インターネットでおとなになったわたしたちへ/七

青春時代に「みんなみたいに」ができなかった人に送る

2018年1月 特集:Dear コンプレックス
テキスト:七 編集:竹中万季
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青春の偏差値を測れるとしたら、37くらいだろうな。E判定。まわりのみんなの青春はインターネットの外にあって、私はインターネットの中にいたから。他人の青春の話は、まぶしい、みたいな感想より先に「はあ、なんですかそれは」と思う。だって都市伝説みたい。

体育祭とその練習がとにかく憂鬱で、登下校はイヤホンして、何聴いてるのってせっかくクラスメイトがきいてくれているのに(その質問にコミュニケーション以上の意味はないのに)「知らないと思うよ」とか答えちゃう系の女子。昔の自己紹介です。そんな時代の気持ちになろうとして、かつて好きだった音楽をかけながらこれを書いていて、そしたらかつて好きだった人のほんとうの名前を最後の最後まで知らなかったこととかを思い出してしまった。あーあ。

女の子がもっと女の子になって男の子のことを話し始めるときも、私は私のことばかり話していた。放課後すぐ家に帰ってパソコンの電源を入れて、TwitterがないときからひとりでTwitterみたいなことをやって、けっこうまじめに詩を書いたりしていました。まじめというか、たぶんそれが、わりと好きだったから、部活やサークルをちゃんとやらずに書きたいことを書きつづけていられた。(余談ですが、部活やサークルをちゃんとやったことがないので、社会人になってはじめてできた同期という存在にどうやって振る舞ったらいいのかぜんぜんわからなくて、職場の内定者に敬語で喋ってしまいました、すごくダサい。)

いわゆる青春の、手ざわりのある記憶はほとんどない。そのかわりに私は私だけの感情を、考え方を、生きるための術を、身につけたり捨てたりしながらやってこられたんだと思います。

いまのインターネットは、ふつうの青春を過ごせなかった人たちのためだけのものじゃなくてみんなの遊び場で、それはさみしいことだけど楽しいことでもある。むしろ、ふつうの青春を過ごせなかったE判定たちが、全部のミニゲームをクリアしてきた人がもう振り返りもしなくなったようなきらきら光るアイテムとかを丁寧に拾いあげて、彼らに羨ましがられているような場面に会うこともあって、かなりいい。

そのときにそのときだけのものを楽しむことができなかったことは、少しだけ、もったいなかった気もする。でもべつに、そういうふうにしていまからだってできるんですよね、そのときなりの青春。あなたが18歳でも25歳でも33歳でも100歳でも、好きなように楽しくしていいわけだし。

みんなみたいなことでみんなみたいに笑ったり泣いたりできなかったことは、そんなに悪いことじゃない。私たちはもしかしたら、おばあちゃんになっても「みんなみたいに」ができなくて頭を抱えたりするのかもしれないけれど、いいよ、好きなほうを選ぼうよ、と思います。「そんなにかんたんなことじゃない」って言ってる14歳くらいの私と地続きのいま、そこそこ楽しくて、おめでとう。

PROFILE

七

そろそろ若さを盾にできないし、したくもない年齢。みんなが部活で揉めたりファミレスのドリンクバーで何時間も粘ったり彼氏とプリクラ撮ったりしてるあいだインターネットにポエムを投稿していたので青春の偏差値が37くらいしかない。好きなものはお笑いとビールと炙りしめさば。

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