女の子がセルフプレジャーをすることは、はしたないことですか?
私は、性生活を楽しむためのグッズを提案しているTENGA社で女性向けセルフプレジャーアイテム「iroha」の広報をしながら、その答えについてずっと探求し続けています。
私が自身のセルフプレジャーについて公言するようになったのは、18歳のとき。女性ファッション誌に出ていてもおかしくないくらい綺麗で、当時の憧れだった年上の女性が、「私はオナニーしてるよ!」と男性に対してサラッと公言していたことがキッカケ。自己快楽を認め、当たり前のものとして発言している姿は、なんて表現していいのかわからないくらい衝撃的で、カッコよくて。「セルフプレジャーは、恥ずべき行為ではないんだ」という安心感を得たのを今でも覚えています。それ以降、私自身も、「セルフプレジャーをしている」という事実を隠すことをやめました。
それをやめてからは、セルフプレジャーの後や「してない」と嘘をついたときに出てくる、じわじわと湧き上がる罪悪感みたいなものがなくなり、自分の身体や心に対して少しだけ正直になれた気がしました。でも、それとは裏腹に「性に対して奔放な女性」と周囲から認識され、そこまで親しくもない異性からセックスしようと誘われたり、ワンナイトラブを経験したこともないのに同性から「好きでもない人とセックスする人」だと思われることが出てきました。
女性がセルフプレジャーをしていることを公言したら、何故「性に対して奔放」だと見られてしまうのでしょうか。最初はそこまで気にも留めなかった言葉の数々がどんどん重なっていくと、どうしても胸のあたりが息苦しくなり、生き苦しくなり。積もり積もって24歳のときのある夜、「生きにくいなぁ」とベッドの上でボソっと言葉が出てきました。
セルフプレジャーの経験がある人は7割以上というデータも
株式会社ジェクスが実施した「ジャパン・セックスサーベイ2017」の調査結果を見ると、セルフプレジャーの経験がある人は7割以上というデータが出ています。女性の半数以上が経験していることが、何故こんなにも必死で隠され、腫れ物のように扱われているのでしょうか。していることをわざわざ公言する必要性は感じないけれど、女性のセルフプレジャーが空想上に存在しているものではなく、もっと身近な嗜みとして、「している人がいても、していない人がいてもいい」と感じられる世の中になればいいなと思いました。そんな想いを持ちながら、24歳のときにTENGA社の面接を受け、現在広報担当として働いています。
TENGA社に勤め、プライベートのSNSでirohaについて発信していくうちに、私の周りの女友達も変化がありました。「オナニーしたことがない!」と言っていた女性が、「実はしているんだよね」「iroha気になってるんだけど、どれがいいのかな?」と飲み会で相談してくれることが多くなったんです。人間の素直な欲求を正直に話せる環境はすごく心地が良かったですし、セルフプレジャーのことで悩んでいる人が相談できるような環境を今後も広く作っていけたらいいなと感じます。
顔のパックや髪の毛のトリートメントと同じ、女性のセルフケアのひとつとして
irohaに関する仕事をするときは、「マスターベーション」や「オナニー」ではなく、「セルフプレジャー」という言葉を用いています。最近、「セルフプレジャー」という言葉が少しずつ浸透してきたからか、「セルフプレジャーって、オナニーって言うのが恥ずかしいからそう言い換えているんだろ?」という意見を男性からいただくことが増えてきました。
声を大にして伝えたいです。それは違います。
マスターベーションは身体が求める自然な欲求。だからこそ、のんびり過ごす日曜日に顔のパックをしたり、髪の毛にトリートメントをつけたりするのと同じような気持ちで、女性の日常におけるセルフケアのひとつとして、自身の求める欲求に素直にこたえてほしい。irohaはそんな想いを込めて、マスターベーションを「セルフプレジャー」と呼んでいます。
