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前向きでいられなくてもいい。弱さと怒りを表明する勇気を/惣田紗希

前向きでいられなくてもいい。弱さと怒りを表明する勇気を/惣田紗希

政府に意見を伝える、署名する。表明することの重要さ

テキスト・イラスト:惣田紗希 編集:竹中万季
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自分のなかの怒りを伝えるために、政府に意見を伝える、署名をしてみる

前向きにね、と言われても前向きになるのを政府に全力で阻害されているのだが……? という怒りがふつふつと湧きます。私のSNSを見てる方は分かると思いますが、キレてます。怒っています。むしろみんなで怒りたい。こんなふざけた状況を変えるために怒らないといけない。その怒りについて、怒りはそのままでOKで、その怒りを何かに差し替えようとしてくる人はちょっとひとまずそのへんに置いときましょう。

いきなり怒りを表明するには抵抗があるかもしれないけど、自分のなかの弱さを誰かにこぼしたい気持ちと同様に、自分のなかの怒りを誰かに聞いてもらうこともとても重要だと思います。

なんとなく同じ方向を向いていると感じる人にこっそりと伝えるのでもいいし、逆に自分の怒りと似ている誰かの言葉を見つけて賛同するのでもいいと思います。誰かの賛同を必要としている人もいる。声をあげた人をひとりにしない。そうして同士を見つけていくのも、話せる言葉を増やすのに有効な手段です。そしてひとりじゃないと思えた時、とても心強いし、言ってよかった、伝えてよかったと思えることの方が大きい気がします。そうして自分のなかに生まれた気持ちや意見を自分で肯定していくのも大切だと思います。

おかしいと思うことがあって、それについて声をあげ怒りを表明することは、奪われそうになっていた権利を取り戻したり獲得することに直接繋がります。もともと政治は個人の生活の延長線上にあって、決められたことにただ従うのではなくて、こちらから手繰り寄せて動かして変えていくことができるもののはずです。

SNS、特にTwitterは瞬発的で切実な怒りの声がいくつも流れてきます。それを通して政府の対応や動きを把握することもあるし、わたしたちにとってはとても大切だけど政府はないがしろにしているものの現場の声や、普段の生活からはなかなか見えづらいところにいる人の声が表面化することもあります。自分のことのように思える共感はもちろん、批判も対立も冷笑もないまぜで一気に情報を得ると疲れてしまいますが、少しでも自分に関係があると思う言葉をリツイートしたり、いいねしたり、ニュースのURLを保存したり、その時の自分の気持ちを一言でも残しておくなどして、誰かに対して公開しているということはひとまず置いておいて、自分だけのタイムラインとして整理しておくと、再び事態が急変した時に冷静に振り返ることができるし、これからを考える時のひとつの指針になるのではないかと思います。

Instagramでも首相官邸首相のアカウントがありますが、その首相アカウントのコメント欄は全員ブチ切れててすごいということで先日初めて見たのですが、本当に全員凄まじくキレキレにキレていいて、そうだよね、これくらい怒っていいよね……と元気出ました。

そんな激流のタイムラインに自分の声を投げ入れてもすぐに流れてしまうだけと感じることもありますが、その声をそのまま政府に送ってもいいのです。むしろ直接伝えないと伝わらないので積極的に伝えましょう。首相官邸ホームページのご意見募集ページは、首相官邸に対するご意見・ご感想を2,000字以内で誰でも自由に送ることができます。

・首相官邸ホームページのご意見募集(首相官邸に対するご意見・ご感想)ページ

個人情報は無回答で送れるので、つぶやきをそのままとか一言でも躊躇も遠慮もなくお気軽にどうぞ。SNSだけで声を発散していちばん伝えるべき相手に伝わらないのも勿体無いと思い、政府の対応がおかしいと思う度に何度も送っています。きちんと全部は読まれていないかもしれませんが、黙っていると認めたものとして向こうの都合のいいように解釈されてしまう。たくさんの人が声をあげてそれを圧倒的な数として示すことができれば、政府も聞き入れるしかなくなります。

実際に給付金については、政府は2月末の時点で現金給付ではなく貸付を補償案として提示してましたが、たくさんの人が声をあげたことによって、4月27日時点で住民基本台帳に登録されているすべての人が受け取れる10万円一律給付に切り替わったり、少しずつ条件が変わってきています。声を上げることに意味がないわけないという証明。

それと、声を上げた人に賛同や支援するかたちとして、署名という方法もあります。正直今まで署名の効果が想像しづらい部分が個人的にあったのですが、同じ方向を向いている人と集まりづらい今、問題に対して賛同する人の人数を可視化してそれを提示するのは、現状ではとても重要だと思います。

・change.org

ライブハウス・ナイトクラブ・劇場などの文化施設の助成を求める署名運動から始まった「Save Our Space」は、30万筆を超える署名を集めて政府与野党協議会に出席する各議員に提出し、実際に政府の補償の条件を変えてきました。更に、生活に必要な全ての場への支援、すべての人の命と仕事を守るために新たな署名運動「Save Our Life」も始まっています。

・Save Our Space

PROFILE

惣田紗希
惣田紗希

グラフィックデザイナー/イラストレーター。1986年栃木県生まれ。2008年桑沢デザイン研究所卒業。デザイン会社にてブックデザインに従事したのち、2010年よりフリーランス。インディーズ音楽関連のデザインや装丁を手掛けるほか、イラストレーターとして雑誌や書籍を中心に国内外で活動中。

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