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東佳苗とShe is編集部が夜に話した、自信を失うとき、快復するとき

東佳苗とShe is編集部が夜に話した、自信を失うとき、快復するとき

アウトプットしなくても、内に秘めた思いを大切に

テキスト:阿部洋子 撮影:東佳苗 編集:野村由芽
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経験に基づく自己否定、自己嫌悪の延長というのは、めちゃくちゃありますよね。(東)

野村:次も気になる質問です。

「初めまして。この度は素敵な企画をありがとうございます。私は昔から考えることや創作が好きなのですが、それを外に発信することが極端に苦手です。そのような場に参加したり、応援している方にコメントを寄せたりするのにも不安を感じてしまいます。おそらく過去の経験に基づく、自己否定と自己嫌悪の延長ではないかと思っているんですが、素性を明かさずに社会に働きかけたいと思うのは逃げなのでしょうか。社会の一員として、自分の言葉で意思表示をしたい思いと、社会や人と距離を置きたい気持ちで揺らいでしまいます。身近に意見交換できる相手がいれば良いのかもしれませんが……」。

:経験に基づく自己否定、自己嫌悪の延長というのは、めちゃくちゃありますよね。私もSNSで人から「喋らない方がいいんじゃない」って言われたことがあって。そうは言われても、仕事で表に出るような機会もあるし、私が発言することでそこからお客さんに伝わって反応があって、ということがあるからやっています。でも、こういう気持ちを一人で悶々と抱えていたらしんどそうですよね。お二人はSNSで全部喋る方じゃないと思うんですけど、そういう気持ちは誰に喋っていますか?

野村:万季ちゃんとはめちゃくちゃ喋ってますね。

竹中:私もSNSに書くより由芽さんに話してるかな。

:愛だね(笑)。

野村:特にSNSの場合、私は感情や考えを必ずしも正確に伝えたいと思っていないところがあって。どんなに言葉を尽くしても、自分が思っていることと全く同じことを正しく相手が受け取るなんてことはないんですよね。以前山崎まどかさんと万季ちゃんと話していたときに「間違って理解されるよりも、美しく誤解されたい」というような話になって、「ああそうかも」ととても納得したんです。

私は思っていることを正確に表現したいというより、こういう風に表現したり言葉を重ねたら、どういう世界の見方が生まれるだろう? と考えているところがあって。言葉によってそういう風景を立ち上げたいという考えがあるので、発信するときに気持ちを伝えるということだけに重きを置く必要もないのかなと感じています。

常に「好き」が一定じゃない方が面白いと思います。(東)

野村:最後の質問です。

「憧れる女性は教養があり、自分の感覚を言葉で表せて、できることを全うされている方ばかりなので、そんな方々と自分を比べては足らないことばかりと自分への誇りを少し失ってしまいます。私ももっと自分を愛したいし、自信を持って表現していきたいです。お三方が自信やモチベーションを保つために心がけていることがありましたらぜひ教えてください。よろしくお願いします」。

他の質問にも「好きなものがわからなくなってしまうことがある」という声が多かったですね。

:モチベーションって、保たなくてもいいんじゃないですかね。好きなものを好きじゃない時があってもいいと思うんですよ。今は黒い服しか着たくないとか、パーカーにジーパンしか嫌だという時期があってもいい。それはカルチャーもそうで、いろいろ観たり聴いたりすることで、逆にこの音楽は聴いてて楽だなとか、こういう映画だったら見れるな、という新たな発見があると思うんですよ。常に「好き」が一定じゃない方が面白いと思います。

竹中:質問にあった「いろんな人と自分を比べて足りないことばかりって思ってしまう」という部分、私も本当そういうことばっかりで。そういう感情は学生時代においていきたかったはずなのに、何歳になっても抜けないんですよね。だから最近はそういう感情も自分のものとして認めて、うまく付き合っていくしかないなと思っていて。

野村:そうだよね。

竹中:私、負の感情が起きた瞬間にどうにかその苦しみを乗り越えるために、「こういう風に考えれば大丈夫」という考え方の手段を何個か用意しているんですよ。その考えを引き出せばすごく気が楽になるというものをリストにして何個かストックしていて。一つだとフィットしないときがあるからいくつかあるのがポイントで、この考え方じゃなかったらこっちかなって、いくつか組み合わせていくと、なんとか大丈夫になってくる。解決はできないんですけど、そうやって付き合っていってます。

:リストにするの、いいアイデアですね。

内に秘めた思いや考えみたいな、自分の内側を強化できたらいい。(東)

野村:もうそろそろ夜更けの入り口に来たので、今日はこの辺で終わりにしようかなと思います。最後に一言いただけますか。

:今回のテーマが「自信がないとき、どう生きる?」ということだったんですけど、私は自信がない時があってもいいと思うんです。ステイホーム中に、内に秘めた思いや考えみたいな、自分の内側を強化できたらいいですよね。別にアウトプットしなくても、自分の中身を自分で勝手に強化していく。その過程で揺れてもいいし、鬱みたいな気持ちになってもいい。だから答えがない問いなのかなと思う(笑)。そういう揺れる自分も認めてあげられたらいいですよね。

竹中:この時間、21時とか22時ってめちゃくちゃ自信がなくなる時間なんですよ。

:ああ、わかる。

竹中:昨日の今ぐらいの時間帯は気圧もあって頭痛がひどくて。体調が悪いと自信もなくなってくるから「もうダメだ」って、すごく落ちていて。でも、今日みたいに喋ったりすると気が楽になるし、こういう風に考えている人もいるんだって直接知ることで、全然違う気持ちに変わりますね。

野村:私は普段からわりと自分の中に潜っていく方ではあるんですけど、それでも今みたいに人と話す機会が減っている状況では、自分のチューニングが狂っていることにすごく気づくんですよね。そういう時に自分の中だけでなんとかしようと思っても、なかなか難しい。誰かと会話することはもちろん、本を読んだり映画を見たりすることも対話だと思うし、自分以外のものと混ざり合うというようなことが、生きていくうえで大事なんだと思います。

今日はコメントをくださった方も、事前に質問をくださった方も、見てくださった方も遅くまで本当にありがとうございました。みなさん、また明日からもやっていきましょう。おやすみなさい!

PROFILE

東佳苗
東佳苗

縷縷夢兎(るるむう)デザイナー。1989年福岡県生まれ。全て手作業による一点物商品の製作・販売の傍ら、様々なアーティストやアイドルの衣装デザイン、アートディレクション、空間演出、スタイリスト、キャスティング、MV監督、オーディション審査員等、活動は多岐に渡る。短編映画「Heavy Shabby Girl」(2015)「THE END OF ANTHEM」(2017)「my doll filter」(2017)監督。
https://twitter.com/rurumu_official

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