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レコード寄贈でディスカウント。小田原の宿「Tipy records inn」の魅力

レコード寄贈でディスカウント。小田原の宿「Tipy records inn」の魅力

「HOTEL SHE,」を手掛ける龍崎翔子さんからの5つの質問

2020年7・8月 特集:癒やしながら
インタビュー・テキスト:コアゼユウスケ、龍崎翔子 編集:久保山領
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思い出のレコードやCDを寄贈すると、宿泊費を割引してくれる「レコード・ディスカウント」というユニークな制度を取り入れている小田原の宿「Tipy records inn」。
7月の特集「癒やしながら」のギフトとして、MembersのみなさまにはShe is限定の宿泊プランをご用意。お持ちいただいたレコードまたはCDのお返しに、小田原の梅を使った梅酒、梅シロップ作りのワークショップを体験いただけます。

今回は「HOTEL SHE, OSAKA」や「HOTEL SHE, KYOTO」を手掛ける龍崎翔子さんから、代表のコアゼさんに5つの質問をいただき、「Tipy records inn」を始めたきっかけや小田原への熱い思いなどを聞くことができました。

ライブハウスの中で人生が変わってしまうような熱狂や瞬間をTipyを通して作りたい

どんな思いでTipyを始めたのか?(龍崎翔子)

一言では言い表せないので、きっかけの一つをお話します。中学時代、学校も行っていなかった僕にとってレコードは新しい価値観と出会える大切な場所、友達のような存在でした。数年前に通っていたタワーレコードが閉店し、自分の通っていた学校が無くなってしまうような、親友を失ったような猛烈に悲しい気持ちに襲われました。開業前に自分でレコード屋を作ることも考えたのですが、自分が音楽にすごく詳しい訳でもないし、今の時代YouTubeやストリーミング配信がある中でレコード屋さん一本で開業するのは容易ではないと諦めかけていました。

それでも諦められずに自分でレコード屋運営について調べていると、時には海外の田舎までレコードを買い付けに行く人もいるという話を聞きました。当時箱根でバスの運転手をしていた僕は、毎年海外からのゲストが増えているのを肌身で感じていました。それをきっかけに宿泊時にレコードを持ってきてもらって割引するというゲストハウス×レコードのアイデアを思いつき、Tipy records innを始めることになりました。僕は将来ライブハウスを作りたいと考えています。その道のりの中にゲストハウスとしてのTipy records innがあります。僕は20歳の頃からバンドをやっていました。その活動の中で、ライブハウスの中で人生が変わってしまうような熱狂や瞬間をたくさん見てきました。そんな瞬間をTipyを通して作ることがもっとできたら良いなと考えています。(コアゼユウスケ)

Tipy records innの一室「Natural room」

小田原がなかったら今の自分はない。もっと地元を面白くしたい、ヤバくしたい

なぜ小田原ではじめたのか? 小田原の魅力は?(龍崎翔子)

小田原があったから今の僕があるからです。バンドは小田原の地域に根ざしたバンドとして活動していました。『小田原城ミュージックストリート』という街中でのライブフェスイベントをきっかけに妻とも出会いました。小田原がなかったら今の自分はないのでその恩返しと、単純にもっと地元を面白くしたい、ヤバくしたいと思っています。小田原は本当に魅力的です。都心からも近く、海も山も川も温泉もあるし、そのうえ食べ物が本当にうまい。小田原の鯵やスミヤキ(かます)の刺身は最高ですよ。歴史ある建物も多く、海も静かなので、ぼーっとするのにオススメです。箱根へも電車で15分。日帰り温泉の「天山湯治郷」へ行けば完璧です。(コアゼユウスケ)

音楽を共通言語にしたコミュニケーションは心の壁を溶かす

Tipyという宿を通じて世の中に何を伝えたいか?(龍崎翔子)

