILE

祝茉莉
祝茉莉

モデル・番頭
新潟県出身。新潟の立派な山と実家のおいしいお米で育つ。
銭湯、お米、服、撮られることが好き。夢はお湯屋を経営すること、いいおばあちゃんになること。現在は東京で銭湯修行中。

INFORMATION

イベント情報
祝ふりま

2018年7月29日(日)OPEN 15:00 / CLOSE 20:00
会場:東京都 井荻会館
料金:無料
出演:
アイアムアイ
あり
池野詩織
沖真秀
片岡メリヤス
神田旭莉
喫茶リトルビーチ
サカイイブキ
祝茉莉
杉田ぱん
ソノダノア
天心グルーヴ
てんしんくん
NAZE
野中モモ
光と音のハオハオハオ
ぴょんぬりら
ぺーどろりーの
みしゃむーそ
もりしまりほ
最後の手段
論LONESOME寒

祝ふりま (@syukuhurima) | Twitter

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