「オナニーするとバカになる」なんて都市伝説も存在していますし、小さい頃マスターベーションをして親に怒られた女性もチラホラ見かけます。そうした経験から後ろめたさを感じている人も多いようですが、セルフプレジャーでオーガズムに達すると、副交感神経が優位になってリラックスモードになるんです。なかなか眠れない夜や、リラックスしたいときにセルフプレジャーを行う女性もとても多いみたいですよ。
そう考えると、セルフプレジャーを行うことは、はしたないことではなく、卑猥なことでもなく、カラダのセルフケアのひとつのようなもののように思えてきませんか。
女性向けAVやセックストイなど。女性も自分の気持ちよさを探求していいはず
最近だと、可愛い女性と清潔感のある男性が、少女漫画のシチュエーションに出てきそうな胸キュンセリフをしっかりと押さえながら絡んでくださる動画を揃えた女性向けアダルト動画サイト「GIRL's CH」があったり、海外製のスタイリッシュなセックストイも日本のショップに入っていたり、腟をトレーニングできるアイテムの種類も増えてきたり、女性が自ら性を楽しめる環境がじわじわとそろってきた気がして、すごくわくわくしています。
だって、自社で調査した結果(※)を見ると、セックスでオーガズムに達したことがない女性が約40%もいるんですよ。周りの女性の話を聞いてみると、セックスで「イク」ことを諦めている女性や、自分が気持ちよくなることを諦めている女性が結構いるんです。
自分の性を探求できる入り口がたくさん増えてきたことで、これから女性はもっと性を楽しめる機会が増えていくのかもしれません。セックスで気持ちよくなるために、セックストイやレズ風俗で自分の気持ちいいポイントを探る女性もいます。ちょっとでも気になる方は、ためらわずに飛び込んでみて、身体の気持ちよさを知り、もっと自分の性を楽しんでみてはいかがでしょうか。
幸せなセックスをするために私たちができること
最近の女子会で話した、性にまつわる話を思い出してみてください。女性が集まって話す性の話と言えば、セルフプレジャーの話ではなく、セックスの話が多いはず。その中でも、パートナーとのセックスに対する悪口が多くありませんか? いつも淡白。マンネリ。イけない。下手。女性の6割以上がセックスに関する悩みを持っているんです(※)。悩みを女子会で話すことは不思議ではありません。でも、悩みをパートナーに言えないまま「なんで察してくれないんだろう……」ともやもやしていると、次第に相手とのセックスが億劫になってきませんか?
きっと、あなたが感じている悩みは、話さない限りパートナーに伝わらないと思います。恥ずかしながら、私自身も自分が気持ちいいと感じるところをパートナーに伝えられたのは、TENGAに入社してから。なので、パートナーに言えない女性の気持ちは痛いほどよくわかります。「なんでわかってくれないの?」「もっとこうして欲しいのに……」。喉から出かかって何度飲み込んだことか……。
パートナーに自分の欲求を伝えることは、恥ずかしいですし、嫌われたらどうしようといろいろ考えて、頭がこんがらがってしまいます。しかし、残酷なほどに、ちゃんと言葉で伝えない限り伝わらないんですよね。しかも、伝え方にも気をつけないとならない。例えば、「もっとセックスして」「セックスが下手」ではなくて、「◯◯のこと大好きだから、もっといちゃいちゃしたい」、パートナーの手をそっと自分の気持ちがいいポイントまで持っていって、「ここが気持ちいいの」って優しく言ってみてほしい。
お互いがセックスで気持ちよくなるためには、お互いの心も気持ちよくしないと。どういう風に伝えたら、相手が喜んでくれるのかを考えながら話さないと。大げさに言えば、伝えるときから前戯がはじまっていると思います。
恥ずかしい。嫌だな。そこまでして気持ちよくならなくていいや、って思いますよね。でも、話すことが第一歩。セルフプレジャーもパートナーとのセックスも、勇気を出して話をしてみることで、自分自身の人生が少しだけ楽しくなるかもしれませんよ。
※株式会社TENGAによる調査結果によるデータです(調査方法:インターネットによるアンケート調査 / 調査実施期間:2017年11月2日 - 2017年11月7日/調査対象:18歳-49歳の女性/リサーチ会社:楽天リサーチ株式会社)。