野村由芽⇔運命の友達のような祖母
野村由芽(She is)
祖母とは、たまたま血がつながっている、時間差の運命の友達のような感じがする。瞳が光っていてずっと少女でいるような祖母、「きれいなものがどこにあるかを知っていれば、手にもっていなくても心のなかで会いに行くことができるのよ」と笑う祖母、その祖母のことをできる限り覚えていたいと思って、新幹線に乗ってなるべく会いに行っては子どもの頃から別れ際にぼろぼろとわたしは号泣する。祖母が生きてることを思うだけで、泣いてしまうのは、なんでなのか。わたしは祖母のすべてには出会えなくて、でも出会えるだけ出会えたらと思うのだ。
・少女から祖母になるということはどういうことだった?
心は少女のままのつもりなのに、いつの間にか、祖母というものになっていた。長く生きてきたので、若い頃より、人の話をじっくりと聞けるようになった気がする。
・なぜものづくりをしていたのか
幼い時から手作りのものに心ひかれた。布と針と糸があればそこに自分の心と時間を注ぐことができた。小さな端布や残り糸から、わたしを何かに作って、という声が聞こえることもある。辛い悲しいことがあったとき、ものつくりをしていると、心が落ち着き優しい気持ちになった。
・生きるというのはどういうことか
わたしは大切な息子を病気で23歳でなくした。何故、わたしでなく息子だったのかと、苦しみ通した。涙が出尽くしたあと、わたしは生かされたのだ、と悟った。前をむいて生きていくしかない、と腹をくくった。1日1日を大切にし、四季の移ろいをたのしみ、他の人が作った芸術作品に触れる機会を増やした。
それには、自分の健康が大切なので食べることにも気をつけた。家にこもらないで、人に会う機会をふやした。自分以上の苦しみを抱えている人にも出会った。辛さ悲しさと折り合って、前をむいて行くことが、生きる ということだと気付いた。
・家族の関係性をつくっていくなかで、大切にしていることはなんですか?
家族との関係は、互いの個性を認め合うことだと思う。親だからといって自分の考えを押し付けてはいけないと思う。
・これからも家族である私へのメッセージ
由芽さんの個性が磨かれ、輝くよう心から祈っています。
それには、心身の健康がなにより大切です。いままで以上に健康に気をつけて、生き生きと過ごしてくください。
以上です。おばあちゃんより。
翌日のメール:
おばあちゃんにとって由芽ちゃんは宝物です。
昨日の回答の捕捉をします。
前を向いて生きていればいろいろと素敵なことに出会える。
雨の夜の翌朝、木の葉いっぱいに銀の鈴のようにつけている水滴の美しさに目を見張ったり、透明のビニール傘にのこっている水玉模様の面白さに見惚れたり、スポーツ選手の一瞬の動き、表情、そのどれもが生きていることの素晴らしさを教えてくれる。
野生の動物たちのたくましい生き方を見たり、かれらの赤ちゃんのしぐさの可愛いらしさにうっとりしたり、、、
ああ、この世界は面白いなあ、と世界の一員として生きている自分を感じる一瞬だ。まだ知らないこの世界をもっと見て見たいと、おばあちゃんになってもわくわくしてしまう。
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