私には、人生を変えてくれたと言っても過言ではない、とても大切な女友達がいます。
よく、信じられないと言われるけれど、実は私はその子と出会うまで全然友達がいませんでした。
母子家庭だったこともあり、母が心配して門限も厳しかったし、母とはそれこそ“おんなともだち”のような関係性だったので、夜は母と一緒におしゃべりをするのが恒例。みんなが見ているテレビ番組などは見ておらず、どんどん周りの友達と会話が合わなくなって、最後には合わせることをやめてしまったのでした。
私は学校が暇で暇で仕方がなくて、曜日で筆箱を変えて持って行ってみたり、毎日違う髪型を考えたり、校則で怒られないギリギリのメイクやおしゃれを発明するのに勤しんでいました。
そんな私を見てみんなは「変わってる」と言い、ますます友達ができなくなっていきました。
そんなくすぶった学生生活を送っていた私が、19歳の頃初めて自分で選んで働いた渋谷のCAFEで彼女に出会い、視界が変わっていきました。
その子はマサミちゃんという名前で、年齢は私の一つ下。綺麗なマッシュカットをした真っ黒な髪の毛がとてもキャッチーで、いつも白か黒の可愛いシルエットのお洒落な服を着ていました。切れ長の目が中性的なイメージを放ち、だけれどあどけないほっぺたがふわふわで可愛い不思議な魅力を放つ女の子でした。
マサミちゃんは私にないものをたくさん持っていました。彼女は、カメラマンの元彼を見返すためにカメラを始め、東京にやってきて、とりあえずCAFEで働きながら一人暮らしをしているというのです。とても破天荒で自由で危なっかしくて、のびのびしていて、先のことよりもまず、手前にある自分にできることはなんでも着手していく女の子でした。
ある日、マサミちゃんと一緒に部屋でゴロゴロ雑誌を見ていると、いきなり、マサミちゃんが「この人の作っているアクセサリーブランドが好きだから、ルック写真が撮りたいなぁ。今からTwitterにDMを送ってみる!」と咄嗟にパソコンを開き、本当にDMを送ってしまったことがありました。
なんと、その後ブランドのデザイナーさんから返信が来て、彼女は本当にルック写真を撮らせてもらっていました。
私はそんな風に果敢に自分からやりたいことに近づく方法を自ら探して掴み取っていく姿を隣で見て、私もこんな風になりたい! と強く思い、自分の手で歩み出した一歩をさらに形にしようと、マサミちゃんの真似をして気になる人にはとにかく連絡をしてみたり、自分だけの方法を編み出す試行錯誤の日々が続きました。
この時から、私の周りの環境はどんどん変化していきました。
学生時代は母とたくさん話をしていたこともあり、自分だけの意思で自分の行動を決めるよりも、大人の意見をよく聞いて決めるタイプだったのですが、初めて自分だけの意思でたくさん見比べて選んだバイト先のCAFEでマサミちゃんに出会えたことは、自分の中で大きな実績になりました。
どれも同じように見える求人でも、自分の鼻できっちり嗅ぎ分けると、その中で働いている人たちが合うか合わないかがわかるような気がするのです。
こんなにたくさんの人が世の中にはいるけれど、みんなそれぞれ本当に様々な考えを持って暮らしていて、自分が思っているよりももっと世界は広いとその時に本当の意味で感じました。
私が通っていた中学校は8クラスあるマンモス校で一学年248人もいたけれど、それでも出会えないくらい、世界は広くて、住む場所や働く場所、好きになるもの、それらを自分の力でもっと細かくチョイスしていかないと、気の合う友達にはなかなか巡り会えないのだと思います。
逆に言うと、それさえできれば、今までどこに隠れていたの? と不思議に思うほど、素敵な仲間たちがたくさんできます。
友達というのは、場所と行動が大きく関係していて、その人の中のマイブームが変われば、仲良くできたり、できなくなったりするものだと思うのです。だけどそれはおかしなことでも、悲しいことでもないんだと今は思います。
学生時代仲良くできなかったみんなも、もしかすると、別の場所で別の出会い方をしていたら仲良くなれていたかもしれない。
私は、マサミちゃんと出会い、自分の環境を選び抜くという知識を学びました。何事も自分の好きなものに近づくようにと諦めず、掴み取っていくマサミちゃんは本当にかっこよかったし幸せそうでした。
好きなものに近づくというのは大切な点がいくつかあって、まず、自分の好きなものをはっきりと明確にわかっていなければなりません。たくさんたくさん自分と向き合う必要があります。マサミちゃんは好きなものもさることながら、嫌いなものもはっきり持った女の子でした。嫌いなものがわかるということは好きなものがよりくっきりと浮かび上がるのです。そんな意志の強さも彼女に憧れた一つの要因でした。
そんなマサミちゃんがある日、「みーちゃんがすごく好きそうな作品を作っている美大生の女の子の卒業制作を撮影したから見て!」と見せてくれた作品がありました。その作品たちは本当に私の好みで、この子と仲良くなりたい!! とすぐに思いました。
その卒業制作を作った女の子は後に、SHE IS SUMMERのアートディレクションをすべて担当することになるれもんらいふの永瀬由衣ちゃんでした。
マサミちゃんを通して私が出会ったものは本当に計り知れなくて、彼女に出会えたか出会えてないかでは私の人生は180度違ったんじゃないかなと思っています。
でもそんな彼女に出会えたのも、どこかでこのままじゃダメだと自分で感じ、小さなことから見逃さずに選び取り、勇気を出して一歩進んだ自分がいたからだと思います。
きっとこの先も、ずっと友達というのはそういうものなんじゃないかと思っています。
私は男友達もたくさんいるし、女とか男とかをあまり気にして仲良くするタイプではないので、女でも男でも、目の前にいる世界にとどまらないで、自由に好きなように友達を探しに行けばいいと思っています。
友達がたくさんいるというのは素晴らしく楽しいことです。世界中全員が友達だったら、きっとどのお店でランチをしてもサービスをしてもらえるし、一緒に仕事をしても楽しいし、いつも思い入れのある時間を過ごすことができるはず。友達がいなかった私だから、友達がいる大切さは人一倍わかっているつもりです。
私はなるべく多くの友達をこの広い地球から見つけ出して、いっぱい最高の暇つぶしをしたいと思っています。
こんな私が発信する活動を通じて、また、あなたみたいに共鳴してくれた仲間と出会えることを夢見て、今日も自分がどこで遊ぶのか、何を考えるのか、選び抜いて行きたいなと思います。