ノ「あのさ、洗濯カゴにまたヤバい雰囲気の靴下がつっこんであるのだけど。」
も「いいじゃないのべつに。気にしない気にしない。」
ノ「臭いし洗濯機じゃ歯が立たないからさ、お風呂の時にバケツに浸けておいてくれないか。浸けておくだけでいいからぜひよろしく頼むよ。」
も「へいへい。」
(もくれんお風呂から上がる)
ノ「あ、靴下ぜんぜん浸けてないじゃないか! もうあれだな、警察に通報しようかな……。」
も「あのねぇ、靴下が臭いくらいで牢屋に入ったりはしないんだよ。」
ノ「靴下が臭いことだけでは牢屋に入らないかもしれないけど、家庭内迷惑行為で立件されるかもしれないよ。」
も「されるわけないよ。」
ノ「足の指と指の間もちゃんと石鹸で洗った?」
も「ちゃんと洗いましたよ、失礼ですね。」
ノ「よし、嗅がせてみな。」
も「洗ったから!」
ノ「くっさ!!! これ洗ってないだろ!」
も「いいよもう上がっちゃったんだからさ。」
ノ「あぁ、因みにその足ではベッドに入れないけど大丈夫? きみさ、いつも寝ながらでんぐり返って私の顔に足のっけてきたりするよね。別にそれを責めたりするわけじゃないんだけど足はさすがに洗うべきだと思わない?」
も「めんどくさいな~~~~~もう。」
ノ「めんどくさいよ私だってこんなやりとりを毎日毎日繰り返すのは。」
も「だったらもうノアがやってくれたらいいじゃん……。」
ノ「あのね、お母さんだからといってみんながみんな雛形通りにご飯作ったり洗濯したりするのが当然のことだと思ったらいかんよ。うちはお互い自分でできることは自分でやった上で無理な部分は補い合って生きていく新しい時代に添ったファミリースタイルをご提案しておりますので。」
も「てゆうかさ、もくれんはおなかがすいたよね。」
ノ「ほんとだよ、ノアもおなかがすいたよね。じゃあさ、私はお鍋を作るセクションを担当するから、きみは靴下と足を洗うセクションを担当するっていうのはどう? ここは手分けしていこうぜ。」
も「オーケー。」
(シャワーの音と口笛が聞こえる)
ー 私たちのループする夜の一節より ー