緑溢れる公園で癒やしを得よう。She is的公園ガイド8選

緑溢れる公園で癒やしを得よう。She is的公園ガイド8選

Girlfriendsが薦める台湾、大阪、名古屋、東京、神奈川の公園

編集:竹中万季
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白川公園(愛知県名古屋市):日常に馴染みすぎて地元民にも意外と知られていないけれど、アートのかけらが散りばめられた公園

カトートシ

楽しみにしていた美術展はすべて中止になった。
美術館は軒並み閉館。去年の暮れに買った『日経おとなのOFF』美術展特集の付録の2020年度美術展カレンダーにつけたたくさんの◯が虚しい。

そんな中、過去の美術展のパンフレットの束を整理していたら、前に名古屋市美術館でもらった白川公園の屋外作品マップが出てきた。

名古屋・伏見にある白川公園。
公園の敷地内には伏見の街のシンボルともいえる名古屋市科学館や、『エコール・ド・パリ』『メキシコ・ルネサンス』等の作品を多く所有する名古屋市美術館がある。

名古屋市科学館・美術館といえば、どちらも名古屋市民であれば必ず訪れたことのあるお馴染みの場所。私ももちろん何度も行ったことがあって、思えば小学校の課外学習で訪れた人生初の美術館は名古屋市美術館だったし、中学生の時に好きな男の子と初デートで行ったのも名古屋市科学館のプラネタリウムだった(赤い実はじけるね)。

そんな名古屋っ子にはお馴染みの美術館や科学館がある白川公園。実はこの白川公園自体がとってもアートな空間らしく、公園のまわりをぐるりと囲む散歩道には屋外作品がいくつも配置されているとのこと。そしてそれらがあまりにも日常に馴染みすぎているために、地元民にも意外と知られていないということ。

「公園なんていつでも行けるし」と後回しにしていた。近すぎて見えていなかった。
7月の初め。何日も降り続いた雨がやんで、久しぶりに晴れ間があった。なんでもない空の青がとても貴重に思えて、マップ片手に白川公園へ繰り出す。

名古屋のど真ん中とは思えないほど緑が豊かに生茂る散歩道を進んでいくと、次々と飛び出してくる神出鬼没の彫刻たち。入口でまず出迎えてくれるのが、バリー・フラナガンのうさぎの彫像。

二本足で玉乗りするひょろりと細長いこのうさぎは、ここを通る度に視界には入っていたんだけれど、今回立ち止まってちゃんと見てみた。
するとギョッとした。うさぎが爪先立ちで乗っていたのは、単なる玉ではなく、玉を鷲掴みする鳥獣の足。
うさぎが玉乗りする可愛い像と思っていたものが、ちょっとした発見で得体の知れないアートに豹変する不思議な感覚。いきなりこれかよ。何気ない日常ってチーズのようにこんなにも簡単に裂けるのか。

ちなみにこの日は最高気温34度。でも緑があるだけでこんなにも体感温度が違うのね。爽やかな気持ちでコースを進んでいくと、ふと奇妙な視線を感じた。それは右からも左からも。気付けば全方位から向けられていて、ハッとなった。

奇妙な人間像が5つ、木々に紛れて佇立しているのがわかるだろうか。『名古屋のための5つの人体』。現代ドイツを代表する作家ホルスト・アンテスが、実際に白川公園を視察して制作したアート作品だ。

ルネ・マグリットの『白紙委任状』(馬に乗る婦人が木々の間を見え隠れする有名なやつ)の強烈な印象に引っ張られているのか、木と木の間をじっと見ていると向こう側の時空がぐにゃりと捻れる不思議な感覚に包まれる。別世界への入口はこんなにも身近にあるのだよと言わんばかりに不敵に微笑む人間像が、なあんか誰かに似てると思えば、そうだ、ちびまる子ちゃんの藤木くん! ホルスト・アンテスが視察に来た際、日本の国民的アニメからインスピレーションを受けたという逸話があるとかないとか(たぶんない)。

さらに進むと見えてくる、イギリスの現代彫刻作家アントニー・ゴームリーの作品、『接近Ⅴ』。

最初はどこでも寝転がっちゃう子どものような奔放さに笑えたけど、四肢を広げて地べたに這いつくばり、数センチ先をじっと見つめる姿を見ていたら、強い意志と孤独を感じてふむうと唸ってしまった。雨風が吹き荒ぶ日も人々が寝静まった深夜も、彼は一人ここに横たわっているのだと思うと、そのざらついた頭をそっと撫でずにはいられなかった。

というわけで、ここで取り上げた作品はほんの一部で、白川公園にはもっとたくさんのアートのかけらが散りばめられている。そのかけらは日常に隠れてしまうほど小さくて、世界がこんなことにならない限りきっと気付かないままだったと思う。もちろん旅行には行きたいよ。でもこれを機に、徒歩圏内にある自分の日常に目を向けてみる。少し意識を変えて目を凝らせば、見慣れた景色も新鮮さをもって立ち現れる。
そういえば昔、遠い宇宙が見える望遠鏡が欲しいとねだった私に、父がくれたのはおもちゃの顕微鏡だった。その時はふてくされていたけれど、今になってやっと父の言いたかったことがわかった気がする。