ありふれたものでもその背景にはいろんなストーリーやドラマがあります。そこに着目することで新たな価値になり、だれかの大切な瞬間になるんじゃないかと思っています。レコードを持ってきてくれた時にはその音楽と自分とのストーリーを「レコードペーパー」という紙に書いていただいているんです。同じレコードであっても、それまで聴いてきた人の様々な思い入れや感情があると思っているので、それを可視化するために作りました。自分が置いていったレコードとそのストーリーによって誰かが笑顔になってくれる。ここにあるのは一つ一つが仮に同じ音源だとしても違った作品です。音楽だけに限りませんが、その背景にどんな思いがあるのかを知ることによって新たな価値に感じたり、好きになったりすることがある。音楽を共通言語にしたコミュニケーションは心の壁を溶かします。国籍や年齢、育ってきた環境などは関係なく、お互いを知ることで新しい発見やコミュニケーションが生まれることって最高じゃないですか?(コアゼユウスケ)

宿内に設置されたレコードプレーヤーで持ち込まれた音源を聴くことができる

レコードが海を渡って郵送されてくることも

ゲストとの印象深いエピソードは?(龍崎翔子)

レコードを持ってきてくださる全員、本当に印象深いです! 去年、フジロックにも出演したStella Donnelly (ステラ・ドネリー) のバックバンドのギターのジョージがたまたま来てくれたり、来ていただいた本人の音源をいただくこともよくあります。レコードの取り組みを知らずに来た外国の方が「国に帰ったら送るよ」と言って、海を渡って郵送されてきたことが何回もあります。500円しかキャッシュバックせず損してしまうのに、嬉しい限りです。(コアゼユウスケ)

老舗の美味しい中華屋さんの餃子、五代続く魚屋さんが営む居酒屋さんで食べる肴、大自然の中での野天風呂温泉

その他、こだわりや、PRをお願いします。(龍崎翔子)

個人的なTipyへの思いをたくさん書いてきましたが、本当に小田原はいいところなので遊びにきてください。老舗の美味しい中華屋さんの餃子、五代続く魚屋さんが営む居酒屋さんで食べる肴、大自然の中での野天風呂温泉、などなど語り尽くせぬほど魅力に溢れています。週末はちょっと飲みに小田原へ来ませんか? 好きな音楽の話も聞かせてください。ご無理のない範囲でお待ちしております。(コアゼユウスケ)

店舗情報

Tipy records inn
昭和テイストの残るエリアに佇む築65年の古民家をリノベーション。小田原駅東口より徒歩3分。

7月の特集「癒やしながら」のギフトでは、She isのMembers限定で「レコード×梅酒作り」プランをご用意。お持ちいただいたレコードまたはCDのお返しに、小田原の梅を使った梅酒、梅シロップ作りのワークショップをセットにした限定プランです。(お申し込みは7/31まで)

癒やしながら - She is [シーイズ]

PROFILE

コアゼユウスケ
コアゼユウスケ

Tipy records inn代表
2018年Tipy records innを立ち上げ、以後立て続けに近隣の空き部屋をリノベーションし4棟8部屋の全部屋個室分散型のゲストハウスを運営する。
レコードやCDを持って来ていただくと宿泊代からキャッシュバックされるレコードディスカウントというシステムがあり、世界中のありとあらゆる音楽がTipy records innに集まっている。
2020年5月、地元ゲストハウスと協力し「地元の人がもっと地元を好きになる」をテーマに活動する「小田原ゲストハウス会議」を立ち上げる。

龍崎翔子
龍崎翔子

ホテルプロデューサー。2015年にL&G GLOBAL BUSINESS Inc.を立ち上げ、「ソーシャルホテル」をコンセプトに掲げ北海道・富良野の「petit-hotel #MELON 富良野」や京都・東九条「HOTEL SHE, KYOTO」をプロデュースする。2017年9月には大阪・弁天町でアナログカルチャーをモチーフにした「HOTEL SHE, OSAKA」を、2017年12月には北海道・層雲峡でCHILLな温泉旅館「ホテルクモイ」をオープン。

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