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今見たい、女性たちの確かな連帯を描いたあの懐かしのドラマ3作品

今見たい、女性たちの確かな連帯を描いたあの懐かしのドラマ3作品

恋愛も仕事もしてもしなくてもいい。多彩な登場人物

テキスト:後藤美波 メインビジュアル:あないすみーやそこ
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刑務所に入った女性たちが、復讐のために連帯。その「わちゃわちゃ」っぷりに惹きつけられる/『監獄のお姫さま』

2017年に放送された宮藤官九郎さん脚本のオリジナル作品『監獄のお姫さま』。こちらも『すいか』と同様に、偶然ひとつの場所に集った様々な立場の女性たちをメインキャラクターに据えた物語ですが、本作ではある男性への復讐という明確な目的のもとに連帯する様が描かれます。

元銀行員で浮気した夫を発作的に刺してしまった「馬場カヨ」(小泉今日子)、脱税や資産隠しなどで実刑判決を受けるカリスマ経済アナリストの「財テク」(菅野美穂)、横領や詐欺に手を染めた「女優」(坂井真紀)、夫の罪を被って出頭する元暴力団組長夫人の「姉御」(森下愛子)、婚約者の恋人を殺した容疑で逮捕される「姫」(夏帆)、そして刑務官の「先生」(満島ひかり)。刑務所で出会った彼女たちは「姫」の冤罪を晴らすため、姫に罪を着せた婚約者・ 板橋吾郎(伊勢谷友介)への復讐を計画する。出所後に計画を実行に移して吾郎を監禁する現在と、刑務所の同室で過ごした過去のエピソードが交錯し、徐々に事件の輪郭が見えてくるという構成で、宮藤脚本ならではのテンポ感によって復讐物語がコミカルに進行していきます。

本作の大きな見どころのひとつは、放送時にキャストや宮藤官九郎もアピールしていた登場人物たちの「わちゃわちゃ」っぷりの面白さではないでしょうか。計画を実行する女性たちは個性的で人情味溢れる面々ばかり。話が脇道に逸れたり、シリアスな場面でツッコミを入れたり、納得できないことには黙っていられない。まとまりがなく一見頼りなげな彼女たちが、姫とその息子への愛情、吾郎への怒りから結束し、吾郎に立ち向かう。本作では、元囚人たちの回想シーンに登場する男性たちがしばしば吾郎の姿で画面に映し出されたり、吾郎がそうした男性の気持ちを代弁したりすることから、吾郎は彼女たちが人生で出会った男性たちや社会の象徴でもあり、彼女たちは姫のためだけでなく、自分のためにも吾郎と戦っているのだと想像させられます。生き生きとした女性たちのパワフルな姿だけでなく、吾郎のような人間には相応の結果が訪れてしかるべきなんだと示してくれる結末にも力をもらえます。HuluAmazon Prime Videoほかで配信中。

何度も映像化された名探偵が、女性キャストで現代に蘇る。シャーロックとワトソンの素直じゃない「友情」から目が離せない/『ミス・シャーロック』

HuluとHBOアジアが初タッグを組んで制作された『ミス・シャーロック』は、2018年に世界19か国で配信されました。先日に地上波で初放送され、初めて見たという人も多いのではないでしょうか。全世界の映画やドラマ史上、最も多く映像化されているキャラクターとも言われるシャーロック・ホームズと相棒のジョン・ワトソン。イギリスBBCが製作したベネディクト・カンバーバッチ、マーティン・フリーマン共演の『SHERLOCK』は日本でも人気のシリーズですが、本作はシャーロックとワトソンをどちらも女性キャラクターとして新解釈した描いたミステリーシリーズです。

舞台は現代の東京、捜査コンサルタントのシャーロック(竹内結子)と、ボランティア医師団として赴任した海外から帰国した外科医の橘和都(貫地谷しほり)、通称「和都(わと)さん」が共同生活を始めることになり、凸凹なタッグで様々な事件を解決に導いていく、というあらすじ。

シャーロックの兄マイクロフトやレストレード警部、モリアーティ、ハドソン夫人にあたるキャラクターも登場し、原作ファンや『SHERLOCK』ファンも楽しめる要素も散りばめられている本作。『すいか』や『監獄のお姫さま』のように複数の女性をメインに据えた群像劇ではなく、謎解きを軸としたミステリーではあるものの、頭が切れて偏屈者なシャーロックと素直で人当たりの良い和都の一筋縄ではいかない信頼関係が物語を支えています。「友達じゃない」と突っぱね合いながらも、共に自立した女性である2人が、気づいたら互いがなくてはならない存在になっている。主演の竹内さんは「明るいひとでなしと、情に絆されやすい二人は互いを補い合いながら二人で一人のような関係なのかもしれません」と放送時にコメントしていました。

本作はまた、「バディもの」といえば男性同士だという価値観はもう古いのだという当たり前のことも提示しています。2016年のリブート版『ゴーストバスターズ』や『オーシャンズ8』など、ハリウッドでは近年相次いで人気映画の女性キャスト版が製作されました。探偵ものの名作を女性キャストで新解釈した『ミス・シャーロック』のような作品が、アジアから全世界に配信されていることにも意義を感じます。ハイブランドのファッションを颯爽と着こなし、チョコを貪って推理する日本人女性版シャーロック・ホームズは新鮮かつスタイリッシュで、とても魅力的なキャラクターです。ドラマの最終話、和都がシャーロックに銃口を向けるラストとその後の展開はシーズン2を期待せずにはいられません。Huluで独占配信中。

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