She is 読者のみなさま、こんにちは。自炊料理家として活動している山口祐加です。まずは白湯でも飲んで、読みはじめてみてください。お茶がなくとも、白湯で十分ほっとできます。
料理研究家でなく「自炊料理家」ってなんぞやという話ですが、わたしの仕事は「料理する人を増やす」をモットーに、料理初心者や苦手な人向けに買い物のしかたから残り物の使い方までお伝えすること。外食や中食など食の選択肢が増える中でも、自分で作ってみたいと思っている人をサポートするのが役目です。
さて、今回の記事では「セルフケアとしての自炊」をテーマに3つほどレシピをご紹介していきます。
おいしい気持ちは生きる希望
ふつうの毎日を過ごすことが難しくなって、1か月ほど経つでしょうか。暮らしや仕事の変化は、多かれ少なかれみなさんにあると思います。正直、くたびれちゃいましたよね。
いつもなら、友達とおいしいものを食べに行ったり、好きな喫茶店で本を読んだり、たまに旅に出かけたりして「毎日、おつかれさま」と自分にささやかなご褒美をあげていたと思います。
でも、いまはそれができない。けれど日々は続きます。さわがしいニュースを見聞きして、そわそわする気持ちをどうやって落ち着けたらよいだろうか。そんなセルフケアの一つとして、自炊を提案してみたいのです。
私は「自炊=自分の身体と心を世話して、生きていく自信をちょっとずつ積み上げる営み」だと思っています。料理というと、どうしても出来上がった食べ物に目が行きがちですが、「作るプロセス」にこそ魅力があります。
食材を触った指先の感覚、吸い込みたくなるような香り、ジュージューと焼ける音。野生動物にでもなった気分で、五感をひらいて料理すると「生きている実感」がじわじわと感じられます。食材と触れ合っているだけで、なんだかひとりじゃない気もしてきます。面倒見て作った料理は、かわいくておいしいもの。もやもやした頭は一旦オフにして料理すれば、終わる頃には頭がすっきりして、心もしゃんとしているはずです。
くたくたの葉っぱに癒やされよう「菜っ葉のオイル蒸し」
オイル蒸しはオリーブオイルとほんの少しのお水で野菜をゆっくり炒め、うまみをじっくり引き出しくたくたの食感に仕上げる調理法です。ストウブなど厚手の鍋で作るのが定番ですが、フライパンでもできます。
材料:
小松菜1束、オリーブオイル大さじ3、塩適量
作り方:
①小松菜を食べやすいサイズに切り、茎→葉の順でフライパンにいれます。上からオリーブオイル大さじ3、水大さじ1をふりかけます。
②フライパンを中火にかけ、蓋をして2分加熱します。ジューと音がしてきたら弱火に落とします。
③2分毎に蓋を開けて混ぜ合わせ、お好みの硬さで仕上げます。焦げそうになったら、火を弱め、水を大さじ1足してください。合計12分以上加熱するとくたくたになります。ぐでぐでになるまで火を入れてもよいです。仕上げに塩をひとつまみ加えて混ぜ合わせ、足りなければ調整します。
アレンジではニンニクを加えたり、ベーコンなどを入れたりしてもおいしいです。小松菜に限らず、オイル蒸しは菜の花、ほうれん草、ブロッコリー、カリフラワーなどいろんな野菜でできます。水分量の少ない野菜は途中水分を少しずつ補いながら火入れすれば怖くありません。多少の焦げは大歓迎。香ばしさが旨味になります。
週3回、りきまずに料理をしてみませんか?
「家にいる時間が増えたから、そろそろ自炊でもしてみようかな。でも何から手をつけていいかわからないし、食材をうまく使えこなせなさそう……」と思っていたら、週3回の自炊で食材を使い切れる「週3レシピ」を使ってみてほしいなと思います。
料理ができない友人が「苦手だけどやってみたい」と話してくれたところから始まった週3レシピは、旬の食材と定番食材を少しずつ買って、週3日の自炊で食材を使い切る=残り物がでないレシピです。毎月noteで発表してきたものがこの春、一冊の本になりました。りきまず、心地よい自炊の続け方を一からお伝えしています。ぜひ手に取ってみてください。
『週3レシピ 家ごはんはこれくらいがちょうどいい。』
次回はほぼ切らずに焼いただけ、茹でただけの野菜料理です。お楽しみに。
※新型コロナウイルス感染症については、必ず厚生労働省や首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている一次情報をご確認ください。