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緑溢れる公園で癒やしを得よう。She is的公園ガイド8選

緑溢れる公園で癒やしを得よう。She is的公園ガイド8選

Girlfriendsが薦める台湾、大阪、名古屋、東京、神奈川の公園

編集:竹中万季
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葛西臨海公園(東京都江戸川区):国内最大級のペンギン展示施設、鳥類園ゾーン、BBQエリア、カニ釣り。一日中寛ぐことができる閑静な楽園

櫻子

私は東京に住んでいる。
そして窮屈になるとすぐさま海へ向かう。
とはいっても、私が向かうのはビーチではなくて
海浜公園や臨海公園……私は海に面している公園が好きだ。
河川とは違う、湿った潮のにおい、そこに混じる青々と茂った草木のにおい。
すうっと伸びていく水平線。ただただ寄せては返すさざなみはいつまでも眺めていられる。

都心にいても車を少し走らせると、案外すぐに海浜公園にありつける。
しかし、徒歩で向かうには、その多くが駅から更にバス移動が必要だったりと、少し距離があるのが難点だ。
今回はそのなかでも、駅から徒歩1分、サクッと足を運べる「葛西臨海公園」を紹介しよう。

東京駅から、ディズニーリゾート方向へ伸びていく京葉線。
舞浜に存在する日本一有名な夢の国へ向かうその路線の乗車経験があったとしても、
おそらくほとんどの乗客の意識からこぼれ落ちていると思うが、「葛西臨海公園駅」はそのひとつ手前の駅に位置している。
そう、クラブイベントageHaやライブでお馴染みのSTUDIO COASTを構えている新木場と、舞浜に挟まれている駅なのだ。
(ちなみに新木場からバスで移動すると若洲海浜公園があり、ここは都内有数の海釣りスポットでもある)。

さて、新木場や舞浜には足を踏み込んだことがあったり、仮にその名を耳にしたことはあったとしても、
長らく都民として馴染み深い訳でもない限り、
実際に葛西臨海公園に降り立ったことがある人はどれだけいるのだろうか。
都会の喧騒から一時離脱して、ぎゅうっとパワーチャージしたいときに
ここはおひとりさま、友達や恋人、ファミリー連れでもおすすめできるオアシスだ。

敷地面積が80万平米以上と、都心で最大級の広さを誇る「葛西臨海公園」。
ひとつひとつ語るのが難しいほど、豊富な見どころを軽く紹介しておこう。
まず一番有名なのはマグロの大水槽でも知られる「葛西臨海水族園」をはじめとした水族園ゾーンだろう。
都管轄ということもあり、手頃な入園料だがその見応えは侮ることなかれ。国内最大級のペンギン展示施設だってここに存在している。
根強いファンをたくさん抱えている点も、この水族園の魅力を証明していると言えるだろう。

その次に知られているのが「鳥類園ゾーン」。都内では唯一ラムサール条約登録地に該当している葛西臨海公園は、水鳥も含めて春夏秋冬、一年を通じて百数十種の探鳥を楽しめる。至るところから聞こえてくる、多様な鳥たちのさえずりに心が躍る。なかには絶滅危惧種の野鳥もこの公園を訪ねていたりと、鳥類園に限らず園全体に様々な鳥を目にすることが出来るので双眼鏡を持参していくことをおすすめしたい。東京駅から約15分の距離で、こんなに豊かな自然に触れられる場所は類を見ないだろう。

国内で2番目に大きな観覧車を有する芝生エリアには宿泊施設が存在し、その他にも東京湾を望む展望施設、BBQエリア、人工渚など、一日中公園で寛ぐことができる。

先日、そのすべてをスルーして、別の目的を抱いて私は葛西臨海公園に向かった。

「カニ釣りが、したい……」

カニ釣り。葛西臨海公園では数十種類のカニがいるそうで、護岸や渚の近くで楽しむことができる。
専用の道具は必要なく、さきいかを結んだタコ糸を割り箸の先に括り付け、岩場の隙間に垂らしていると、
獲物を嗅ぎつけたカニたちが姿を現し、ちいさなハサミでさきいかを掴みながら懸命に口へ運ぼうとする。
そんなカニをすうっと引き揚げて、小さなバケツに移動させる。
事態が把握できず、しばし呆然とするカニ。しばらくすると状況を把握し、両手のはさみを突き上げ威嚇する。
その姿の愛おしさたるや。じっくり観察してみると、カニはとっても表情豊かだ。
同行してくれた友人と会話を楽しみつつ、それぞれ夢中になりながらカニを釣り上げる。

ときどき休憩を挟み、東京湾を眺めていると、海の向こうでぽちゃん、ぽちゃんと魚が跳ねている。
これはトビウオならぬ、ボラだ。台湾珍味でよく土産物として売られているカラスミは、ボラの卵巣が原材料だったりする。
波の音と水鳥のさえずりを聞きながら、そんなウンチクを思い出したり、様々な出来事についてあれこれと思いを巡らす時間は、静かで健やかで、私のお気に入りの時間だ。あっという間に辺りは暗くなり、東の方向へ目をやると、向こう岸の先から夢の国の光がきらめいている。
釣り上げたカニたちにお礼とお別れを告げ岩場へ返し、ゆっくり散策しながら帰路についた。

