気が遠くなるくらい手間暇かけたシアバターづくり
haru.:江田さんが写真の中で着ているワンピースはアフリカの布ですか?
江田:主に西アフリカで流行っている「パーニュ」という布です。結婚式などお祝い事の時には、みんなお揃いの布で服を仕立てる文化があるんですね。その時に使われています。
haru.:村に仕立屋さんがあって、みんなが利用してるなんて素敵です。
江田:そうなんですよ。はやりの既成品を着ている人も増えているのですが多くの人々がパーニュを買って、自分の服を仕立てています。同じ柄でも、形やデザインによって全然違う洋服に見えます。結婚式ではみんなお揃いの布をまとうんですけど、それぞれ異なるデザインに仕立て上げるので、個性が垣間見えて素敵ですよ。
haru.:ほんとですね。好きな形にしたり、デザインをつけたり。右奥の女性の袖がすごくオシャレ。
江田:好きな刺繍を入れたり、形を変えたり、私も現地で体験してすごく楽しかったです。なので、EASY CARE BUTTERにも、買ってくださった方には先着で、パーニュで作った小さな巾着袋に入れてお届けしています。
haru.:この巾着を作るのも、大変だったんですよね。
江田:時間をかけて、作り方を教えました。向こうに、こういう巾着袋がないんですよ。まっすぐ縫うこともタグづけも難しい。大きな布を小さく裁断して、アイロンを使いながら、一生懸命作ってくれました。そのアイロンも、電気アイロンではなくて、鉄の重いものに炭を入れて使うアイロン。日々、改善を重ねながらやっとこの巾着袋ができました。
シアバターづくりは女性だけの神聖なものとされ、丁寧に作り出されます。想いや手間暇は、知らず知らずのうちにEASY CARE BUTTERの中に染み渡っているのかもしれません。小さな缶の中に詰め込まれたシアバターが生まれていく背景を、こちらも写真をみながら辿っていきます。
江田:シアバターの原料であるシアの実は、アフリカの数か国にしか育たない木の実です。これは、シアの実を食べている写真ですね。おやつのような感覚で食べています。
haru.:どんな味なんですか?
江田:果肉が厚くて好きな人は好きですが、私は匂いが気になってしまってそんなに得意ではないです。桃の匂いがきついバージョンのような。シアの実の種をとって、乾燥させて、機械で砕いて、焙煎して、ペースト状にします。水を少しずつ入れて何度もかき混ぜてオイルを抽出するんですね。その作業がすごく大変で。
江田:ひたすら手で混ぜると、だいぶ白くなってきます。その上積みの油分だけをとって、最後に煮沸して滅菌します。フィルターを通して不純物を取り除き、これでシアバターが完成します。
haru.:黄金色ですね、すごく綺麗。この作業をするのは女性たちと決まっているんですか?
江田:そうですね。研究によると、女性しか関われない神聖な果物だと言われています。全ての工程を女性が行う、女性が知識を持っているとも認識されています。なので女性たちの収入向上にいい環境なんですよね。
お母さんたちも赤ちゃんを連れて、作業をしていて。NGOの支援が入って機械が導入されたり、道具が用意されたりだいぶ効率化されているんですけど、それでも作業は時間がかかります。
haru.:このお仕事は一年中あるんですか?
江田:種がとれるのは3か月くらいだけなんです。でも、種は保管できるので、雨季の間に収穫をして乾季の間に種をシアバターに変えていきます。雨季は農業もあって忙しいので、何も仕事がない時期にもお金になる大切な仕事です。