「朝昼晩、カレーが食べたいです」
恋をすると、まるで取り憑かれたように夢中になってしまうもの。それは食べものに対してもおなじで、美味しいものに出逢えた日は幸せな気持ちに満ち満ちて、空腹の時間は苦痛で仕方がない。ああ、もっと食べたい。眠りにつく、その一瞬前まであなたの味を感じていたい。
「朝昼晩、カレーが食べたいです」と興奮気味に話すのは、モデルの村田倫子さん。Instagramにあげるごはんも、気がつけばほとんどカレー。「カレーときどき村田倫子」という連載を持つほどカレーに恋する彼女と、まる一日カレー屋さんをはしごするという幸せで愛にあふれる時間を過ごしました。場所はカレー屋さんがいくつも軒を連ねる激戦区、高円寺。オープンしてまだそこまで日が経っていないけれど、カレー好きの間で話題を集めているお店を巡ります。
『りんこーで』というスタイルブックも発売されるほど、ファッションへのファンも多い倫子さん。お洋服が大好きで、おうちにはあふれる洋服たちと、20足以上の靴がどっさりと! 「毎朝、その日の予定に合わせてテーマを決めて、お洋服を選びます」という倫子さん。今日のコーディネートはどんな風に決めたんですか?
倫子:一日カレー屋さんを巡るので、カレー色(黄色)のワンピースが着たいと決めていました! 「レベッカブティック」というヴィンテージを扱うショップのオリジナル商品のきれいなワンピース。これに合わせて、同じくカレー色のポシェットにフリンジをつけて、すこしかわいらしくしました。
映画ならクラシカルなワンピース、ライブに行くならカジュアルなスタイル、お食事だけの日も、お店の雰囲気を考えて着るものを決めるそう。カレーの日は、赤や黄色、ボヘミアンテイストの服がお気に入りです。足元は歩くことが好きなので、普段からヒールのないスニーカーやローファーがメイン。最近は、古着のワンピースにあえてスニーカーを外して合わせるのがお気に入り。この日は、1980年代のトレーニングシューズを元に、ライフスタイルにぴったりなミニマルなデザインに仕上げたアシックスタイガーの「パーカッサー」オリーブ×ホワイトです。
倫子:「このワンピースに合わせるなら、絶対これがカワイイ!」と一目惚れ。スニーカーは黒やベージュなどのベーシックカラーも使いやすいけど、カジュアルになりすぎることもありますよね。これは綺麗なオリーブ色で、古着を上品なイメージに見せることができる、あまりない色だなと思いました。しかも軽くて歩きやすい! ソックスはえんじ色を合わせました。
1軒目:本場にはないスパイスと食材で、美味しい妄想が広がる「妄想インドカレー ネグラ」
カレーコーデもばっちりで、街歩きスタート! 高円寺駅の南口を出て、パル商店街をまっすぐ進みます。古着屋や雑貨屋に目移りしながら、ヴィレッジヴァンガード高円寺店を右へ。一軒目のカレー屋さん「妄想インドカレー ネグラ」に到着です。
真っ赤な壁にサイババのイラスト、エスニックテイストの店内と倫子さんのカレーファッションがマッチして、食べる前から気持ちが盛り上がります。オープンしてまだ1年の新店ですが、倫子さんは訪問済みのお気に入り店。席につくとすぐに「日替わりで!」と頼む姿は、常連客さながらです。
カレーは日替わり(1,000円)のみ、2種類のルーがお皿を席巻。「食べ終わった後も美味しい、がコンセプト。インドには行ったことがないけれど、本場にはないスパイスと食材で日々妄想しながらつくっています」そんな店主の言葉に、こちらも妄想が広がります。
本日の日替わりは、しらすとねぜりのカレーと、新ごぼうと実山椒のキーマ。どちらのカレーも旬の野菜がふんだんに使われています。
「ネグラといったらしらす、というくらい定番の具材です」という店主の言葉に、しらすファンの倫子さんは「今日来れてよかった」と安堵。トッピングには、スパイスたっぷりの自慢のタンドリーチキン。「かわいい!」と興奮気味に、写真をパシャパシャ撮ってから、ひと口いただきます。目が自然と細くなったら、美味しい合図。カレーにときめく気持ちが、おさえられない!
倫子:カレーはスパイス抑えめだから、実山椒やねぜり、旬の素材の辛味や苦味が活かされていて、今まで食べたことのない味わいです。逆にタンドリーチキンはスパイスたっぷりで、カレーとの相性がばっちり。身体にやさしい後味で、近所にあったら毎日来たい! ジャンルにしばられない自由な発想もおもしろいし、今日はなんだろうな、と毎日妄想が膨らんで楽しそう。
スパイス好きの倫子さん。カレーと一緒に、フルーツを1か月スパイスで漬け込んだお酒もいただいて、一軒目から幸せいっぱい。ミールス(カレーに副菜を伴った南インドの定食)を出す日もあるそうで、目がキラリと光っていました。カレーのためなら、どこまでも足取り軽く。
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