信頼できる人たちは、自分の見えていない部分を見てくれているから、そういう人たちの意見って恋愛においてすごく大事。(武居)
すごく魅力的で、誰にでも好かれる人気者であっても、自分が本当に好かれたい人にも「いい人」止まりになってしまい、もう一歩踏み込んできてもらうことができない人もいるのではないでしょうか。では、本当に好かれたい人に「もう一歩」踏み込んでもらうにはどうしたらいいのでしょう?
武居:ふたりで過ごした時の雰囲気がポイントだと思います。モテる人は雰囲気をつくるのが上手。ちょっとドキッとすることとか、いいなって思わせる雰囲気を一瞬だけ見せるとか。よく言われることですけど、酔っ払った時にちょっと甘えるとか(笑)。
花盛:好きな人にモテたいのであれば、そこは恥ずかしがったらダメだよね。でも、そこをクリアして相手といい感じになったとしても、はっきりしない状態に陥ってしまうこともあって。それに振り回されるのは本当に傷つくし、ダメだと思う。
私も旦那と付き合う前になかなかはっきりできないタイプの人と付き合う話があったんです。私のことを好きだと言うけれど、彼にはまだ彼女がいたから、「デートするなら別れてね」って言ったんですけど、そのあと、別れないまま2回もデートに来たから、もうないなって思って。「別れよう」って言うだけなのに、それをしてくれないってことは、私のことそんなに好きじゃないんだなって思って悔しかった。やっぱり好きな人の一番にならないと。
いろんな人にちやほやされることは、やっぱり嬉しいものだし、一般的に「モテる」と言われるのも、この状態なのかもしれません。しかし、たとえば『電車男』で「彼女いない歴=年齢」のモテない主人公に向かって、ヒロインが「少なくとも私にはモテモテです」と言ったように、誰かの一番になる「モテ」もある。
一口に「モテ」と言っても、前者と後者では意味がまったく違います。すでに結婚されている花盛さんは、どういう恋愛経験を経て自分が望む「モテ」、愛され方を手に入れたのでしょう。
花盛:結婚するまでは、いわゆる「ダメ男」ばっか好きでした。付き合う人を顔で選んでいたからかっこいい人が多かったけれど、そういう人って大体ナルシストだったし、もともとモテるから努力をしていない人が多かった。そういう人はどんなことも自分のためで、私に優しくするのも彼自身が優しい男でいることに酔っていただけだったし、人を好きになるのも「俺ってこんなに人を好きになれるんだ!」ってことに酔っていたんだと思う。
こういう人と付き合うのは良くないなって27歳くらいでやっと気づいたんです。それで、私は男を見る目がないから、自分から好きになったらダメだって思ったんですよ(笑)。でも、これも彼らと付き合わなかったら気づけなかったことかもしれないし、自分自身に対しての気づきがたくさんあるから、いっぱい恋愛したらいいと思いますよ。
「経験値、大事ですね」と武居さんも言葉を続けます。いろいろな好きな気持ちのかたちを自分自身で体験していくことで、どんな人を求めているがはっきりと見えてくるのかもしれません。
武居:過去の自分の恋愛遍歴を振り返るのってすごく大事だなって思います。私は親の意見がすごく参考になるなと思っていて。親になんでも話すし、実家に彼氏を気軽に連れていくので、親は私が付き合ってきた彼氏のことを知っているんです。「あの人はいい人だけど、そつがなさすぎて一緒にいると疲れると思うよ」とか。実際、本当にそうだったので、少し会っただけでズバッと言い当てる親の視点がすごくおもしろくて。
あと、「詩織が長く続いてるのって歳上じゃない?」って言われて、たしかにそうだし、そう言われたことで歳上の人といるほうがバランスが良いのかもって気づいたり。親じゃなくても、10年来の親友たちに「ふたりで玄関に入ってきた時からめっちゃ自然だったよ」って言われた人と付き合うことになったり……。信頼できる人たちは、自分の見えていない部分を見てくれているから、そういう人たちの意見って恋愛においてすごく大事だと思います。
花盛さんも「友達が言うことってだいたい当たるよね」と同意見。自分の経験値に加え、信頼できる周囲の人々からのアドバイスを受け、どんどんいろんな人と向き合っていったら、理想のかたちが見つかりそうです。
もっと外に出たら? っていう生活をしている人ほど「モテたい」って言っている気がする。(花盛)
ここまでのふたりの話から、多くの人から好かれる「モテる」ことと、誰か特定の人に「愛される」ことは全く別物だということがわかってきました。しかし、「モテたい」と言う人は、不特定多数の人からちやほやされるというよりも、恋人がほしいという意味でその言葉を使っているようにも聞こえます。
花盛:「モテたい」って言っている人は、多くの人にちやほやされることを求めているっていうより、「恋人がほしい」という意味で言っている気がする。いろんな人に好かれて、その中から自分でひとりを選びたいと思っているのかも。でも、いろんな人とまずは知り合うために、もっと外に出たら? っていう生活をしている人ほど「モテたい」って言っていることが多いよね。
