惣田紗希が描く。ルールに縛られず、ほどいてのばしてその先へ

惣田紗希が描く。ルールに縛られず、ほどいてのばしてその先へ

投票のポスター、権利を主張するためのステッカーも手掛ける

2020年1・2月 特集:これからのルール
テキスト・イラスト:惣田紗希 編集:竹中万季
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どこか縛られるものという印象の強い「ルール」。縛られていると思っていたその紐を、自分の手で掴み、ほどいたり伸ばしたりできたなら、ルールへの向き合い方も変わっていきそうです。

1月特集「これからのルール」に、そんな希望を照らしてくれるようなカバーイラストを寄せて描いてくれたのは、グラフィックデザイナー・イラストレーターの惣田紗希さん。インディーズバンドのアートワークや書籍の装画・挿絵などを手掛けるほか、投票を呼びかけるポスターや、自分の性や身体は自分で決定できる権利があることを見失わないための「MY BODY MY RIGHTS」ステッカーを手掛けるなど、自らの意思でこれからのルールをつくっていくことを自身の活動のなかでも行っています。

気持ちよく伸びる線を眺めていると心にからみついていたものから自由になれるような今回のカバーイラストに込められた思いや、今存在しているルールについて思うことについて伺いました。

「~しちゃいけない」や「~すべき」ではなく、「~していい」だってルールになり得るのだから。

・特集「これからのルール」のテーマをどのように解釈しましたか?

「これから」を考える時、同時に「これまで」を考えます。
「これから」変えていきたいことは、「これまで」嫌だと思っていたこと、負担に感じていたこと、抜け出したいと思ったことだったりするのかもしれません。

「ルール」という言葉に対してなんとなく身体がこわばるのは、幼少期から親や先生に「こういうものだよ」と教えてこられたものだったり、誰が決めたのかわからないけれど、社会の常識として「こうしておいたほうがいい」という空気が伴うからかもしれません。もちろん犯罪などは別ですが、それを破って怒られたり非難されて疑問を感じたことがある人もいるかと思います。

ただ、ルールは他人に決められて従うだけでなく、自分でつくってもいいものです。自分でつくるルールは、ストイックに自分を律するものや、「これだけ頑張ったらこれをやっていい」とか、これからの自分をよくしていくためのポジティブなものが多い気がします。

どのみち厳しく決めすぎたり、絶対に守らないといけないと思い込みすぎると、気づかないうちに自分を縛ってしまうものになるかもしれません。

自分で考えて頭に浮かぶ「ルール」というものがどう決められたものなのか、社会に合わせて守っていただけなのではないか、誰が決めたのかも分からないのにそうしなくちゃいけないと決め込んで、ルールを破る人に厳しい目を向けていないか。そういう「これまで」をまずは疑ってみて、もっと柔軟に「これからのルール」を考えていけたら、誰かの生きづらさがほんの少し軽くなることもあるかもしれないと思いました。「~しちゃいけない」や「~すべき」ではなく、「~していい」だってルールになり得るのだから。

自分にまとわりついているルールがどういう成り立ちなのか知って、向き合って、絡まりをほどいて、のばして、その先を考えていく。

・作品をつくるときに込めた思い。

自分を縛っているものになっているかもしれない「ルール」を可視化させたくて、それを線で表現しました。自分にまとわりついているルール、それがどういう成り立ちなのか知って、向き合って、絡まりをほどいて、のばして、その先を考えていく。そういった流れを、柔らかさや、絡まりがほどけていく気持ちよさが最後まで続くように描きました。

従わないといけない・守らないといけないものというイメージにはしたくなかった。

・作品をつくるときにやらないようにしようと思ったこと。

「ルール」をビジュアル化する時、従わないといけない・守らないといけないものというイメージにはしたくなかったので、みんな同じ方向を向いているとか、整列しているとか、そういう風にはせず、複雑ではあるけれど、柔らかく伸びやかな雰囲気を目指しました。線も固い感じにならないように、透明水彩で着彩しています。

揺れや流れが心地よく見えるように線の行方を追いながら描いている。

・つくっていておもしろかったところ、こだわりポイント。

普段から描いているドローイングでは風や自然を意識することが多く、それで生じる揺れや流れが心地よく見えるように線の行方を追いながら描いているのですが、今回も、ルールを表現した線の絡まりが見ている人のストレスにならないように、線の流れに気をつけました。

