様々な土地、時代を生きる女性たちの物語。かとうさおりが教える5冊

様々な土地、時代を生きる女性たちの物語。かとうさおりが教える5冊

きっとずっと続くことを疑いもしなかった平坦な日々を思う

2020年3・4月 特集:どこで生きる?
テキスト:かとうさおり イラスト:村本萌 編集:竹中万季
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“ここではないどこか”。その感覚は、譲れないものを再確認するためにやって来たサイン。

『結婚式のメンバー』(著:カーソン・マッカラーズ、訳:村上春樹、発行:新潮文庫)

「緑色をした気の触れた夏のできごとで、フランキーはそのとき十二歳だった。その夏、彼女はもう長いあいだ、どこのメンバーでもなかった。どんなクラブにも属していなかったし、彼女をメンバーと認めるものはこの世界にひとつとしてなかった」

ここではないどこかへ行ってしまいたい。この物語の主人公フランキーのように、そんな風にある日突然思ったのはいつのことだっただろう。子ども時代に別れを告げる時だ。世界はあまりに突然で、答えをくれず、今まで気にしていなかったような小さな事象がわたしを傷つける存在に変化する。
そんな経験があるわたし達は、自分が自分であることにうんざりし、世界が一瞬にしてまるで違うものになることを夢見る。

「醜くてつまらないものごとについて考えなくては、と彼女は思った」

今いる場所に自分が属していないと気づいた時の違和感や世界との剥離。
それまでの自分の世界が急速に醜く衰えていき、興味を失っていく感覚。
言葉にしてしまうと、果てしなく孤独なものに感じてしまうけれど、慣れ親しんだいつもの場所に存在するわたし達は、その違和感や奇妙な感覚を見逃してしまったり、気づかないふりをしてしまいがちだ。
考えないようにしてみたり、それは大したことではないのだと言い聞かせてみたりする。
“ここではないどこか”。その感覚は、譲れないものを再確認するためにやって来たサインであり、ヒリヒリとした痛みを伴ったとしても、それはきっと希望への渇き。
見逃さずに、自分自身の思考の中に飛び込んでみよう。

PROFILE

かとうさおり
かとうさおり

色彩、記憶、物語をテーマに2014年にNINE STORIESとしてものづくりの活動を衝動的にスタートする。
活動名の由来は、たくさんの物語を作っていきたいという思いを込めて。
百貨店催事や個展を中心に大阪にて活動中。
自主企画として映画上映やトークイベントの企画に携わるほか、
映画館、配給とのコラボレーション企画も行っている。
読書好きが高じて、読書の楽しみを広める活動として古本市への出展、企画にも携わる。

村本萌

illustrator, textile designer

INFORMATION

イベント情報

5月以降のポップアップショップ・催事に向けて目下、新作を制作中。

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