家族にはじめてのインタビュー。7人が家族に質問した記録と記憶

燈里、植本一子、枝優花、後閑麻里奈、野村由芽、堀静香、吉野舞

テキスト:野村由芽
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野村由芽⇔運命の友達のような祖母

野村由芽(She is)

祖母とは、たまたま血がつながっている、時間差の運命の友達のような感じがする。瞳が光っていてずっと少女でいるような祖母、「きれいなものがどこにあるかを知っていれば、手にもっていなくても心のなかで会いに行くことができるのよ」と笑う祖母、その祖母のことをできる限り覚えていたいと思って、新幹線に乗ってなるべく会いに行っては子どもの頃から別れ際にぼろぼろとわたしは号泣する。祖母が生きてることを思うだけで、泣いてしまうのは、なんでなのか。わたしは祖母のすべてには出会えなくて、でも出会えるだけ出会えたらと思うのだ。

・少女から祖母になるということはどういうことだった?
心は少女のままのつもりなのに、いつの間にか、祖母というものになっていた。長く生きてきたので、若い頃より、人の話をじっくりと聞けるようになった気がする。

・なぜものづくりをしていたのか
幼い時から手作りのものに心ひかれた。布と針と糸があればそこに自分の心と時間を注ぐことができた。小さな端布や残り糸から、わたしを何かに作って、という声が聞こえることもある。辛い悲しいことがあったとき、ものつくりをしていると、心が落ち着き優しい気持ちになった。

祖母に依頼してつくってもらったセーター

・生きるというのはどういうことか
わたしは大切な息子を病気で23歳でなくした。何故、わたしでなく息子だったのかと、苦しみ通した。涙が出尽くしたあと、わたしは生かされたのだ、と悟った。前をむいて生きていくしかない、と腹をくくった。1日1日を大切にし、四季の移ろいをたのしみ、他の人が作った芸術作品に触れる機会を増やした。

それには、自分の健康が大切なので食べることにも気をつけた。家にこもらないで、人に会う機会をふやした。自分以上の苦しみを抱えている人にも出会った。辛さ悲しさと折り合って、前をむいて行くことが、生きる ということだと気付いた。

・家族の関係性をつくっていくなかで、大切にしていることはなんですか?
家族との関係は、互いの個性を認め合うことだと思う。親だからといって自分の考えを押し付けてはいけないと思う。

・これからも家族である私へのメッセージ
由芽さんの個性が磨かれ、輝くよう心から祈っています。
それには、心身の健康がなにより大切です。いままで以上に健康に気をつけて、生き生きと過ごしてくください。

以上です。おばあちゃんより。

翌日のメール:
おばあちゃんにとって由芽ちゃんは宝物です。
昨日の回答の捕捉をします。

前を向いて生きていればいろいろと素敵なことに出会える。
雨の夜の翌朝、木の葉いっぱいに銀の鈴のようにつけている水滴の美しさに目を見張ったり、透明のビニール傘にのこっている水玉模様の面白さに見惚れたり、スポーツ選手の一瞬の動き、表情、そのどれもが生きていることの素晴らしさを教えてくれる。
野生の動物たちのたくましい生き方を見たり、かれらの赤ちゃんのしぐさの可愛いらしさにうっとりしたり、、、
ああ、この世界は面白いなあ、と世界の一員として生きている自分を感じる一瞬だ。まだ知らないこの世界をもっと見て見たいと、おばあちゃんになってもわくわくしてしまう。

PROFILE

燈里
燈里

1992年茨城県生まれ。台北在住。千葉とフィンランドで教育学専攻・現代芸術理論副専攻を経て、現在は台北教育大学国際修士現代芸術課程に在籍。2012年から忘れる記憶の記録のためにスケジュール帳を作る。

植本一子
植本一子

1984年、広島県生まれ。2003年、キヤノン写真新世紀で荒木経惟氏より優秀賞を受賞し写真家としてのキャリアをスタートさせる。広告、雑誌、CDジャケット、PV等幅広く活動中。13年より下北沢に自然光を使った写真館「天然スタジオ」を立ち上げ、一般家庭の記念撮影をライフワークとしている。著書に『働けECD わたしの育児混沌記』『かなわない』『家族最後の日』、共著に『ホームシック 生活(2〜3人分)』(ECDとの共著)がある。

枝優花
枝優花

1994年3月2日生まれ。群馬県高崎市出身。映画監督、写真家。映画のスタッフをしながら、監督を務めた映画『少女邂逅』が新宿武蔵野館を始め全国公開が決定している。第42回香港国際映画祭に招待される。またSTU48デビューシングル「暗闇」のMVを監督も務めた。そして今年の夏には山戸結希監督企画の映画『21世紀の女の子』で再びメガホンを取る。また雑誌「装苑」にてコラム「主人公になれない私たちへ」を連載中。

後閑麻里奈
後閑麻里奈

尾道在住。広島空港内にある、ヴィーガンミルクチョコレートファクトリー「foo CHOCOLATERS」工場長。女性・クィア・トランス・ノンバイナリーに向けたプロジェクト「GRRRDEN」を始動。不定期でzineの発行やDJイベントを開催している。アンダーウェア・プロジェクト「Kiss Your Grrrden」やzineなどの個人制作物を主に扱うミニショップ兼インフォスペース「Virgo Stingray」もマイペースに活動中。

堀静香
堀静香

1989年よこはま生まれ、よこはま育ち。歌人集団「かばん」所属。本州のはじっこで短歌をつくりながら、哲学者の夫と、そして最近うちに突然やってきたムーミンとともに、三人で楽しく暮らしています。twitterやnoteでその暮らしを綴っているので、読んでいただけたら嬉しいです。

吉野舞
吉野舞

1995年秋生まれ。兵庫県淡路島出身。この春、武蔵野美術大学空間演出デザイン学科卒業予定。
やりたいことをやりたいと思った時に、すぐにやらないと自分を裏切ったようで落ち着かないので、興味があることは、何でもやろうと思います。
書くことは、やりたいリストの一番上。座右の銘は「人生の大体の出来事は、自分のせいで人のおかげ」。肩書きはまだ、ないです。今、東京。

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