「セルフプレジャー」にとって大切な4つのこと。してもしなくてもいい、一番大切なのは自分の気持ち。
晴菜:fermataではセルフプレジャーについて考えるときに、次の4つのことを大切にしています。まず一つ目は、存在しない正解から自分を解放すること。セックスでも「セルフプレジャー」でも、「オーガズムとはこうあるべき」という、ありもしない正解を自分にも相手にも押し付けてしまうことって多いと思うんですよね。それよりも、まずは自分に何が合うのかというところに焦点を当て、自分のスイッチのオンオフを模索していきましょう。
次に、自分にとって何が気持ちいいのかを理解すること。誰にオーガズムを捧げるかというと、まずは自分に、と考えてほしいんです。「セルフプレジャー」の際に、グッズやビデオなどを楽しむ方もいらっしゃると思いますが、使っているものが自分の価値観と相反するものだと、そこで罪悪感が生まれたり、ちょっと後ろめたい気持ちになったりしますよね。自分の価値と合うもの、自分のライフスタイルと一貫しているものを使っていただくと、体も心も気持ちいい「セルフプレジャー」になるのかなと思います。
そして、自分なりの「気持ちいい」の地図を描くこと。自分の体のどこが気持ちいいのか、どこはそうでもないのか、自分でもわかっていないことってあると思うんです。それをまず自分が探検する。そうすると、相手にも伝えやすくなりますし、性生活の満足度にも繋がってくると思います。
最後に、「セルフプレジャー」もセックスも、してもしなくてもいいということです。性的な行為をしなくても満足ならそれで全く問題ないですし、自分の「したい」「したくない」という気持ちを一番尊重することが大切だと思います。
Q.性の話をする相手がいない。
A.ハードルを下げて、少しずつ。
晴菜:ここからは、参加者の方からの質問にお答えできたらと思います。
参加者:身近に性の話ができる相手がいません。皆さんはどうしていますか?
李亜:私はアメリカの女子大を出ているのですが、女子大に行くまでこういう話をする相手はいませんでした。でも、学校に今まで絶対に口に出しちゃいけないと思っていたことをワーっと話す人がいて。そこで初めてセックスの話をこんなに楽しく、嫌なこともすごく気楽に話せる仲間がいるって大事なんだなぁと思ったんです。だから、こういう会で話せる相手を探したり、身の回りにいなくてもバーチャルの世界で繋がって話せる相手を見つけるのはすごくいいと思います。
晴菜:fermataメンバーではバリバリ話しますね。fermataのオンラインストアで、同じバイブを買ったりするメンバーもいます。She isさんはどうですか?
野村(She is):万季ちゃんとは話しますね。現時点では私は誰とでも性について話をするわけではなくて、同時に誰とでも話したいのか? ということに関しては、考えている途中です。その場で盛り上がる「ネタ」として、自分の経験を面白おかしく話すことはしたくないかなと思ってます。
竹中(She is):性に関する女性の体や、セックスのこと、グッズのような具体的なことについて話す機会ってなかなかないんですよね。これって人生において重要な話題のはずなのに。ネットで検索してみることもあるけれど、誰かと対話できないと具体的な解決には至らないこともあるので、安心して話せる場所が必要なんじゃないかと思います。
李亜:いきなり「パートナーとセックスしても全然オーガズムを感じないんだよね」みたいなプライベートな話から始めるってすごくレベルが高いですよね。そういうときは、例えば今日ご紹介した図や記事を「これ見たことある?」って会話の糸口にしてもらうのもいいと思う。コミュニケーションは練習を重ねていくことだと思うので、小さいことから話を始めて、実はこういう話なんだよねと持っていくのも話を深めるコツだと思います。
晴菜:私も自分のことを話すときに、最初はすごく躊躇していて。勝手に人のエピソードに仕立て上げて話していました。自分のことなのに「友達に相談されたんだけどね」って(笑)。
李亜:それもいいじゃないですか。口に出すだけでも結構ハードルが高いことだから、少しずつ慣れていくのが大事だよね。
晴菜:セックストイについてもそうだと思います。私はパートナーと一緒にバイブレーターを使いたいけれど、言い出せなかったんですよね。相手に僕じゃ満足していないんじゃないかと思ってほしくないし、「(セックストイという)第三者がベッドルームに現れた!」みたいなふうにも思ってほしくなかったから。
晴菜:どういうふうに言おうか考えて、見つけたのがチョコスプレー理論。今日私が持っているバイブレーターはアイスクリームの上にかけるトッピングのチョコスプレーみたいなもので、あるとちょっと華やかになって心が踊るよ、と。あなたは主役のアイスクリームだから、何かに取り代わることはないし、そもそもチョコスプレーは、あってもなくてもいいものなんだけれど、今日はちょっとチョコスプレーをかけてみない? と言って、それから取り入れられるようになりました(笑)。