お灸、ぬいぐるみ、石探し。7人それぞれの「わたしだけの癒やし方」

お灸、ぬいぐるみ、石探し。7人それぞれの「わたしだけの癒やし方」

植本一子、櫻子、後閑麻里奈、砂糖シヲリ、つめをぬるひと、村田倫子、吉野舞

2020年7・8月 特集:癒やしながら
編集:竹中万季
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後閑麻里奈:自然に触れる、自分だけの小さな儀式を行う、動物と過ごす

癒やすことはあるものを元どおりに戻すことだと思う。
壊れかけた心、疲れ果てた身体、離れかけた心と身体を繋ぎ和らげていくように。

遠くの世界の輝くビーチや異国間漂う熱帯雨林には行けなくても、リビングに一輪の花を添えたり、窓から見える木を眺めたり、近所の散歩の中に、小さな奇跡は潜んでいて、そこから癒やしへの扉は続いている。

自然はいつのときも、わたしにとって必要不可欠な癒やしの源だ。
家の中に新しく迎えたアレカヤシ、
小さなベランダでゆっくり育つホワイトセージ、
春から始めた畑には、何種類も野菜やハーブが共存している。
植物の恵みとその力には、幾つ年を重ねても与えてもらってばかりいる。

土を触り、砂浜を歩くだけで身体と心の淀みが流れていく。
昔ある人に、「泣くときは木の近くや海で泣きなさい、そうしたら大地や海へと還ってゆくから」と言われ、それから私は涙や心が溢れてしまいそうなとき時、自然の中へと駆けてゆく。

大きな手をいつも差し伸べ、包み込んでくれるあの安心感。
混乱した世界の中で、誰にも見えない未来の中で、唯一絶対的な存在のように感じるくらい、大きくてあたたかい。

自分だけの小さな儀式やお守りも役に立つ。
瞑想・満月の日の月光浴・貝殻の祭壇・ハーブ。
自分だけの祭壇を作ったら、ロウソクに火を灯し、お気に入りの音楽をかけて、瞑想をする。心臓と子宮の間の流れを感じながら、今この瞬間に意識を集めていく。神や宇宙と繋がるなんて、大げさなことは好きじゃない。ただ、リラックスして心地よさに身を委ねるだけでいい。いくつかハーブが手元にあれば、心と身体の乱れや不調(例えば冷え・PMS・頭痛・不眠・ストレスなど)への不安が和らぐし、気分に合わせて好きな香りでマッサージをしたり、スチームやお風呂に入れれば、あっという間に自分だけの至福の空間ができあがる。

誰にも会いたくなくて話したくないときもある。そんなときは動物たちの出番だ。わたしは近くにあるロバ牧場に通ってお世話をしながら、ヒトには言えないことをたくさん話した。今はひとりぼっちだった小さな黒猫と暮らしている。動物と一緒に暮らせなくても、動物がいる場所に行って、時間を過ごすだけでいい。動物たちはヒトとのコミュニケーションでは生み出せないモノをくれる。手を触れたら命のあたたかさを、耳を近づければ心臓の鼓動を聴かせてくれる。この世界は、想像以上に何層もの鼓動が重なっている、と気づいた瞬間、目の前の景色が一変する。ただ眺めているだけではなく、その場所に存在していると実感したとき、生きていることに気づけるように。

癒やしは循環している。
大地や植物から受け取った分だけ、返していきたい。
毎月やってくる、あの憂鬱な月経で流れる血も何処かからやってきては還ってゆく。自分の体の中で毎月起こっている生と死のサイクルは、自然界そのものだ。外界が汚染されれば私たちの身体も汚染されるだろう。内側と外側は表裏一体だから、自分への癒やしは、大地の癒やしにも繋がっているんだと思う。

さあ、めくるめく思考を休ませて、ただその瞬間を味わおう。
それが癒やしへの扉の鍵だ。
扉を開けたら、たとえ異次元にトリップしなくても、足元に転がっているたくさんの奇跡が残した欠片を拾い集めれば、自分だけの癒やしへと導かれていくだろう。