武居:たしかにそうかもしれないですね。年齢を重ねるとある程度コミュニティが固まって、自分のコミュニティからなかなか出ていかなくなるから、あたらしく誰かと出会うことすら難しいんだろうなって思います。私も出不精で人見知りだから、すごくわかる。
でも、今のコミュニティの範囲で探すとなると、どうしても人間関係がごちゃごちゃしたり、友達から一歩外に出るのが難しくなってしまう。だから、今のコミュニティから派生したものでもいいので、いつもとは違うところに自分から少しでも出ていくと、出会いは格段に増えると思います。
実際に武居さんのお友達も、モテる人ほど外に出て行く機会を自らつくっているそう。
武居:私の友達でモテる子もフットワークが軽くて、出会いに対して貪欲です。失敗も多いけどめげないタイプで、むしろそれをネタにしてる感じ。「また失敗しちゃった! でもおもしろかったでしょ、この話」みたいな(笑)。その子は彼氏がいなくなった瞬間に立て続けに告白されていて。それは、自分から「彼氏と別れたから、誰か紹介して」って友達に言ったりして、たくさんの人と会っているからなんだと思います。
モテる人っていろんな側面がある。表情がコロコロ変わって見ていて楽しい人ってモテると思うんです。(武居)
これまで「モテ」についてさまざまに考えてくださった武居さんと花盛さん。She isの11月のギフトとして武居さんとつくった「抜け目ないスリップ」は、理想のモテが詰まっているような一着です。
武居さんが過去にワンピースの下に着るスリップを選んでいた時、ほしい丈のものが見つからずに困ったことがあったそう。一着でいろいろな丈が実現できれば、と「丈の長さが変えられる使い勝手の良さに一番こだわりました」と語ります。
武居:モテる人っていろんな側面があるんじゃないかなって。表情がコロコロ変わって見ていて楽しい人ってモテると思うんです。だから、モテを考えた時に、このスリップも単調すぎるとつまらないなと思って。そこから着想して、スリットを入れてチラリズムがあったり、裾のリボンがゆらっとなるようにして。そのリボンを絞ると丈に変化がつけられるようにして……。
そういう変化をつけられて、後ろから見ても抜かりない「モテる女」を再現しました。胸のラインも開いてるけど、そんなに深すぎず、でも胸元のラインはしっかり出るようになっています。
ちやほやされるだけのモテに惑わされず、自分が本当に求めるモテのかたちを理解している、隙がなさそうで実はある魅力的な女性像が浮かび上がってきます。色も優しそうに見えつつも、ちょっぴりセクシーな淡い水色です。
武居:白い服が好きなんですけど、たとえば白いワンピースを着る時は、下着が透けてしまうのでスリップは必須なんです。そういう時に恋人に脱がされて、スリップがダサかったら嫌じゃないですか(笑)。脱いだ時も、一枚で着てもかわいいものがほしかったんです。
スリップってセクシーすぎるものか、シンプルなものしかないから、ほど良いところを求めたいなって。隙や愛嬌も行き過ぎるといやらしさを感じてしまうのと一緒で、モテる人って、変ないやらしさを感じない人なんだと思います。あざとすぎる作り込みだと、相手も気づいて引いちゃうし。真のモテは……。
武居・花盛:「俺にだけ見せてほしい」。
武居:ハモリましたね(笑)。
真のモテとはなにかがハモったところで、女性の下着姿などをとらえた写真集『脱いでみた。』であたらしいヌードのかたちを提案している花盛さんに、スリップの下に着るオススメの下着を聞いてみると「なにもつけないでほしい」と答えが返ってきました。
花盛:これはぜひ裸の上から一枚で着てほしいですね。朝起きた時にこれ一枚でコーヒーを飲むとか、そういう朝って素敵だなと思います。いい生活してるな、私きれいだなって思える気がする。
武居:ちょっと勇気が出ない人に着てほしいです。私モテないし、って思っている人はその可能性に気づいていないだけな気がするから、そういう人たちがこれを着て、ちょっと頑張ろうって思えたらいいなって思います。
「モテる」という言葉は、まわりの人から言い寄られる受け身な状態に聞こえがちですが、今だれからも言い寄られていないから「私はモテない」というのは気がはやいのかもしれません。いろいろな恋愛経験を重ねて自分がなにを求めているかを知り、周囲の信頼できる人たちからの声に耳を傾けながら、新しい場所に踏み出していってみましょう。
こうやって書いてみると、もしかしたら「モテ」というのは、自分の人生を楽しみ、豊かに広げていくことの先に訪れるものなのかもしれません。そしたらきっとあなただけが求め、そして必要とされるオリジナルの「モテ」ができあがっていくでしょう。このスリップを着たら、新たな一歩を踏み出すための勇気と自信がもらえるはずです。
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