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東佳苗とShe is編集部が夜に話した、自信を失うとき、快復するとき

東佳苗とShe is編集部が夜に話した、自信を失うとき、快復するとき

アウトプットしなくても、内に秘めた思いを大切に

テキスト:阿部洋子 撮影:東佳苗 編集:野村由芽
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She isでは、GirlfriendsとMembersのみなさま同士の出会いや、対話を重ねる機会をつくり、そこからともに創造し、行動していく場所である「Girlfriends ROOM」をオンラインでスタート。

記念すべき第1回目のゲストは、rurumu:/縷縷夢兎のデザイナーの東佳苗さんと実施した「自信がないとき、どう生きる?」。ものづくりをする人は、新型コロナウイルスが拡大する状況においてなにを考えているのでしょうか? 状況や価値観が刻々と変わるいま、「自分自身」の感受性や判断能力が揺らいでしまうこともあるのではないかと思いますが、それは、きっと当然のこと。

She is編集部の野村由芽と竹中万季がホストになり、当日見てくださったMembersの方々ともチャットで交流しながら、そのゆらぎについて、ご自身も等身大で感じながら、言葉と行動に移している東さんにお話を伺いました。まるで女友達の部屋で行われる、親密なパジャマパーティのような、スペシャルな時間を今回は少しだけお届けします。

She is Membersのみなさまは、Members限定ページより当日のイベント動画もご覧いただけます。

今まで「できない自分」というキャラで予防線を張っていたけど、完成をめざさなくてもいいし、自己満でいい。(東)

野村:佳苗さんは最近どんな感じで過ごしていますか?

:本当にめちゃくちゃ最近なんですけど、料理を始めました(笑)。

野村:今まではあまりしなかったんですか?

:2年前のShe isのコンプレックスについてのコラム(「少女コンプレックスと劣等コンプレックス」)にも書いたんですけど、遅刻癖や料理をしないことがコンプレックスの要因になっていて。だから料理は敵だと思っていたところがずっとあったんですね。「男の人には料理する女の人が好きな人が多い」といった考え方もまだあると思うのですが、そういう考え方をおしつけられるのが嫌だったというのもあり、料理自体を避けてきたんですけど、このコロナを機にやってみようかなと。

野村:自粛要請期間中って、確かに料理に目がいきますよね。

竹中:料理と花の話をしがちですよね。

:料理に対して敷居の高さを感じていたんです。0を100にするような、完成を目指さなきゃいけない感覚があって、構えていて。でも野菜を食べるということだけだったら、ちょっと味を付ければいいじゃないですか。そのことに気がついて、これでよかったのかと。ニットで何か作ろうとするときも、こんなの絶対できないと思うけれど、糸と針を持ってちょっとだけやり始めたら意外といけるということがあるんですよね。同じことだなと思って。最初の一歩を踏み出した感じです。

野村:ひとりの生活者として、できるようになったことが増えたっていうことですよね。

:そうですね。今まで「できない自分」というキャラで予防線を張っていたんだろうなと思って。やってみたらそんなに大変なことでもないんですよね。別にめちゃくちゃ好きじゃなくてもいいし、気軽に始めていいし、すごくうまくなくてもいい。ある意味自己満でいいというか。

私にとって、自分の根本にある好きなものから完全に足を洗うことは、メンタルが揺らいでしまうことなんですよ。(東)

野村:今日は事前にMembersのみなさまから質問をいただいているので、それをご紹介したいと思います。まず最初の質問。

「人は生きていく上で見た目が変化していくことが避けられないのだけど、今まで好きで着ていた服が似合わなくなってくる。そんなことが私は悲しかったりします。似合っていたことが自信だったのかもしれません。他の自信を見つけて上書きするのがいいのかなと思いつつ、それでもまた悩んでしまったりします。おそらく多くの女性は誰にも話せず心に秘めてロリコンこじらせ問題を抱えていると思いますが、この悩みにどう向き合ったらいいと思いますか?」。

:これ、めちゃくちゃあると思いますね。でも、私の周りにいるおしゃれを楽しんでいる人たちは、例えば脚を出すとか、派手な色を着るということもそんなに気にしていないんですよ。ファッションって他人の目線ももちろん大事だとは思うんですけど、その人たちにとってはそれよりも自分のポリシーが大切なんですよね。私の場合も選んだ服のひとつひとつが主義主張とイコールです。

野村:いいですね。服が似合わなくなっていくということに対して、何かアドバイスはありますか?

:例えば今日私が着ているのは自分のブランド「rurumu:」のワンピースですが、全身ピンクだと激しいなという感じがするので、透け感のある黒のロングワンピースと合わせているんですね。昔着ていたドーリーなブラウスも、デニムと合わせたりパーカーを合わせたら着られるとか、だいたいのアイテムは着こなし次第でどうにかなると思うんですよ。

野村:すごく具体的なアドバイス!

:私にとって、自分の根本にある好きなものから完全に足を洗うことは、メンタルが揺らいでしまうことなんですよ。リボンついているのはもう着られないなと思っても、黒だったらいいかなとか、絶対自分が失いたくないものとの落としどころを見つけていくのがいいと思います。

これまでの「自分っぽく」ないと思う服を着てみたり、自分の中のセーブを取り払うことで、何かから抜け出した感覚になれる。

野村:私は最近「自分っぽく」ないと思うものを着たいな、と思うことが増えましたね。先日Homecomingsというバンドの畳野彩加さんが、シャツにハーフパンツを履いていらして、すごく可愛くて。私は大学生の頃から脚を見たことがないと言われるぐらい脚を全然出してこなかったんですよ(笑)。でも、出していこうかなって思って。これまでの「自分っぽさ」みたいなものが少しずつ変わってきている感覚があるし、年齢が上がっていくにつれてからだを出さない方向になんとなく向かっていくような世の中の風潮もあると感じるのですが、そうじゃなくてもいいんじゃないかな、という実感があります。

:わかります。私も最近ミニスカート履くようになったんです。理由はわからないんですけど(笑)。これまで自分の中でセーブをかけていたけれど、今は「そういうことを気にすることはない」という社会の流れもあるのかな。体型もモデルさんみたいなわけじゃないけれど、別にいいかと思えてきて。

竹中:私、それでいうと、パンツやジーンズを本当に履いてこなくて、履くと周りから「履くの!?」って言われるぐらいで(笑)。その理由って、今思うとめっちゃくだらないんですけど、昔付き合っていた人に「本当にパンツが似合わないよね」って言われたからなんです。それに傷ついて、私はパンツは似合わないと思い込んでしまっていて。けど、去年ぐらいから履くようになったら、褒めてもらえることが増えたんですよ。そのことで、何かから抜け出したという感じがあって、着られる服の選択肢が増えました。一着だけでもチャレンジすると広がると思います。

PROFILE

東佳苗
東佳苗

縷縷夢兎(るるむう)デザイナー。1989年福岡県生まれ。全て手作業による一点物商品の製作・販売の傍ら、様々なアーティストやアイドルの衣装デザイン、アートディレクション、空間演出、スタイリスト、キャスティング、MV監督、オーディション審査員等、活動は多岐に渡る。短編映画「Heavy Shabby Girl」(2015)「THE END OF ANTHEM」(2017)「my doll filter」(2017)監督。
https://twitter.com/rurumu_official

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