これまでのルールに違和感を感じて、「自分はこうしたい!」と気づけたら、そこから自分の声を取り戻すことができる。

・今存在しているルールについて思うこと。

社会のなかでの女性の立場を考えると、抑圧的なルールが多いなと感じます。それに対して声を上げる女性はここ数年で日本でもとても増えました。これまでのルールは誰かにとって都合のいいように決められた面もあり、非難されることが怖くて守っていたけれど、必ずしも従わなくていいのかと思えることもたくさんあります。私は本を読んで、従わないといけないと思い込んでいたルールがするするとほどけていく感覚になることが多いです。

それでも、そこからはみ出るな! と抑圧してくる人もまだまだたくさんいて、そういう言葉を見聞きするととても気が滅入るし、決めつけすぎると、自分だけでなく他人も縛り付けることになってしまうんだなと気付かされます。

これまでのルールに違和感を感じて、自分はこうしたい! と気づけたら、そこから自分の声を取り戻すことができるのではないかと思います。

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のんびり仕事納め。今年前半は記憶がぼんやりしてるけど6月に韓国に行ったのがいちばん印象深い。 ホンデにある戦争と女性の人権博物館に行って初めて慰安婦問題に向き合って、加害の歴史に立っているのを知らなかったことに恥ずかしさや戸惑いを感じたけど、外側からの視点を知れてよかったしこれから考えていきたいなと思っていたところであいちトリエンナーレの一件があり、国内で女性の性被害が隠されてしまう根深さに驚く。それから日韓関係が悪化してしまったことで連帯ポスター展に繋がったり。全国の巡回ありがとうございました。 社会のなかでの女性の立場や権利を思うと暗くて重たいもやもやに覆われるけど、伊藤詩織さん勝訴で少しだけ社会に対してほっとした。自分やまわりを守るために知っておきたいことがたくさんある。 そんなわけで女性の権利と韓国のことは今年の自分のなかでずっと地続きで、自分が作るものや態度に直接影響があった気がします。誰かと話せるはずの言葉を増やしていきたい。あとTWICEがほんとに最高で心の支えになった… 厄年三連発終わるし来年も気負わずおごらず見晴らしよくやっていきますー。誰もが豊かで生きやすい社会になりますように。よいお年を。

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惣田紗希さんによる「MY BODY MY RIGHTSステッカー」

自分のスタイルを貫き歌い踊る友人、自然のなかで自然にふるまう友人、お互いの国に配慮してでも変えられるよと言ってくれる友人。

・あなたにとって大切なShe は誰ですか?

共に過ごし言葉を交わした時間を確かなものとして、節々で大切だと思うのは韓国の友人たちです。
自分のスタイルを貫き歌い踊る友人、自然のなかで自然にふるまう友人、お互いの国に配慮してでも変えられるよと言ってくれる友人。彼女たちとは国や言語が違うからこそ素直に向き合わないときちんと分かり合えなくて、だからこそ自分も、社会の雰囲気に流されず、彼女たちを信じて大切にしたいです。

PROFILE

惣田紗希
惣田紗希

グラフィックデザイナー/イラストレーター。1986年栃木県生まれ。2008年桑沢デザイン研究所卒業。デザイン会社にてブックデザインに従事したのち、2010年よりフリーランス。インディーズ音楽関連のデザインや装丁を手掛けるほか、イラストレーターとして雑誌や書籍を中心に国内外で活動中。

INFORMATION

書籍情報
書籍情報
『山風にのって歌がきこえる 大槻三好と松枝のこと』

著者:惣田紗希
2019年10月発売
価格:1,870円(税込)
発行:タバブックス
Amazon

イベント情報
イベント情報
惣田紗希×管啓次郎 「歩いて辿る 短歌と詩」 『山風にのって歌がきこえる 大槻三好と松枝のこと』(タバブックス)刊行記念

2020年2月2日(日)19:00~21:00 (18:30開場)
会場:東京都 本屋B&B
出演:惣田紗希、管啓次郎

惣田紗希×管啓次郎「歩いて辿る 短歌と詩」『山風にのって歌がきこえる 大槻三好と松枝のこと』(タバブックス)刊行記念 | 本屋 B&B

『山風にのって歌がきこえる』刊行記念トーク&原画展

2020年2月2日(土)17:00〜19:00(16:20開場)
会場:群馬県 REBEL BOOKS
出演:惣田紗希

2/22(土)『山風にのって歌がきこえる』刊行記念トーク&原画展 − REBEL BOOKS

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