PROFILE

植本一子
植本一子

1984年、広島県生まれ。2003年、キヤノン写真新世紀で荒木経惟氏より優秀賞を受賞し写真家としてのキャリアをスタートさせる。広告、雑誌、CDジャケット、PV等幅広く活動中。13年より下北沢に自然光を使った写真館「天然スタジオ」を立ち上げ、一般家庭の記念撮影をライフワークとしている。著書に『働けECD わたしの育児混沌記』『かなわない』『家族最後の日』、共著に『ホームシック 生活(2〜3人分)』(ECDとの共著)がある。

櫻子
櫻子

ekot spectrum works / 檸檬はソワレ ディレクター
1992/05/07 東京都出身
幼少時から東京、深圳、香港での生活を経て、貿易関連の業務に従事しながら、2015年からワックスサシェ・キャンドルの制作をはじめ『檸檬はソワレ』として活動をスタート。2018年3月より、檸檬ソワレを包括し、より裾野を広げた制作・提案を目的とした『ekot spectrum works (エコー・スペクトラム・ワークス)』を立ち上げ展開中。
東京、札幌、大阪など複数の店舗での取り扱いの他、イベント出展も多数。
最近ではMUSIC VIDEOへの作品提供や、手塚治虫生誕90周年アニバーサリーコラボレーション等、活動の幅を広げている。

後閑麻里奈
後閑麻里奈

尾道在住。広島空港内にある、ヴィーガンミルクチョコレートファクトリー「foo CHOCOLATERS」工場長。女性・クィア・トランス・ノンバイナリーに向けたプロジェクト「GRRRDEN」を始動。不定期でzineの発行やDJイベントを開催している。アンダーウェア・プロジェクト「Kiss Your Grrrden」やzineなどの個人制作物を主に扱うミニショップ兼インフォスペース「Virgo Stingray」もマイペースに活動中。

チーム未完成
チーム未完成

しをりん、ゆりしー、ぴっかぱいせん、ゲッツ!の落ち着いた大人の女性4名によるクリエイターごっこ集団。各々が、写真、デザイン、似顔絵、文章、音楽制作、DJ、ガヤなどの一発芸を持ち、2014年夏に渋谷センター街に彗星の如く出現した気でいます。パンと書かれたステッカー、パンのZINE、パンのグッズ、パンの楽曲等を次々と発表し、主にアートイベントの賑やかしとして活躍しています。最近は海外のアートブックフェアに乗り込んだり、CHAIやDJみそしるとMCごはんのMV制作もやらせてもらって恐縮です。

つめをぬるひと
つめをぬるひと

爪作家。CDジャケットやイベントフライヤーのデザインを爪に描きそのイベントに出没する「出没記録」、「身につけるためであり 身につけるためでない 気張らない爪」というコンセプトで爪にも部屋にも飾れるつけ爪の制作、爪を「体の部位で唯一、手軽に描写・書き換えの出来る表現媒体」と定義し、 身体性のあるファンアートとして、DOMMUNEの配信内容を描く「今日のDOMMUME爪」。これら活動を並行しながら年に数回、人に爪を塗る「塗る企画」を TONOFON FESTIVAL2017等の音楽フェスやその他イベントにて実施。

村田倫子
村田倫子

1992年10月23日生まれ、千葉県出身のモデル。ファッション雑誌をはじめ、テレビ・ラジオ・広告・大型ファッションイベントへの出演など幅広く活動している。自身初のスタイルブック「りんこーで」は発売から1週間で緊急増刷となり、各種SNSのフォロワー数も急上昇中。趣味であるカレー屋巡りのWEB連載企画「カレーときどき村田倫子」では自らコラムの執筆も行ない、ファッションだけにとどまらず、そのライフスタイルでも注目を集めている。

吉野舞
吉野舞

1995年生まれ。淡路島生まれ、育ち。
写真を撮ったり、文章を書いたりしています。
座右の銘は「人生の大体の出来事は、自分のせいで人のおかげ」。
今、東京。

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