「自分磨き」というとなんだか気合が入った感じがする。
例えば、週に何度も筋トレをしたり、メイクの研究をしたり、食事にすごく気を遣ってみたり、そういうイメージ。
個人的にはもうちょっと気軽に自分を労わることに「ああ、癒されている」と感じる。
例えば、いつもよりちょっといい入浴剤を買って、お風呂にゆっくり浸かってみたり、寝る前にオイルで足をマッサージしたり、自宅のお風呂でヘッドスパをしてみたり。
あとは、最近とてもいい枕を買った。値段が高いわけじゃないけれど、とってもふかふかで大きいサイズのもの。
義務感を感じない範囲でというところがポイントかな、と思う。
負担なく、ゆるやかに自分を労ることで「今日はちょっとふくらはぎがはってるかも……」とちょっとした変化に気づけるようになった。
コロナ以前、自由にどこにでもマスクなしで出かけられた頃、例えば文化も風景も違う海外に出かけたり、東京にいても新しいレストランやバーに行ったり、身体が疲れてると感じたらジムやエステに行ってみたり、違えば違うだけ新鮮だったり面白かったりするように感じ、それを癒しだと思っていた。
そう、自分にとって本当に癒されるのは案外「できるだけ気軽に自分を労わること」だと気づいたのは、実はコロナがきっかけなのだ。
コロナをきっかけに、私が運営しているランジェリーのセレクトショップTiger Lily Tokyoの仕事にちょっとした変化があった。
SNSのDMやメール、LINEなどでのお問い合わせがグーンと増えた。それは、緊急事態宣言が解除になった今も変わらない。
下着を店舗で試着して買うことはとても楽しい、満足感もある。
一方で、きっとそれなりにお客様にとってのハードルもあったのだと思う。
「販売員の方とうまく話せるかな」
「どんな服を着て行ったら試着しやすいかな」
「強引に勧められないかな」
SNSのDMやメールでは相手の顔も見えないし、お客様も数十秒で質問ができる。
送られてくる文章も、ゆるやかで簡素なものが多い。
コロナが心配で店舗に行きづらいということもあるのかもしれないけれど、それ以外の理由もあるのだろうか。
私が特別な瞬間だけではなく、もっと気軽に軽やかに自分をメンテナンスすることが日々の癒しになるということに気づいたのと同じように感じられている方も多いのだろうか。
サイズをきっちり測って、鏡の前でフィッターの方に合わせてもらって、という気合の入った接客は提供できないけれど、気軽で軽やかで、少しホッとするような、長いお風呂や寝る前のセルフマッサージみたいなものを提供できたらいいなと思っている。