一般家庭の記念写真を撮影のメインにしている、私が下北沢に作った「天然スタジオ」は、ごくごく小さなワンルームです。どんな人でも緊張せずに写真を撮れるように、と考えると、これくらい大きさがちょうどよく、天然スタジオの名前の由来にもなった天然光=自然光が窓から燦々と入ってきます。
彼女の人となりがわかる写真ということで、この真っ白な空間でどうしようか、と二人で考えた結果、彼女の好きなものを持ってきてもらうことにしました。好きな小説や写真集、ライオンのぬいぐるみ、ドラミちゃんのシール。どれにもそれぞれに彼女のエピソードがあり、話してもらいながらシャッターを切りました。
普段の撮影のように、笑顔を引き出せるよう盛り上げるつもりだったのですが、好きなものを前にした彼女からは自然と笑顔が溢れ、そんなことは必要なかったのでした。