【おまけ】

白川公園から少し歩いたところにあるバインミー専門店「アオサンズ」の肉厚ベトナムハム&鶏レバーペースト。テイクアウトして公園で食べていたら、誰かが奏でる打楽器のリズムが聴こえてきて、顔を上げれば遠くで小学生があげる凧が空高くなびいていた。幸福度ビンゴが揃って勝ち抜け状態のピースフルな昼下がり。

PROFILE

燈里
燈里

1992年茨城県生まれ。台北在住。千葉とフィンランドで教育学専攻・現代芸術理論副専攻を経て、現在は台北教育大学国際修士現代芸術課程に在籍。2012年から忘れる記憶の記録のためにスケジュール帳を作る。

櫻子
櫻子

ekot spectrum works / 檸檬はソワレ ディレクター
1992/05/07 東京都出身
幼少時から東京、深圳、香港での生活を経て、貿易関連の業務に従事しながら、2015年からワックスサシェ・キャンドルの制作をはじめ『檸檬はソワレ』として活動をスタート。2018年3月より、檸檬ソワレを包括し、より裾野を広げた制作・提案を目的とした『ekot spectrum works (エコー・スペクトラム・ワークス)』を立ち上げ展開中。
東京、札幌、大阪など複数の店舗での取り扱いの他、イベント出展も多数。
最近ではMUSIC VIDEOへの作品提供や、手塚治虫生誕90周年アニバーサリーコラボレーション等、活動の幅を広げている。

丘田ミイ子
丘田ミイ子

文筆業9年目、2児の母。滋賀県にて、四人姉妹の三女として程よく奔放に育つ。大学は、日本語日本文学科の太宰治ゼミに所属。その後上京、ライターの道へ。キャリアスタートは『Zipper』。その他雑誌・WEB・広告のライターを経て、2018年よりペンネームを一新し、演劇と生活を綴る日々へ。ライフワークとして、詩を使った展示『色彩—ichijitsu』(2012)、『たびのこどもpresents「こゝろは、家なき子」』(2015)などを不定期開催。次回は2020年3月頃予定。言葉を紡ぎ、隙あらば演劇を浴び、役者の夫と2人の子どもと生きています。目下、人生のスローガンは、“家庭と演劇の両立”。

カトートシ
カトートシ

大学職員 兼 映画エッセイスト

2018年よりカトートシとして活動を開始する。
大学時代は文学批評を専攻。
本屋や美術館のスタッフ、カナダでのライター経験を経た後、現在は大学で働く傍ら、「映画エッセイ」を執筆。映画から抽出したエッセンスを日常の枠組みで解釈し、言葉で再構築する。
カトートシという名前は、俳人である祖父に由来するもの。

チーム未完成
チーム未完成

しをりん、ゆりしー、ぴっかぱいせん、ゲッツ!の落ち着いた大人の女性4名によるクリエイターごっこ集団。各々が、写真、デザイン、似顔絵、文章、音楽制作、DJ、ガヤなどの一発芸を持ち、2014年夏に渋谷センター街に彗星の如く出現した気でいます。パンと書かれたステッカー、パンのZINE、パンのグッズ、パンの楽曲等を次々と発表し、主にアートイベントの賑やかしとして活躍しています。最近は海外のアートブックフェアに乗り込んだり、CHAIやDJみそしるとMCごはんのMV制作もやらせてもらって恐縮です。

寺尾紗穂
寺尾紗穂

音楽家。文筆家。1981年11月7日東京生まれ。2007年ピアノ弾き語りによるアルバム『御身』が各方面で話題になり、坂本龍一や大貫妙子らから賛辞が寄せられる。以降、アルバム『御身onmi』『風はびゅうびゅう』『愛の秘密』『残照』『青い夜のさよなら』『楕円の夢』『私の好きなわらべうた』『たよりないもののために』をリリース。並行して伊賀航、あだち麗三郎と結成したバンド「冬にわかれて」の始動、坂口恭平バンドにも参加。活動は、映画の主題歌提供、CM音楽制作(ドコモ、森永など多数)やナレーション、エッセイやルポなど多岐にわたる。新聞、ウェブなどで連載を持ち、朝日新聞書評委員も務める。著書に『評伝 川島芳子』『愛し、日々』『原発労働者』『南洋と私』『あのころのパラオをさがして 日本統治下の南洋を生きた人々』、編著書に『音楽のまわり』がある。

麦島汐美
麦島汐美

1995年東京生まれ。
ミスiD2018文芸賞受賞。写真、映像、文章の制作と、インターネットや雑誌などで発表を行う。ステージで歌って踊るあの子も、50年前にひとりの部屋で小説を書いていたあなたも、いま隣で餃子を頬張っているこの子も私のアイドルなら、いつか私も誰かの小さい光になれたらと目論んでいる。現在はテレビの制作会社勤務。
https://shiomimugishima.com/

吉野舞
吉野舞

1995年生まれ。淡路島生まれ、育ち。
写真を撮ったり、文章を書いたりしています。
座右の銘は「人生の大体の出来事は、自分のせいで人のおかげ」。
今、東京。

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