煌びやかな夢の国も好きだし、この閑静な楽園も好きだ。
せわしない東京にも、目を配ると、いろんな“休息所”がある。
この大きな大きな公園の楽しみかたはきっと人それぞれ。貴方ならではのとびきりの楽しみかたを見つけて欲しい。

PROFILE

燈里
燈里

1992年茨城県生まれ。台北在住。千葉とフィンランドで教育学専攻・現代芸術理論副専攻を経て、現在は台北教育大学国際修士現代芸術課程に在籍。2012年から忘れる記憶の記録のためにスケジュール帳を作る。

櫻子
櫻子

ekot spectrum works / 檸檬はソワレ ディレクター
1992/05/07 東京都出身
幼少時から東京、深圳、香港での生活を経て、貿易関連の業務に従事しながら、2015年からワックスサシェ・キャンドルの制作をはじめ『檸檬はソワレ』として活動をスタート。2018年3月より、檸檬ソワレを包括し、より裾野を広げた制作・提案を目的とした『ekot spectrum works (エコー・スペクトラム・ワークス)』を立ち上げ展開中。
東京、札幌、大阪など複数の店舗での取り扱いの他、イベント出展も多数。
最近ではMUSIC VIDEOへの作品提供や、手塚治虫生誕90周年アニバーサリーコラボレーション等、活動の幅を広げている。

丘田ミイ子
丘田ミイ子

文筆業9年目、2児の母。滋賀県にて、四人姉妹の三女として程よく奔放に育つ。大学は、日本語日本文学科の太宰治ゼミに所属。その後上京、ライターの道へ。キャリアスタートは『Zipper』。その他雑誌・WEB・広告のライターを経て、2018年よりペンネームを一新し、演劇と生活を綴る日々へ。ライフワークとして、詩を使った展示『色彩—ichijitsu』(2012)、『たびのこどもpresents「こゝろは、家なき子」』(2015)などを不定期開催。次回は2020年3月頃予定。言葉を紡ぎ、隙あらば演劇を浴び、役者の夫と2人の子どもと生きています。目下、人生のスローガンは、“家庭と演劇の両立”。

カトートシ
カトートシ

大学職員 兼 映画エッセイスト

2018年よりカトートシとして活動を開始する。
大学時代は文学批評を専攻。
本屋や美術館のスタッフ、カナダでのライター経験を経た後、現在は大学で働く傍ら、「映画エッセイ」を執筆。映画から抽出したエッセンスを日常の枠組みで解釈し、言葉で再構築する。
カトートシという名前は、俳人である祖父に由来するもの。

チーム未完成
チーム未完成

しをりん、ゆりしー、ぴっかぱいせん、ゲッツ!の落ち着いた大人の女性4名によるクリエイターごっこ集団。各々が、写真、デザイン、似顔絵、文章、音楽制作、DJ、ガヤなどの一発芸を持ち、2014年夏に渋谷センター街に彗星の如く出現した気でいます。パンと書かれたステッカー、パンのZINE、パンのグッズ、パンの楽曲等を次々と発表し、主にアートイベントの賑やかしとして活躍しています。最近は海外のアートブックフェアに乗り込んだり、CHAIやDJみそしるとMCごはんのMV制作もやらせてもらって恐縮です。

寺尾紗穂
寺尾紗穂

音楽家。文筆家。1981年11月7日東京生まれ。2007年ピアノ弾き語りによるアルバム『御身』が各方面で話題になり、坂本龍一や大貫妙子らから賛辞が寄せられる。以降、アルバム『御身onmi』『風はびゅうびゅう』『愛の秘密』『残照』『青い夜のさよなら』『楕円の夢』『私の好きなわらべうた』『たよりないもののために』をリリース。並行して伊賀航、あだち麗三郎と結成したバンド「冬にわかれて」の始動、坂口恭平バンドにも参加。活動は、映画の主題歌提供、CM音楽制作(ドコモ、森永など多数)やナレーション、エッセイやルポなど多岐にわたる。新聞、ウェブなどで連載を持ち、朝日新聞書評委員も務める。著書に『評伝 川島芳子』『愛し、日々』『原発労働者』『南洋と私』『あのころのパラオをさがして 日本統治下の南洋を生きた人々』、編著書に『音楽のまわり』がある。

麦島汐美
麦島汐美

1995年東京生まれ。
ミスiD2018文芸賞受賞。写真、映像、文章の制作と、インターネットや雑誌などで発表を行う。ステージで歌って踊るあの子も、50年前にひとりの部屋で小説を書いていたあなたも、いま隣で餃子を頬張っているこの子も私のアイドルなら、いつか私も誰かの小さい光になれたらと目論んでいる。現在はテレビの制作会社勤務。
https://shiomimugishima.com/

吉野舞
吉野舞

1995年生まれ。淡路島生まれ、育ち。
写真を撮ったり、文章を書いたりしています。
座右の銘は「人生の大体の出来事は、自分のせいで人のおかげ」。
今、東京。

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