人からの好感度だけじゃなくて、自分への好感度をもっと上げたいなと思ってる。(石山)
美の基準について考え続ける石山さんですが、芸能のお仕事をしていくなかで、自身の体型に悩んだ時期があったと話します。
石山:思春期のときにすごく太ったんです。そのときに「100kg太ってデブキャラになるか、痩せるかどちらかにしろ」と言われたことがあって。テレビには平均的な体型の人がほとんどいなかったんですよね。芸能業界の人と会っていると、見目麗しいというものの基準が偏っているなと思うことはあって。先鋭化していくことは仕事のためには必要だし、いいことだと思う一方で難しさも感じていて……。「偏り」ととるのか「先鋭」ととるのか。研ぎ澄ますことは偏ることでもあると思いますし……。
はくる:蓮華ちゃんが「人からの好感度で食べてる」って言ってたの、すごく覚えてる。
石山:だいぶ酔っ払っていたからね……(笑)。でもいまは人からの好感度だけじゃなくて、自分への好感度をもっと上げたいなと思っている。この業界に入って16年たつけれど、ほかの人からどう見られるかばかり考えるのではなく、もっと自分の好きなことを追求したり、心を美しく持ちたいと思うようになりました。
はくる:その美しさは自分のためになるものなのか、ひとつひとつ考えていけたら健康的ですよね。たとえば整形に憧れている人のなかには、そういった情報ばかり追って視野が偏ってしまったり、ノイローゼ気味になってしまう人もいる。「美」と聞いたときに容姿の美しさに限定して考えるのではなく、精神衛生上美しくいられるかどうかを考慮することは、すごく大切だと思います。だからもし、顔を変えてしまわない限り心が穏やかにならないと切に思うなら、熱心に情報を集めて施術を達成することは、もちろん一概に悪いことじゃないと思います。
石山:美の基準を外見に持ってくると、その違いが目で見てわかるから、判断しやすいんですよね。私も「このモデルの顔になりたいな」とかよく思うんですけど、そうすると精神的につらくなってしまいやすいから、内からの魅力を引っ張り出していくほうが、自分自身の美しさとしてしっくりくる気がしています。
ありのままでいることにこだわらず、なりたい自分になっちゃっていいと思う。(はくる)
いつの間にか誰かによって決められた美の基準。無意識にその基準が呪いのように覆いかぶさって、苦しんでいる人もいるのではないでしょうか。はくるさんは「でも、ありのままなのが一概にいいとは言えないと思う」と続けます。
はくる:自分らしく生きることを提案・応援するムードのなかで、いまは「ありのままでいい」っていう風潮が強いじゃないですか。それって、ありのままでいることを受け入れられなかったり、物足りなく感じたり、居心地が悪いと思う人にとって、ときにはプレッシャーになると思う。だから、ありのままでいることにこだわらず、なりたい自分になっちゃっていいと思います。口で言うほど決して簡単なことではないけど、こうありたいという願望に向かってシフトしていくというか。美しくいるための方法や美しさのスタイルには種類がいろいろあるわけですから、必要以上にナーバスにならずに、それでいていてしっかりと努力するのがいいと思います。
石山:ヘアスタイルを変えたり、服を選んだり、爪を塗ったりするのもそうだけど、ちょっと変わるだけで簡単に解消したりすることもありますもんね。信じるところに向かって自分のスタイルで自分を整えていくことって、すごく楽しいと思うんです。
石山さんから見ると、はくるさんは「そういうことをかなり意識的にやっていて、自分の機嫌を取るのが上手だし、自分が欲するものに対してのセンサーがかなり鋭敏」なのだそう。それに対してはくるさんが、「自分の機嫌を自分でとれるのが大人だと思っているので(笑)」と、自分の機嫌のとりかたのコツを教えてくれました。
はくる:1年中喧嘩しているカップルとか、たまにいるじゃないですか。その原因って、基本的にはどちらか一方、もしくは両者が堂々と不機嫌になっているっていうケースが多いような気がして。私は他人にも近しい人にもコンディションの悪い状態をなるべくなら見せたくないので、そのために自分で自分の精神衛生を管理するよう心掛けています。
こういうことはある意味セルフプロデュースのひとつで、慣れも大きいと思うんです。私は9歳くらいからインターネットに触れていたから、叩き上げでその感覚が備わったのかも……(笑)。どう見られたいっていう状態が確固たるものじゃなくても、おおまかなイメージが描けてさえいれば、それを指針にすることで良い状態でいられるものじゃないかなと思っています。
とはいえ、自分で持っているイメージと、ほかの人に思われているイメージが乖離してしまったりしないのでしょうか?
はくる:誤解されていることもありますよ。Twitterを見て「共感できる」と言って会いにきてくださった方と話してみると、好みやマインドがまったく私とは違ったり。当然限界がありますし、頭数が増えたりすると、なおさらやむを得ないかなと思います。私が力不足なんだろうと思ったりもするけれど、わかってくれている人もいるので、それで何か落ち込むことはないかもしれません。