自身の祖父をミューズとし、過去を紐解き、未来へ繋ぐコレクションを展開するRURI.W
2つ目のブランドは「RURI.W(ルリ)」。デザイナー渡邉瑠璃さんの実のおじいさまを今期のミューズとし、過去を紐解き、未来へ繋ぐコレクションを展開しています。そんなRURI.Wのお洋服は、きちんとした背景を持ち、論理だてられていてすっきりとした印象があります。
RURI.Wさんの場合、リサーチの深さを基にした筋の通っている広げ方がとても魅力的です。リサーチのスタートは「自分の祖父」というデザイナーにとって“パーソナル”な部分。その後、祖父の生きた時代そのものだったり、その時代ならではの縫製、染色、生地感、ファッションの捉え方をリサーチしながら、どんどん“ダイナミック”に転換していきます。そして最終のアウトプットでは、いまの私たちが着たいと思える・着られる形に戻す。
パーソナルなところから始まっているからこその温もり、リサーチに基づく細かさ、そしてリアルクローズとしてのアウトプットへつなげるクオリティがとても高いのです。
また、デザイナーの渡邉さんご自身もとても素敵な方で、今のブランド活動の果てにファッションを志す学生の支援になるファンドを作りたいなど、自分自身を大事にしながらも、それを未来に還元していくことも考えていらっしゃる方です。そんな彼女の思いを知ったからこそ、なおさら着たいと思ってもらえたら何よりです。
RURI.Wデザイナーの渡邉瑠璃さんから、ルールに対して思うことについて言葉をいただきました。
ルールという言葉は、自由を制限するようなネガティヴな印象を与え、多くの場合、自由な発想と相反する意味で捉えられる。しかし私にとってのルールとは、自由を制限するものではなく、自分らしさや伝えたいものを表現するための礎。
ファッションの勉強をはじめた時から、そして今も、服作りに欠かせないものは基礎。私にとってはデザインのスタート地点。ルールを基礎と捉えるならば、それはあたりまえに存在し、その先に伝えたいものをカタチにしていける自由がある、と私は思う。
RURI.Wのコンセプトは、「過去から現代に受け継がれたものを繋ぐ」。過去を知り、色々な立場に身を置いて捉えることで、様々なことが見えてくる。それらを肯定も否定もすること無く、未来へ繋げるために、今、ファッションを通じて何を、どう伝えていくべきか。それを考え続けることが、RURI.Wの「ルール」。すなわちスタート地点である。