悩みを聞いてくれたり、切磋琢磨したり、わたしたちの生活でとても身近な存在「おんなともだち」。それは物理的な近さのみならず、たとえ遠く離れていたとしても、そこには二人を繋ぐ記憶や思いが介在し、思わぬ瞬間に助けられることもしばしばあるでしょう。環境が変わって離れたり、関係性が変わっていくことがあったとしても、自由にゆるやかに繋がっていられたらどんなに素敵なことでしょうか。
She isでは2018年6月に大阪・梅田 蔦屋書店で開催されたPOP UPフェアに寄せて、「おんなともだち」をテーマに書籍をGirlfirendsに選んでもらいました。女友達そのものをテーマにした作品から、作品を選んだ背景にGirlfriendsと女友達とのつながりが見えるものまで、全15冊です。
魚喃キリコ『ハルチン(1)』/「はじめてハルチンを読んだ時、とても既視感があった。こんな子、こんな気持ち、こんな行動」(小谷実由)
はじめてハルチンを読んだ時、とても既視感があった。こんな子、こんな気持ち、こんな行動。あるある、やったことある、思ったことある。雑で貪欲にいきたかった毎日、でもセンシティブになっちゃうときもあった。そんなとき私の側にもチーチャンみたいな女友達がいた。そして彼女はいまも懲りずに側にいてくれている。このままおばあちゃんになっても付き添ってもらうつもり。(小谷実由)
本谷有希子『あの子の考えることは変』/「いろんなものがすごく駄目で、すごく過剰な、でも全然似てない二人の痛すぎる青春」(岸本佐知子)
全体的に挙動不審で、すべての言動が微妙に変な23歳処女のニッタと、セフレ男に報われない恋をしていて巨乳以外に自慢できるもののないメグリヤ。いろんなものがすごく駄目で、すごく過剰な、でも全然似てない二人の痛すぎる青春に、何度読んでも笑いと涙が同時にこぼれる、女子バディものの傑作です。(岸本佐知子)
梨木香歩『西の魔女が死んだ』/「傷ついて、弱ったときに何度でも帰ることを許してくれる物語」(Scarlet&June・ほのか)
学校へ行けなかったあの頃、母が渡してくれたこの本は、身近な人の言葉全てを拒絶していたわたしのそばに寄り添い、今でも野いちごのように裏庭で強く静かに根を伸ばしている。もし、光が見えずどうしようもなくなったら、逃げてください。ぶつかってみてください。彼女はそんなあなたから目をそらすことなく、疲れ果てたからだによく効くあたたかい料理の作り方を教えてくれるか、または辛抱強くあなたの回復を待ってくれています。シスターフッドについて考えたとき、傷ついて、弱ったときに何度でも帰ることを許してくれるこの物語のことを思い出しました。(Scarlet&June・ほのか)
柚木麻子『本屋さんのダイアナ』/「大切な女友達のことを想ったり、関係が途絶えてしまったあの子にふと連絡をしたくなる」(Scarlet&June・つかさ)
「魔法使いは死んでしまった。王子も助けてくれない。私の呪いを解けるのは、私だけ」
ダイアナと彩子、育った環境も見た目も全く違うふたり。それでも初めて出会った日から運命のように惹かれ合い、すれ違い、別れを経験する。けれど、ふたりは離れている時もお互いの存在がお互いを鼓舞し続ける。そんなふたりが時を経て再び出会う物語。読み終わったあと大切な女友達のことを想ったり、関係が途絶えてしまったあの子にふと連絡をしたくなる作品です。
(Scarlet&June・つかさ)
寺村輝夫『わかったさんのホットケーキ』/「チーム未完成の中でいちばん古くからの友人であるゆりしーがくれた本」(チーム未完成・しをりん)
何年か前の誕生日に、チーム未完成の中でいちばん古くからの友人であるゆりしーがくれた本です。以前も、大島弓子さんの「バナナブレッドのプディング」をもらったことがあり、とくに甘党でもない私になぜ、と戸惑っていましたが、誕生日ケーキの代わりなのかなと思うと合点がいきました。(チーム未完成・しをりん)
岡崎京子『くちびるから散弾銃』/「無意味の純度というのは高ければ高いほど尊くて、友だちとののんべんだらりとしたおしゃべりはその最たるもの」(チーム未完成・ゆりしー)
大人になるにつれ、非生産的な時間をどんどん失わざるを得なくなっているのですが、無意味の純度というのは高ければ高いほど尊くて、友だちとののんべんだらりとしたおしゃべりはその最たるもの。サカエちゃん、なっちゃん、ミヤちゃんの3 人が、ときと場所と話題を変えながら延々と続ける、ふわふわと明るくだるい、きらきらしいおしゃべりは、敬伲な気持ちになるほど無意味の純度が高くて、美しい時間ってこういうものだなと思うのです。(チーム未完成・ゆりしー)
みうらじゅん、伊集院光『D.T.』/「みうらさんと盟友達の関係に心から憧れる」(チーム未完成・ぴっかぱいせん)
自由な人に惹かれます。人は成長するにつれいろんなことに縛られていくもので特に女性は子育てなどで自由な時間は減ってしまいます(とても素敵なこと)。けれど、いつまでも大人になれないわたしは年下の女友達と時を過ごしてるのが心地よく、“個”同士が依存しない関係がいい。けどみうらさんと盟友達の関係に心から憧れる。くだらなそうでめちゃくちゃ芯のある話をひたすらしていけたらなあ。(チーム未完成・ぴっかぱいせん)
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