She isでは、特集テーマをもとにGirlfriendsに選曲してもらったプレイリストを毎月Spotifyで配信中。4月の特集テーマ「ほのあかるいエロ」では、昨年11月に「歌謡曲と(黎明期の)ニューミュージック」を意識して制作されたという1stソロアルバム『うそつきミシオ』をリリースした見汐麻衣さんに歌謡曲やニューミュージックを中心にどこか「ほのあかるいエロ」を感じる曲を選んでいただきました。
「大人になって出会う恋ほど、ピュアなものはない」と話す見汐さん。昭和を彩る名曲たちは、大人の恋の勉強に役立つかも知れません。
01:フィンガー5 “個人授業”
数々の名曲を送り出してきた作詞・阿久悠、作曲・都倉俊一コンビによるナイスな曲です。
先生に淡い恋心を抱く男の子目線の歌詞。多分、中学生くらいの男の子か。
中学生の男の子の頭の中といえばきっと妄想の塊だろう。先生をイマジンしながら何度も何度もアレしただろう。悶々とする中坊の姿が目に浮かびキュンとしてしまいます。こういう、色んな意味でのびのびとした歌が私は好きです。
02:山本リンダ “きりきり舞い”
こちらも阿久悠・都倉俊一コンビによるもの。
この歌の女の子は自分の可愛さを自分でよくわかっているジュウクハタチくらいの女の子だろう。小悪魔的な女の子で、<夜風が甘いだけでも 祭りが近いだけでも からだ中が燃えてしまう>のである。ジュウクハタチと言えども、同世代の男の子より遥かにマセているのが女。<あなたの人生さえも狂わせ 悪いことをしたと思うわ>とは、男の方はたまったもんじゃないな……と。ほのあかるい感じは充分にあるものの、エロの中では残酷なクチだと思います。
03:平山みき “あなたの来る店”
作詞が荒井由実、作曲が筒美京平による曲(7インチの片面、“やさしい都会”もいい曲です)。
気の強い割にピュアな女なのでしょう。否、気の強い女というのは往々にしてピュアです。気の強さという仮面を多くの場面で用います。しかし、恋した相手がときどき来ると聞いて探したお店で待つとは、執拗な行動に思うかもしれませんが、突然消えた男を諦めきれないほど惚れてしまった自分を嫌悪しつつ、頭ではわかっていてもやっぱりもう一度会いたい。しつこい女だと言われるのはわかっている。はたから見ると怖い女に映るかもしれません。
しかし私には、下唇をギュッと噛み、泣くことは決してしたくないとこの現実に耐えている女の姿が浮かびます。きっと20代半ばくらいか。20代半ばともなれば「ほのあかるいエロ」以上のエロを十二分に経験していく年頃でしょう。<誇りもなくしたこんな自分にこんな自分に腹が立つけれどどうしようもできない>という歌詞がやたら沁みます。そしてこんな歌詞が書けるユーミンも物凄くピュアな人だろうなと勝手に思っています。
04:見汐麻衣 “たしかに愛を Certainly The Love”
僭越ながら、自らの曲を一曲選ばせて頂きました。
見ず知らずの男と女が何をきっかけに恋に落ちるのか、例えば何故、一夜の情事を求めるのか。きっかけは些細なことだったりもすると思うのです。私はこの歌の中で「素敵な勘違い」という言葉を使っています。目があったような気がする、手が触れた時熱いものを感じた気がする。そういうものから始まる関係があっても良いと思います。その「関係」がどういうものになるのかは神のみぞ知る。始まりは曖昧で不確かで、そこにはエロい気持ちや気分というのがひとつのエッセンスとして確かにあるものだと思います。
05:石川セリ “ダンスはうまく踊れない”
井上陽水が嫁の石川セリを口説く時、この曲を彼女の目の前で数分で作ったという話は嘘か本当か。口説き口説かれという世界こそ、大人の男女の世界の話。大人になって出会う恋ほど、ピュアなものはないと思っている(思いたい)のですが、エロというものに、ほのあかるさだけでなく仄暗さもついてくるのが大人のエロではないでしょうか。
06:越路吹雪 “ラストダンスは私に”
アメリカのコーラスグループ、ドリフターズの原曲に訳をつけた岩谷時子さんによる歌詞は直訳ではなく、もとの詞から逸脱しすぎずその歌の世界に潜む(歌の中に登場する別の人間の)目線で見た世界を日本語で魅せる凄さがあると思います。そして、その歌詞の主人公にいろんなものを経てきた、強く優しく一途でピュアな女性像が浮かんできます。自分の中に死ぬまでなくならないエロチシズムがあるとするなら、この歌のような愛し方、想い方は理想だなぁ。ここまでいくと「ほのあかるさ」が際立ちます。男女間に生まれる悲しみや寂しさなども愛という光か闇かで見えなくしてしまう程の。
07:サザンオールスターズ “C調言葉にご用心”
ここから3曲は、Spotifyにはなかったけれど紹介したい曲を。「ほのあかるいエロ」というテーマを聞いて真っ先に頭に浮かんだのはサザンのこの曲でした。個人的な見解ですが桑田さんの書くメロディは日本的情緒がありながらも(初期のアレンジには特に)ファンク、ソウルミュージックやR&Bへの愛を感じます(“海”という曲なんかは最高にクール)。その曲に乗せる歌詞がまたエロい。すべてがそうではないにしろ、ソウルミュージックなどの歌詞には「そばにいてくれよ、身体が熱いよ」や「お前のこと考えたらもうたまらない」といったようなベッドミュージック(そんな言葉あるのか知りませんが)的な要素があり、そのマナーでいくとサザンの歌詞がエロいのもなるほどなぁと思うわけです。
爽やかでアンニュイなイメージを醸し出すメジャー7やセブンスのコードに、<胸をつかみうなじを味わいやせた腰をからめてとぎれとぎれの声聞くだけでいい>やら<たまにゃMakin’Love そうでなきゃHand Job>なんて歌詞が乗っかるともうほのあかるいエロしかないでしょう。曲の構成もスバラシイのでこちとら熱いため息がでます。
3rd Album『タイニイ・バブルス』収録曲。
08:松任谷由実 “真珠のピアス”
この曲が収録されているアルバム『PEARL PIERCE』のジャケット、皆さん覚えていますか? 鶯色のジャケットで、ユーミンがマイクを口に当てトロリとしながらも鋭い目つきをしている写真(中ジャケは見開きで見れます)が小さく載っています。この表情、マジマジと見ているとなんともまぁイヤラシイです。「PEARL PIERCE」とは男女がまぐわうときの最後のフィニッシュを指す隠語でもあるらしいです。それを知ってからこの曲を聴くと、また、中ジャケを見るともう、もはやほのあかるいエロではない(ないのかよ)、30代からの大人の愛や恋の悲喜交々を感じずにはいれません。ただただ、エロい。
09:Sylvia Robinson “Pillow Talk”
残り2曲は洋楽です。シルヴィア・ロビンソンのピロートーク。
T.REXの“HOT LOVE”と迷いましたがこちらを。
この曲を聴いていると年下の男の子に手取り足取りいろんなことを教える年上の女が思い浮かぶのですが、ジャケットを見ているとじっとりとしたエロさはあまり感じず、三浦みつるの漫画『The かぼちゃワイン』のエルちゃんと青葉君のような関係性の二人を思い浮かべます。ピロートークというタイトルがもう、ね。いいじゃない。曲も甘くてメロウでうっふんです。
10:Serge Gainsbourg “Ballade de Melody Nelson”
何も言うことはありません。聴けばわかります。