しかし私は、彼女のブログや書いた文章を読んでも「???」という感じで、彼女の作り出すものにほとんど興味がなく、ただ一緒に居るのが好きだった。
彼女は、私のいろいろな初めてを、ひょいっとかっさらっていった。親以外の人とタクシーに乗るのも、予約するようなレストランへ自分のお金で行くのも、私にとっては初めてのことだった。20回も面接に落ちていた私が、初めて受かったアルバイト先は彼女が紹介してくれたところだったし、初めて好きな人ができたときも、最初に彼女に話した。
友人との海外旅行も、彼女とが初めてだった。行き先はニューヨーク。彼女は、おいしい肉料理の店ばかり連れて行ってくれた。私は普段、肉をそこまで食べない。最終日になって、野菜不足を訴えると「あ〜、“野菜生活”持ってくればよかったねえ〜」と彼女は言った。開いた口が塞がらなかった。最高だなって思った。
それから彼女は、本を出した。その本を読んで私は初めて、彼女の考えていることのほんの少しを、垣間みた気がした。面白かった。ファンになった。それでもやっぱり、そんなことはどうでもよくて、喜怒哀楽の激しい私を、いつもにこにこ見守ってくれる彼女に、ときどき隣にいて欲しい。